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茶道の一期一会と命

自分は名古屋に住んでいて、家元は東京におられたため、お会いするのは1ヶ月に1回くらいのペースだった。

そして何度目かの稽古の時に、先生がまた、じっとこちらを見て言われた。

「いつもお時間頂きありがとうございます。こうやってあなたの時間を頂くという事は、あなたの命の時間を頂いているのと同じ事。私も同じように命の時間を削ってお稽古をしますので、今この瞬間死ぬ気で取り組ませて頂きます。あなたもそのつもりでお願いします。」

そういう事か。。ただ稽古という時間に一生懸命力を注ぐのではなく、お互いの命の時間を削ってこの時を共有していること。それが一期一会なのだ。
その時の重さを感じるくらいに真剣に稽古と向き合っていかなければいけない。

先生はゆるんできていた自分の気持ちを引き締めてくれたのだと思う。

そして、思った。自分は日々の”出会いや時間”をこうやって真剣に捉えているだろうか。なんとなく会社に行って仕事をしたり、なんとなく家族や友達と時間を過ごしていないだろうか。

その一瞬の重さを感じる事こそが、実は真の思いやりであり、真っ直ぐに生きるという事ではないだろうか。

そして自分は「よろしくお願いします」と深々と頭を下げた。


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