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Multi-Planetary Species 上

宇宙が出来て約138億年、地球が出来てから46億年。その地球が出来て数億年経ち、アメーバのような単細胞の生物が生まれた。その後、多くの進化を遂げ数を増やすものの、多くの種が何度も絶滅に追いやられた。長い時間が経った今でも、太陽を中心として回りながら(ガイア理論を唱えたジェームズ・ラブロック的に言えば)一つの生命体として生きながらえている。

私たち地球に住む人間は、この地球という星を土台に繁栄と繁殖を行い暮らしている。人間も含めた地球上のあらゆる生物が、それを何億年も繰り返している。今回はこの繁栄と繁殖の話だが、地球が始まって以来の大きな事が起ころうとしている。私たちはその始まりの地点に立っているのだ。

多惑星種

『多惑星種』と言われてパッと何を思いつくだろうか。私はなぜか映画『猿の惑星』を思い出した。惑星の部分だけだ。英語ではMulti-Planetary Speciesと書く。multiは複数、planetaryは惑星、sepiciesは種と書いても、まだパッとしないかもしれない。その理由をあげるなら、21世紀までその現実味が無かったという事だと思う。多惑星種は地球以外の場所で生存、同じ言葉を使うなら、地球とは違う星で繁栄と繁殖が出来るようになれば、私たちは多惑星種になるという事だ。

私たちが知る生物は地球という惑星で生まれ、地球の環境で進化を遂げてきた。地球を土台にし、46億年という時間をかけて今に至るわけで、地球から出て違う惑星に引っ越すなんていうのは、想像の中でしか存在しなかった。地球に適した進化を遂げた人間が、果たして宇宙で生きていけるのか、と考えてしまう。

しかし、私たちの準備が出来ていようが、出来ていまいが、今まさにそれが現実となって私たちの目の前に来ている。それが火星移住計画だ。火星に人が生活する事の出来る環境を整え、(今の時点では)ロケットを使い8ヶ月ほどの時間をかけて移動すれば、私たち人間は(念願の?)多惑星種となるわけだ。

大雑把なロケットの歴史

なぜ現代になって、火星移住計画が始まったのだろうか。スペースシャトルが月に到達したのはもう半世紀も前の話だ。何故こんなに時間がかかったのかを見ていく前に、少しだけ歴史を辿ってみよう。

1957年に初めての人工衛星『スプートニク1号』がソビエト連邦によって打ち上げられ、軌道に乗せることに成功した。ソビエト連邦の競争相手であったアメリカは、1958年に人工衛星『エクスプローラー1号』を飛ばし軌道に乗せた。当時は戦争や国防のための理由から衛星を飛ばしていた。

1969年、20世紀も後半に入る頃に、初めて人は一番近くの衛星『月』にその足跡を刻んだ。スペースシャトルという有人ロケットは多くの犠牲を払いながら、大きな目標を達成したのだ。

1984年にアメリカのレーガン大統領が国際協力を募り、宇宙ステーションを建設することを決定した。翌年には欧州宇宙機関(ESA)、日本、カナダが計画に参加することとなった。

1986年スペースシャトルの打ち上げは失敗に終わり、計画が大幅に遅れをとる。ホリエモンの宇宙論によると、事故が多く起こったためにその後の開発や発展が長い間止まったとのことだ。

予算が減らされたり目的がうやむやになったりと、だらだら計画は引き延ばされ国際宇宙ステーション(ISS)が完成したのは2011年になってからだ。かなり最近の話である。

2020年11月、SpaceXのCrew DragonがISSにドッキングした。YouTubeのライブで見て、かなり興奮しました。

現状とこれから

世間ではSpaceXやAmazonが宇宙事業に手を出し初め、盛り上がっている。なぜ盛り上がってきているのか。

ここで先程の答えが必要になる。要は技術とコストである。21世紀になってインターネットがこれを後押ししたのは間違いないと思うが、他には3Dプリンターやロケットの再利用が大きい部分ではないかと思っている。安くなったと言っても打ち上げにかかる費用は一回で6,000万ドルという金額だ。

SpaceXやAmazonが今行ってる事業で有名なのは、低軌道に人工衛星を乗せるものだろう。低軌道と言ってもそこは宇宙空間である。機関によって多少異なるが、基本的に地上から100kmほどで宇宙空間と定義しているようだ。ちなみに低軌道は高度2000kmほどまでを指す。

日本の船が浅瀬に座礁し、大量のオイルが海に流れたニュースはまだ記憶に新しいのではないだろうか。海上ではインターネットにアクセスが無かったようで、それを求め浅瀬まで移動したとの事だ。これは一つの例だが、インターネットの恩恵を受けられない場所が世界にはまだまだ多く存在するようだ。それを解決するのが、SpaceXやAmazonが行おうとしている低軌道の人工衛星である。人工衛星を通してインターネットを繋げるサービスを行うようだ。それだけではないかもしれないが、わたしには分かりません。

それとは別に2021年に再度月に向かうプロジェクトが始まる。大きく5つの民間会社と国がこれに取り掛かる事になっている。先ほども登場したSpaceX、Amazon、NASAに中国とロシアも名乗りを挙げているようだ。

また月なの?と思うかもしれないが、スペースシャトルで月に行ったのは半世紀も前の話である。当時の技術者はみんな引退していて、実は月に行くのはかなりハードルが高いらしい。

2023年から2024年には月に到着し、そこに基地を作るとの事だ。月に基地を作り、そこから火星に行けるようになる。月が休憩地点にでもなるのだろうか。ちなみにSapceXはすでに火星に行く用の『Starship』というロケットを開発した。数十人が搭乗可能なロケットである。


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