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メインセッション 政治行政だけでは社会課題の解決はできない時代がやってきた

世界のGRパーソンのみなさん、こんにちは!日本GR協会チーフオフィサーの持留です。今回は、日本GRサミット2024のメインセッション「政治行政だけでは社会課題の解決はできない時代がやってきた」の報告です。

日本GRサミット2024には官民連携に関わる150人のGRパーソンが参加!

セッションの目的

かつて、政策形成プロセスは政治家と官僚の専売特許でした。しかし社会構造の複雑化で社会課題解決が難しくなってきています。社会的インパクトを創出する官民連携の必要性を若手首長に語ってもらいました。

登壇者

  • 千葉県知事 熊谷俊人

  • 全国青年市長会会長/行方市長 鈴木周也

  • 全国若手町村長会会長/葉山町長 山梨崇仁

  • モデレーター(一社)日本GR協会 代表理事/元横須賀市長 吉田雄人

サマリー

まず登壇者が知事会、市長会、町村会といった地方自治体の横断型の組織について、その役割と機能を説明しました。知事会は迅速な意見集約と政府への提言ができる一方、市長会や町村会では合意形成が難しい面もあることが報告されました。その後、各自治体から、ごみの分別収集、公共交通、医療サービスなどの分野における独自の取り組み事例が紹介されました。官民連携については、全員がスモールサクセス、つまりいきなり大きなことをやるのではなく小さい取り組みから始め成功を積み重ねることの重要性を強調しました。また、実証実験の活用、公正なプロポーザル手続きの重要性も指摘されました。また、議会や住民の理解を得ることや、利益誘導の疑念を払しょくすることなどの大切さも示されました。

登壇者の発言概要

千葉県知事 熊谷俊人

基礎自治体の首長経験もある熊谷知事

1978年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、民間企業を経て2009年に千葉市長選に31歳で当選。3期務めた後、2021年3月に千葉県知事選に初当選。

官民連携をいろいろやってきたが、いきなりでかいことをやろうとするとうまくいかない。実績をつくり、小さな成功体験からどんどん大きくしていくことが大切。できる限り実現しやすいファーストステップを作ってからやっていくという流れがいい。千葉市の公園の民間活用は全国モデルになっているが、最初のファーストステップをものすごい小さいところからスタートしている。官民連携は全国で成功例が積みあがり、今までにないくらいやりやすい環境になってきている。デジタル化や外国人労働者の増加など、社会がこれからものすごい勢いで変わっていく。いっぽうでその変化の激しい分野には自治体は専門職員も多くないしキャッチアップできない。しかし、ライドシェアなど国の制度はものすごいスピードで変わっていく。この変更の詳しい背景を理解していて、地方自治体に「これをこういう形でやってみませんか」という提案をできるような民間や団体はすごく行政としては受け入れやすい。

全国青年市長会会長/行方市長 鈴木周也

1971年生まれ。 JA共済連職員を経て、2011年に行方市議会議員に初当選。2013年の行方市長選挙で41歳で初当選を果たす。子育て支援をはじめ、6次産業化の推進、防災対応型エリア放送の開局やDXの推進など、積極的に官民連携による施策を展開。

行方市は高齢化率37%。医療機関が弱く、市外の病院に行かないといけない。鉄道も廃線になり、移動手段がない。それもあり、18年前から自家用車の有償運航をやってきた。国の研修を2日受ければ有償運行でも良いという制度があり活用してきた。ライドシェアは国の主導ではなく、自治体の主導。地方部は公共交通はほぼ皆無。鉄道は廃線で動かない、などの課題があり、各自治体と連携しないと厳しい。そのために市長会などはある。官民連携は、地域のことをよくわかっていただくことが大事。地域によってハードのつくり方も違うし、個性も強みも違う。そういうところもしっかり見ていただいて小さなところからスタートしていくことが大事。

全国若手町村長会会長/葉山町長 山梨崇仁

大学在学中はウィンドサーフィン部に所属し、個人団体全日本総合優勝。人事コンサルタントとして働いた後、葉山町議会議員を2期務め、2012年の葉山町長選挙に初出馬し当選。無料のゴミ戸別収集や公共施設の自動販売機からペットボトルを無くすなど、プラスチックフリーの町づくりを町役場と地域ともに推進している。2023年に発足した全国若手町村長会初代会長。

そもそも自治体の課題発見が難しいかもしれないが、首長の施政方針演説を読み込むと、その地域の大きな課題がはっきりと書かれている。また、議会の採択される決議などを読み込むと課題が見えてくる。そこから課題を紐解いて提案していただくといい。特に防災や公共交通関係は本当にウェルカム。後々にランニングコストはかかるが、トライアルで無料で始めて、ダメだったらやめましょうといっていただくとスタートしやすい。EBPMと言われるように、エビデンスは大事。自治体はマーケティングする能力と機会がなかなかなく、執行するので精一杯。民間から合理性や社会のニーズをエビデンスを持って説明してもらえるとありがたい。

次回はパブリックアフェアーズのスペシャリスト達のセッション報告!

いかがだったでしょうか?官民連携において大切なことをまとめますと

  1. デジタル化や外国人労働者の増加など変化の激しい分野について、自治体は専門職員が多くないしキャッチアップできないので官民連携はより重要な時代に(熊谷知事)

  2. 自治体の課題は首長の施政方針演説を読み込むと見えてくる(山梨町長)

  3. 地域の特性を理解した上で民はアプローチすることが大切(鈴木市長)

  4. 特にエビデンスを提示して、合理性や社会のニーズを説明してもらえるとありがたい(山梨町長)

  5. 大きなことではなく、小さな成功事例を作ることがとても大事(全首長)

という流れになります。次回は、パブリックアフェアーズ(PA)のスペシャリスト達が登壇したセッションについてお伝えします。お楽しみに!

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