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わたしはあなたの子どもです

乳がんになってから、がんブログを書いている方たちのブログを読んだ。

たくさんの悲しみを見た。

たくさんの憤り、怒り、諦めを見た。

今も、時々、読ませていただいている方がいる。

心情を、淡々と、マンガにしていらっしゃる。

その方が乳がんになり、死ぬことを考えたときに思い出されたというエピソードが、ずっと忘れられなかった。

親戚の方が若くして亡くなられたときのことでした。

危篤状態になり、親戚の方の母親が、病院へ向かう電車の中で書いたメール。

『向かいの子たちが笑ってる

なんで

なんで笑ってる

にくい

にくい

にくい』

このエピソードを読ませていただいたとき、私は、何にも感じなかった。

頭では、分かってる。

どれだけ辛かったのだろうって。

だけど感じなかった。

こんなに悲しいものを読んで感じない。

今日、ふっと、またそのことを思い出した。

私が乳がんになったと伝えても、母親は、一緒に泣いてはくれなかった。

『ストレスだな』

そうだね、ストレスだよ。

そんな分かりきってる言葉より、なんか違う言葉はないのかな。

悲しくて、怖くて、どうしようもなくなってる、あなたの娘がここにいるんだよ。

私はあなたの何ですか。

あなたは、どうして私を産んだの。

私があなたに何をしたの。

乳がんになったとき、周りの状況が、変わるんではないかと期待したが、私は本当に孤独なんだと思い知った。

ホント馬鹿だよね、期待してしまった。

だから、私は感じなかったのだ。

もう充分に辛くて、これ以上、傷付きたくないから、感じなかったのだ。

私の母親は、この親戚の方の母親とは違う。

辛すぎて感じなかったのだ。

私のために悲しんではくれない人だから。

でもね、私はやっと、この感情を陽の当たる場所に連れて来れたよ。

私は母親ではない。

私は父親ではない。

私は兄達ではない。

私は私だ。

今日も生きている。









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