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【解説】第26話 PIにならないという選択(後半)

まとめ本に収録した各トピックの解説の全文を掲載


後半は大学ではない研究職を紹介しました。私は大学以外で働いたことがなく完全に未知の世界だったため、研究所で働いている友人たちにかなり聞き込み調査を行いました。大学教員から企業に転職した友人たちにも話を聞きました。また自ら起業した女性研究者からも情報を得ることができました。それらの情報をまとめて書き上げたのがこのトピックです。
 
大学と研究所ではボトムアップかトップダウンかといった大きな違いがあります。学生の教育を行うという点でも大学と研究所は大きく異なります。学位を取得後、どのような形で研究との関りを持つのか考える目安になるかもしれません。
 
このエッセイ漫画の連載を始めたのは2018年。この間に任期に関わる環境も変わってきたように感じます。数年前までは、かつて大学教員が公務員だったころの名残から一度採用した人を解職することは良くない、という風習が残っていました。そのため任期終了後もなんらかの形でキャリアは繋がっていたような気がします。しかし、最近では任期終了後に無職という状態が頻発するようになりました。それは、家族がいる女性だけではなく、独身女性や家族を持つ男性にも見られるようになりました。枠がないため、「なんらかの形」さえ作れなくなってしまったという状態です。
 
企業への転職という選択肢も増えてきました。男性や独身女性の転職は聞くものの、子育て中の女性の企業転職の事例はまだまだ少ないです。企業転職した元教員の女性から話を聞いた時も子供がいると難しいかも、とコメントを貰いました。もし事例を持っている方がいたら、ご一報下さい。
 
最後に紹介したURAという職業。博士を持つ大学の運営を行う職で日本では10年程前から採用が始まりました。専門家の視点での研究成果の社会への発信や、各種申請書のチェック、大学のマネジメントを行います。この職はまだ任期付きであることが多いです。今後、定着していくことを望みます。


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