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ボクセルって何?

 弊社では創業より、FreeFormというソフトウェアを取り扱っています。このソフトには、「触感デバイス」「粘土のようにモデリングできるソフト」という印象を持たれている方は非常に多いと思います。とっかかりとしてお菓子を作ったり、面白い一風変わったデバイスとソフトウェアという売り出し方で始まってしまったために、リアルな製造工程やデザインに使用するということから、大きくイメージの乖離が起こってしまったのです。確かにこの雪だるまのようなフォルムのペン型デバイスで、ちょんちょんいじりながら彫刻をしていくなんていうこともワークショップでやったりしていました。(参照:D-TOGE陶芸)

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 ちなみにこのD-TOGEのワークショップ、益子焼の現役の若手作家の方々に、デジタルで陶芸めいたことをチャレンジしてもらったり、一流デザイナーの先生に講評をしていただいたりと、かなり贅沢な実験でした。主催側の消費カロリーのあまりの大きさに1回しか行われなかったのです。
 売り出し方を間違えたと言いましたが、間違えたというのは語弊があります。このFreeformというソフトのポテンシャルは「数値制御ではない自由な造形」にやはり大きく依存していると思います。裏を返すと、CADなどの専門知識がなくても表現や造形が可能ということです。子供でも老人でも、自由な表現が可能になるツールです。「がっちりデザインや製造に使えるツール」でありながら「誰でも自由に造形出来るユニバーサルデザインツール」であるという二つの側面をうまくメディアアウトプットできていなかったという反省もあります。


 そこで、ソフトウェアの正しい認識のされ方を目指して、Freeformのブランディングをしていこうと考えています。

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 このソフトの最大の特徴は「ボクセルフォーマット」です。ボクセルフォーマットとは細かい粒子状のつぶつぶのデータをコントロールする事で、3Dの形状を構成する事が出来ます。

 ボクセルとは、体積の要素であり、3次元空間での正規格子単位の値を表す。「ボクセル」という用語は「体積 (volume)」と「ピクセル (pixel)」を組み合わせたかばん語である。これは、2次元画像データがピクセルで表されることのアナロジーである。ボクセルは、医療や科学データの可視化や解析によく使われる。体積型ディスプレイは解像度をボクセルで表すこともある。例えば512×512×512ボクセルといった表現である。ピクセルと同様、ボクセル自体は空間内の座標を持たないが、他のボクセル群との位置関係(すなわち、1つの立体イメージを構成するデータ構造内のそれぞれの位置)で推測できる。(参照:wikipedia)

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 このデータは面で構成されるCADと違い、確実に体積で存在するボリュームになります。破綻のないデータになるため、一般的に「3Dプリンター」との相性がよく、STLというデータ形式に変換することで問題なく3Dプリントできるというような特徴があると言われています。
 デジタルマニュファクチャリングツールは「3Dプリンター」以外にも「切削加工機」「レーザー加工機」などの昔からあるツールとの相性も良いことが、弊社の研究により証明されつつあり、データとツールを組みあわせる事で、いままでのデータプロセスでは難しかったような製品を作る可能性を示す事が出来ています。
 ほぼ100%のデザインが、デジタル領域を含み進行していきます。デジタルで進行するということは、投げ手側と受け手側で共通言語としてCADやフォーマットの共通化または代替が必要になってきます。この部分を弊社では「INTER VOXEL SOLUTION」としてボクセルを間に挟むデザインメソッドとして研究開発しています。INTER VOXEL SOLUTIONについては、これもまた語ることが非常に多く、長い長い記事になってしまいますので、またの機会とさせていただきます。
 このあたりの事例などはどんどんご紹介していこうと思っています。

 ここまで読まれた方の中に、どうしても思い描いた形状が製造の段階でうまくデータコンバートできない経験をされたデザイナーの方や、そういったオーダーをされたメーカーや製造業の方はおられるのではないでしょうか。そういった方々をサポートしていくのもGRAPEの役割になります。

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