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2020年版の農林業センサスに見る日本の農業の実情

11月27日に、農林業版の国勢調査とも言うべき農林業センサスの2020年版(概数値)が公表されると、各メディアでその結果がセンセーショナルに取り上げられました。主要メディアは、農業従事者の大幅減少を見出しにしています。

なお、今回の最新データは2020年2月1日時点となります。

農業従事者数は確かに減少傾向

今回、最も注目されているのは下記の基幹的農業従事者数に関する統計データです。(以下、資料は全て農林業センサス2020概数版より)

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平成27年(2015年)から令和2年(2020年)までの5年間で、全体として39.6万人の減少となっていることが分かります。減少率は22.5%という非常に大きな割合となっており、このペースで減少が続けば10年後の2030年には2015年比で半減することになりかねません。

このような数字だけ見ればとても大きな問題のように感じますし、日本の農業従事者数が劇的に減少していることが分かります。

ただ、この基幹的農業従事者というのは個人経営の農家並びにその家族しかカウントされません。ここ10年ほどで規制緩和の進んだ、法人農業で雇用されている人は含まれていないことに注意が必要です。

農事組合法人を含む法人化された3万件以上の農業法人で働く方々が、この数字とは別に農業へと従事しているのですが、この実態は別のデータとして区分けされています。

法人化した農業経営体は増加傾向

個人経営の農業者が減少する一方、法人化している農業経営体の数は増加の一途を辿っています。平成22年(2010年)の時点と比較すると9,000件の増加となっており、増加率は実に41%です。

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上の表から分かるとおり、会社法人としての参入が特に増え続けていることが読み取れますが、私も千葉エコとつなぐファームの2法人として農業参入している経験や、周辺でのソーラーシェアリングを切っ掛けとした農業参入意欲の高まりを見ると、この増加数には納得がいきます。

今回の概数値の公表では、とにかく基幹的農業従事者数の激減に注目が集まっていますが、統計データを紐解いていくと日本の農業構造そのものの変化が見えてきます。

このあたりは、改めて整理して取り上げてみたいと思います。

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