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アヒルとの記憶

僕は子供の頃、動物が好きだった。物心がつく前から動物が好きだったらしい。フィルムで撮られた色褪せた写真に写っている僕は、アヒルを一緒に遊んでいる所で、アヒルは僕を仲間だと思っていたようだ。

僕の後ろをずっとついてきて、僕が家に入ると、アヒルも一緒に玄関から、あがろうとしていたらしい。

そんな楽しいことも、僕の記憶には残っていないのは残念だ。

僕のアヒルの記憶は、タライの中の水に入って浮かんでいた事と、アヒルが父親の車の音を覚えていて、仕事から帰ってくる車の音を聴いて「ガーガー」と鳴いて、餌を待ち侘びていたことくらいなのだ。

子供の頃のことなので仕方がないが、楽しい記憶なら覚えておきたい。

この記憶も思い出そうとしなければ、永遠に蘇ることはなかった思い出だと思う。
僕はアヒルの思い出を呼び起こすことで、昔住んでいた家、天気、父親の記憶が蘇る。

思い出したい事があるということは、幸せな事かもしれない。

少し立ち止まってみると、自分の好きだったことに、自分が大事にしていることを思い出すきっかけになるかもしれない。

アヒルのことを思い出していたら、そんなことを考えた。




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