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征四郎呪法剣

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異世界ファンタジー小説
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第三話 襲撃

 使命帯びた死霊術師のロズワグンは、謎の男に命を助けられ、騎馬民族《ホースニアン》と呼ばれる種族の、棄てられた集落に連れてこられた。
 そこで傷の手当てを受けていたロズワグンだが、その地で男が並々ならぬ剣の使い手である事を知る。

 その日の夜は、嫌に冷え込んだ。
 吹き抜ける風は冷たく、暖が取れねば凍えている所だったとロズワグンは思った。
 干し肉を炙ったものと薬草類のスープのみと言う簡素な食事

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第二話 奇妙な男

 不死身の騎士となった弟を追っていたロズワグンは、ヘマをして追われていた。
 討つべき弟と同じ不死身の騎士を一度は倒したかと思えたロズワグンだったが、その不死身ぶりを見せつけられ窮地に陥る。
 其処に現れた謎の男が聖騎士を追い払う……。この男は何者なのか?

 男に抱えられたままロズワグンは森を進む。

「だから、歩けると申しておるだろう! 降ろせ!」

「時間が無い。追手に追いつかれるのはごめん

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第一話 出会い

 ロズワグンが裏切り者とされた弟を追って北方の地に足を踏み入れたのは半年前の事だ。
 故国を裏切り、敵国の聖騎士団に加わった弟を討つと言う使命を彼女は帯びていた。

 死霊術師であるロズワグンは恐るべき使い手であり、彼女を害する事が出来た者はこれまでは居なかった。
 それに増長した訳では無かったが、何としても弟の始末をつけるべく少しばかり無理な策を用いてしまった。
 その結果、端的に言えば彼女は追

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剣士二人

 対峙する二人の間に、憎悪は無かった。
 いや、敵意すらなかった。
 あるのは、旅の最中で培った友情があるばかりだった。

 それでも、戦わねばならない。
 誰の所為でもない、自身の性《さが》の為に。
 この地ジーカまで共に旅をしてきた仲間達も、それを知るがゆえに固唾を飲んで見守っている。

 共に死線を潜り抜けた剣士と斬り合わねばならない。
 何とも因果な事だと剣士の片割れである征四郎《せいしろ

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