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DNAメチル化改善法|ストレスによって隠れてしまったあなたの潜在能力を取り戻す方法

脳科学に関する本を読んでいた時、子ども時代の虐待などによるストレス経験が成人後のストレス耐性を弱らせてしまうという話題に出会いました。

そこで紹介されていた「DNAメチル化」によるエピジェネティクス的変化というトピックが面白かったので、少し自分で調べたことをここにまとめていこうと思います。


DNA/遺伝子発現の仕組みをざっとおさらい

DNA(デオキシリボ核酸)とは、A:アデニン、T:チミン、G:グアニン、C:シトシンの4種類の塩基で構成される2重らせん構造です。

2重らせん構造の中では、A - T(アデニンとチミン)、G - C(グアニンとシトシン)がそれぞれ対になっていて、その数なんと32億塩基対にもなります。

遺伝子が読み解かれるとき、この2重らせん構造は解かれ、mRNA(メッセンジャーRNA)という物質によって情報が転写(コピー)されていきます。

そのコピーされた情報に基づいて様々な種類のタンパク質が作られ、さらにそのタンパク質が合成されることで、私たちの体そのものや感情・生理反応に関与するホルモン・神経物質などが作られていきます。

これを、遺伝子発現といいます。

しかし、実はこのDNAの情報(32億塩基対分)全てが読み込まれるわけではありません。ヒトゲノムの場合、最終的にタンパク質生成のもとになる部分をコードしているDNAはたったの1.5%しかないんです。

残りの98.5%はというと、タンパク質生成に直接は関わっておらず、遺伝子発現を調整したり、うまくいくように手助けする役割を担っています。


DNAメチル化とは?

遺伝情報として読み解かれるコードの部分はただでさえ少ないのにも関わらず、残念なことにストレスや老化が進むとさらに転写が抑制されてしまいます。

この原因こそが、「DNAのメチル化」すなわちC:シトシンにメチル基(-CH₃)が付加される現象にあります。

これが起こると、転写・非転写領域に関わらずその部分の働きが抑制され、うまくタンパク質を生成することができなくなってしまいます。

以下にメチル化の種類を軽くまとめておきます。

1. 全体的な低メチル化:ハイポメチル化
ゲノム全体でメチル化が進行すること。
一般には老化によって進むとされる。
これを利用した「DNAメチル化時計(エピジェネティッククロック)」という指標により、実年齢と生物学的年齢の差を見ることができる。
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2. 局所的な高メチル化:ハイパーメチル化
特定の遺伝子領域でメチル化が異常に進行すること。
腫瘍を抑制する遺伝子のもととなる部分がメチル化されると、がんなどのリスクが高まる。

驚いたことに、私たちが日常生活で抱えるストレス(及びその環境要因や生活習慣)はこの2種類のメチル化を進行させてしまうことが分かっています。

まさに、エピ(超える)ジェネティック(遺伝)な変化、すなわち「遺伝情報を超えた変化」のことです。

これにより、もともと発現するだった遺伝子が抑制され、私たちの持っていた様々な能力が発揮できなくなってしまうのです。

極端に言えば、計算力や記憶力に関与する遺伝子がメチル化されると、これらの能力が低下する可能性があるということです。メチル化される部位によっては、集中力や論理的思考力、自律神経を保つ力などにも影響が出る可能性があります。

しかし、このメチル化は、一度なってしまったらもう戻らない、というわけではもちろんありません!

ストレスの改善や生活習慣の見直しにより、このメチル化をリバースする(元に戻す)ことができるという研究結果が出ています。


メチル化を元に戻す方法5選

ここからは、メチル化のリバースに効果的な方法を5つ紹介させていただきます。理由まで説明していて少し細かいので、読むのが大変であれば次の章の「今すぐできる実践法」を見てもらえればと思います。

1.ストレスの管理とメンタルヘルスの改善

ストレスが原因でメチル化が進んでしまうのであれば、その元であるストレスをなくすのが一番ですよね。

ストレスの軽減に最も有効とされているのは、瞑想やマインドフルネスです。これらは精神的な安定をもたらし、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させることが知られています。コルチゾールの持続的な増加はDNAメチル化パターンに悪影響を与える可能性があるため、これらのストレス管理方法はメチル化のリバースに寄与します。

また、深呼吸やヨガなどのリラクゼーション技法も効果的です。これらは交感神経の活動を抑え、副交感神経を活性化する働きがあるため、ストレスの影響を緩和し、メチル化のパターンにポジティブな影響を与えます。特に定期的なリラクゼーションは長期的なメチル化の安定化に寄与すると言えます。

