「何て犬種ですか?」「『保護犬』です」
「柴犬、かかってそうですね~?」
「コーギーの毛色に似てますねぇ~」
「シュッとしたお顔だわ」
「お目目パッチリ、かわいいね~!」
お散歩では色々声をかけてもらうのに。
人懐っこくなくて すみません。
*
保護されたのは、広島県だったか、岡山県だったか、とにかく中国地方と聞いている。ネットで、保護された兄妹5匹の仔犬たちの情報が流れてきたのを見て、一目ぼれしてしまった。
先住犬を亡くして4年ほど経ってしまった。
やんちゃで賢かったコーギー犬はたくさんの思い出を残してくれた。
その子はペットショップで買い求めた由緒正しき血統書付きの犬。
長ったらしい本名はどこかの女王様ですか?のように、光り輝く名前だった。先祖にはチャンピオン犬のルーツもあったなぁ。
確かに毛並みといい、体格といい、顔つきもとてもすばらしく、
道行く人に「かわいい!」と言われるのが何よりうれしく、愛想を振りまく子だった。
ただ、幼いころから病気を発症、、何度も入退院、前例のあまりない難しい手術、投薬 から離れることはなく、できることはなんでも、最大限に治療にかけた。私も彼も頑張った長い期間だった。
10歳を目前に亡くなってしまった時には
「よく頑張ったよね、もう楽になっていいよ」と抱きしめるのが精いっぱいだった。
こんな悲しい気持ちを味わって、もう犬を飼うことはできないかも知れない。でも、犬、大好き。
パピーミル(繁殖犬)の事を知ってから、次 もし 犬を迎えることがあるなら、ペットショップで買うのではなく、保護された犬の中から選ぼうという気持ちに徐々にかわってきていた。
ネットに流れる里親さがしの情報、つらつら見ているうちに出会ったがこの仔。ネット情報だから、発信元が信頼できるかを調べ始めていた。
実際に直接電話でお話を聞きながら、譲渡の条件などを確かめて。
*
生後2か月(くらいだそう)で我が家にやってきた日、
色々と譲渡の手続きをしている間、あまりの緊張に震えは止まらず、疲れ果てて、娘に抱かれたまま眠ってしまった姿。
いいんだよ、もうこわがらなくて。
ここがあなたのおうちなんだよ。
大きくなろうね。
トイレトレーニングは、シートの上でしたのをほめたら、それ以降一度も失敗することなく難なくクリア。(今思うと、相当な綺麗好き?)
まずは、アイコンタクトしていかなきゃね。
名前を呼ばれると、何か話しかけると、しっかり目をまっすぐに向けてくる。(今思うと、不安症に近いくらい さみしがり?)
ほとんど吠える、ということをしなかったので、「この仔、どんな声してるの?」
ほどなく、少しずつ吠えることもあるけど、今でも日に何回かしか声は出さない。(静かで、、何か要求したいときは そばに来てじっと目線が合うのを待っている、すわっている)
お決まりの『お手』『おすわり』『待て』・・・
こちらの意図をくみ取る力に長けているのか、何回かおしえるとすぐに覚えていく。賢い仔だね。
特別遠くに出かけたりはできないけれど、自然に恵まれた自宅付近の山や公園へ行き、先住犬のために作っていた10mのロングリードを付けてやるやいなや、スイッチが入り、ボールを追いかけ、ひたすら走り、満喫しているようだ。
散歩は大好きなのだが、人がこわい、よその犬がこわい、、は7年経った今も同じ。
ほんの数人、ほんの数犬、鼻先チョンチョンの挨拶ができるかな。
先方の飼い主さんとの立ち話では、保護犬なのを伝えると「保護犬だから、何かトラウマがあるのかしらねぇ~」とよく言われる。
「そうかも知れないですね~」と返事はするが、心の中ではそうは思っていない自分がいる。(この子の性格だろう、それでいいよ)
今まで何匹も犬を飼ってきたけれど、こんなに優しい性格の子は初めて。
こちらが「守ってやるよ」と引き受けて家族として迎えたのだから、安心して。
話しかけると、まっすぐ見返してくれるピュアな目に、こちらが幸せをもらっているよ。
さぁ、散歩に出よう!
「何犬ですか?」と聞かれたら、
「保護犬です」とはっきり伝えようね。
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