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友のことと私のこと。

最近やっとまた本が読めるようになってきた。
少し前まで時間があっても読む気力が起きないことが続いていたから嬉しい。

日頃いろんなマルチタスクを求められるからか一つに没頭する集中力が失われている気がしてならない。これは言い訳かもしれないけど。

私はマルチタスクが割と得意な方だと思っていたけれど、周りにいる人たちを見ているとそうでもないんじゃないかと最近思い始めてきた。
幸い、私の周りにいる人たちは『できる人』たちばかりで学ぶことは多い。
私利私欲に走る人もいなければ、我が儘を言って周りに迷惑をかけるような人もいない。
むしろ自分の利益よりも周りの人間や会社のためを思って行動できる人たちばかり。
なんというか、みんな出来すぎている。出木杉君集団なのだ。

そんななか私はというと、特別何かに長けているものがあるわけじゃない。
仕事における知識も経験もまだまだだし、精神的にも未熟な部分がたくさんある。
何か際立つ実績を残せているわけでもなく、この場に自分がいていいのだろうかと思うことも少なくない。

こういうモヤモヤ期が1年のうち何度か訪れるのだけど、今まで誰かに相談したことは一度もない。
これは私の良くない部分だなとは認識してる。

私自身、自分の弱さをさらけ出すことはそこまで苦ではないけど、返ってくる答えが想像できてしまうと別に話すまでもないかと思ってしまう癖がある。

何も生まれず何も解決しないことに時間を費やす意味ある?なんてとんだタイパ野郎になってしまうのだ。
うんまぁそうだよね、私もそう思ってはいる、、って。答えてくれた相手に向かって発してる自分のセリフがありありと浮かぶ。

思うことと、感じてしまうことは似て非なるもので、頭では分かっていても心が伴わないという場面は、考えればたくさんある。
存在意義なんて一番考えたくないことを考えちゃってる近頃の自分にはもうやれやれだ。
人から見ればちっぽけなことをちっぽけに出来ない自分がさらにちっぽけに感じる。

✴︎

仲良くしていた友人が少し前に体調を崩してしまい、遊ぶ約束がキャンセルになってからしばらく会っていなかった。

LINEで「会えないごめん」というメッセージが届いたとき、普段とは違った簡素な文面に、彼女の切羽詰まった精神状態が読み取れた。

もともと繊細で精神的に不安定な部分があったからすごく心配だったけど、いまはそっと見守るしかないなと思った。

会うのはいつでもいいし、無理はしないで。
今はゆっくり休んで、話したくなったら何でも聞くよ。とメッセージを返してそれきり、返事は来なかった。

いつも心のどこかで彼女のことが気がかりだった。
超がつくほどの気遣い屋さんなので、余計な負担をかけたくなくてこちらからの連絡は控えていた。

それから数ヶ月経って、彼女が連絡をくれた。長文の文章だった。
しばらく会えていなかった空白の期間、何があってそのときどんな気持ちだったか。こんなことが辛かった、頭で理解しようと思ってもそう簡単にはいかないこと。
ここ数ヶ月でいろんなことが起こりすぎて、身も心もボロボロの状態のようだった。ふさぎ込んでしまうのも無理ないと思った。
調子を取り戻せたらまた会いたい。
会うことを目標に頑張っていると伝えてくれた。

状況を知れたことに少しホッとした。それと同時に、困難な日々の中で少しでも未来を明るく捉えようとしている姿が素敵だと思った。
それを真っ直ぐ伝えてくれたことも嬉しかった。

そこから少し経って、たまたま都合が合いそうだったのでもう1人の友人と一緒に久しぶりに彼女と会う約束をした。

外に出るのが難しいと言っていたので無理はして欲しくなかったけど、ちゃんと時間通り、待ち合わせのカフェに来てくれた。

彼女は少し前から精神的な影響で一切喋れなくなってしまったと言っていた。当日はコミュニケーションがとれるかどうか心配だったものの、会ってみたら笑顔がみれて、もうそれだけで充分だった。

ジェスチャーや筆談で取りとめのない話しをたくさんした。
最近見た映画のこと、学生時代のこと、高校野球の話、運動が習慣化されなくて困ってる話、などなど。
思ったより不都合はなかったかな?
彼女の書くスピードが早すぎて、そのスキル何かに活かせそう、、とか思ったくらい。

何でもないおしゃべりがすごく楽しかった。
住む場所が少し離れているから、会うときは何かの目的で集まることが多かったけど、目的はおしゃべりだけでも充分な気がした。
このまま順調に回復してくれたらいいな。

✴︎

彼女から学んだことがあって。
それは、自分の気持ちを吐露する場所を自分で閉ざしてしまわないこと。

SOS、会いたいよ、辛かったよ、でも頑張ってるよ
頭では分かってるよ、でも矛盾した気持ちもあるよ

これらを第三者に伝えた彼女の行動に賛辞を送りたい。
とても勇気がいることだろうし、文章にする過程で嫌でも自分と向き合わなきゃならない。それでも伝えようとしてくれた。

私はよくも悪くも周りに期待をしない癖が染みついてしまっている。
言ったところで何も変わらないと諦めている。

でもきっと必要なことなんだなと思った。
誰かに何かを伝えようとする姿は尊い。
私にとっても大切なことだと思い直した。

本当は順調そうに見えている人も、簡単には打ち明けられない悩みがあるかもしれない。
それを知っていると仮定して、私も打ち明ければ良いのだろう。

話せばきちんと聞いてくれる人たちが、私の周りにはたくさんいるはずだ。

彼女が教えてくれたことを、忘れないようにしなきゃね。

ここまで読んでいただいたこと、とても嬉しく思います。