2.栄養と食事

葉酸(ビタミンB9)とビタミンB12は、メチル化パターンを安定させるS-アデノシルメチオニン(SAM)の生成に必要不可欠です。葉酸は緑黄色野菜(特にほうれん草)や豆類、オレンジやアボカドに含まれています。一方ビタミンB12はレバー、鮭やサバ、牛乳などに多く含まれています。

また、メチオニンは必須アミノ酸の一つで、メチル化サイクルの前駆体となるアミノ酸です。特に赤身肉などの動物性タンパク質に豊富に含まれていますが、植物性食品からも摂取が可能です。

3.運動

運動は、エピジェネティクスを通じて遺伝子発現に影響を与えることが多くの研究で示されています。例えば、定期的な有酸素運動は、脳内での神経栄養因子の発現を促進し、エピジェネティックな変化を通じて脳の健康を維持します。これにより、メチル化パターンの正常化が促進されます。

また、運動はストレスホルモンを低下させると同時に、抗炎症作用をもたらすことで、ストレス誘導性のメチル化異常を修正する可能性があります。

4.睡眠

良質な睡眠は、体内のホルモンバランスを整え、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制するため、DNAメチル化にポジティブな影響を与えます。特に、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが重要であり、深い睡眠が脳と体の回復を促進します。

また、睡眠不足もメチル化異常と関連することが報告されています。

睡眠の質を向上させるためには、一定の睡眠時間を確保するだけでなく、寝る前の習慣(例えば、ブルーライトを避ける、リラクゼーションを行う)を整えることが重要です。これにより、メチル化の正常化が促進されます。

5.環境の改善

ストレスフルな環境から抜け出すことはもちろん、自然との触れ合いを積極的に行っていくことも、エピジェネティックな健康にプラスの影響を与えるといわれています。自然の中での時間はストレスの軽減に役立ち、メチル化パターンの正常化に寄与することが期待されます。


今すぐできる実践法

色々項目があってよくわからないよ~という方はこちらを試してみてください。

歩行瞑想

これは歩きながら行う瞑想のことで、ウォーキングメディテーションとも呼ばれます。5つの項目のうち、「1. 瞑想」「3. 運動」「5. 環境の改善」を同時に行うことができます。

具体的な方法は以下の通りです。

まず公園や誰もいない屋内スペースなど、静かな場所を選ぶ。
      ↓
体をまっすぐにし、目線は並行より少し下に向け、肩の力を抜いてリラックスする。
      ↓
足が地面に触れる感覚や、体のバランスが変わる感覚に集中してゆっくり歩き始める。この時、1歩ごとに息を吸い、次の1歩で息を吐いて呼吸と歩行をリンクさせる。
      ↓
これを5分から20分程度続ける。

ポイントは、歩行中に頭に浮かんでくる考えや感情があっても、それを否定せずに受け入れ、再び歩行と呼吸に意識を戻すことです。

これならたった5分でもいいので、学校や仕事の帰り道、誰もいない道を少し寄り道して行えそうですね。

必要な栄養素が一気にとれる料理「鮭とほうれん草のクリームパスタ」

メチル化リバースに必要な栄養素は、葉酸、ビタミンB12、メチオニンでした。「鮭とほうれん草のクリームパスタ」は、これらを一度に摂ることができます。

材料(一人前)
・サーモン(ビタミンB12、メチオニン):1切
・ほうれん草(葉酸):1株
・生クリームまたは牛乳(ビタミンB12):100ml
・パスタ:100g
・ニンニク、オリーブオイル、塩、こしょう

作り方
1.オリーブオイルを熱したフライパンで、ニンニクを炒める。
2.サーモンを一口大に切り、フライパンで焼く。
3.ほうれん草を加え軽く炒めた後、生クリーム(牛乳)を加える。
4.茹でたパスタを加え、塩とこしょうで味を調える。
5.仕上げにパセリやレモンを添えて完成。

私もこの料理は何度も作っていますが、非常に簡単でちょうどパスタの湯で時間(7分)+1分くらいで作れるのでお勧めです!


まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、ストレスによって進行してしまう「DNAメチル化」の仕組みとその改善策についてまとめてみました。

あなたがもしストレスを抱えていて、DNAメチル化によって抑制されてしまっている遺伝子(潜在能力)があれば、それは非常に悲しいことです。

あなたの中に眠っている「ポジティブ思考の能力」「論理的思考能力」「集中力」「記憶力」…

それらを取り戻すためにも、ストレスを積極的になくしてメチル化リバースを成功させましょう!

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ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!

今後も個人的に気になったトピックを
このようにまとめていきたいと思います。

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それでは、また別の記事でお会いしましょう!
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