ピーマン

ほぼ読書感想文。(2020.03~) 戯れに有料区間を設定してはいますが、読んでほしい…

ピーマン

ほぼ読書感想文。(2020.03~) 戯れに有料区間を設定してはいますが、読んでほしい部分はすべて無料で公開してます。

最近の記事

洋墨が持つ恐ろしい力

『海と毒薬』を読んだ。 表題にもある通り、作中の文章には驚かされる部分が数多くあった。 婉曲的に書きたくなるようなシーンなどを、どこか冷たい比喩表現やストレートな五感に基づく表現を用いることで、無感情かつ色のない手術室の描写や当時の人物の心理描写が成されており、マイナスな感情が心を覆う感覚を久方ぶりに味わうことができた。 個人的には、寂しさや悍ましさなどのマイナスで痛々しい心理描写を表現するときは、当該人物の心に深く入り込み、その張り裂けそうな心の内を表すよりも、起こって

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    • 月の幸せ。六ペンスの幸せ。人の幸せ。

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      • キップルについての小考

         フィリップ・K・ディック氏によるSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだ。作中には、この小説でしか登場しない造語が数多くあるが、その中でも私の心に強く残っている単語が「キップル」である。 ※作品のネタバレを含みます。未読の方は是非本編を先にお読みください。 【追記】8カ月間下書きで眠っていたものです。公開時に読んだものではないので、そのあたりご了承ください……。 キップルとは? まず最初に、キップルという単語の作中内での説明を軽くおさらいしておこう。この

        • The BIBLE of Religio Scientia

          『人類が知っていることすべての短い歴史』という本を読んだ。元々、大学の友達の机に置いてあったものを貸してもらったのだが、これが大層面白かったので、こうして所感を記しておこうと思った次第である。 さて、本書は「科学」と呼ばれる諸分野について、その発展に纏わる紆余曲折を主として記したものだ。章ごとに天文学、物理学から医学、生物学、人類学に至るまで、それぞれの崇高な研究の潮流が合計800ページにわたって長々と述べられている様は、圧巻というしかない。どの分野の研究史も、博識な科学者

        洋墨が持つ恐ろしい力

          【宣伝文】『ダイナソー・ブルース』

           九州大学の尾上哲治教授が執筆した、『ダイナソー・ブルース』という本を読んだ。折角なので、宣伝を兼ねた感想のようなものを書き記しておこうと思う。もちろん、宣伝が第一目的なのでなるべくネタバレはしないように書くつもりである。 ────────────────────────────────────────────────  ブルーバックスの書籍より二回りほど大きい290ページは想像よりもずっしりとしていた。栞はついていないが、数十ページごとに章分けされているので快適に読む分

          【宣伝文】『ダイナソー・ブルース』