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Shake, Rattle and Roll!!《禅BEAT Tour2018》

Now&Here#20  
禅BEAT Tour2018
佐野元春&The CoyoteBand

赤い電車に乗って、日の出町で下車。
夕陽に長く伸びた影を引きずりながら、
にぎやかな野毛界隈から桜木町駅を横切って
柔らかな秋の日差しに満ちた みなとみらい へ。

ランドマークタワーの5階。
結婚披露宴を催す事が出来そうな会場。

ライブハウス仕様で前半分は椅子が設えられ、
後ろ半分くらいはスタンディング。
女性への計らいで一部に高い段差をつけた箇所が設けられていた。

今回、スタンディングのチケットを手にしていた
背の低いぼくは確実に埋もれてしまうのがわかっていたので、
開き直っていちばん後ろ、ミキサーさんの真ん前に
立ち位置を確保した。
そこは柵で隔てられ、ほんの少しだけ(1センチ位)傾斜があった。
それだけでもぼくにとってはありがたい高さだ。

毎度のことですが、はじまるまでの数分間が長く、
長く 感じる。早く、早くはじまってもらいたい気持ちと、
終わったあとの事を思う気持ちが入り混ざる感じ…。

定刻を少し過ぎてからメンバーがステージに立ち、
続いて佐野元春がさっと現れた!
視界はみんなの肩と頭で覆われ、その間隙を縫って
メンバーの肩から上の表情と動きを見ることができた。

ステージ上をクールに織りなす光の束、
密度の高い音像がからまり合い、
今ここにいるぼくらの心と身体を揺さぶりはじめた。

1曲目は前のマニジュツアーと同じく 境界線 からはじまった。

音の感じはミキサーさんの前だからだろうか?
ガッツリと厚みのある とてもバランスが
いい感じのサウンドが駆け巡る。

迷いのない確固とした揺るぎないロックン・ロールの
ビートと言葉とメロディが身悶えしながら
このランドマークタワーをスピンアウトしまくる。

年相応な佇まい、更に洗練されたスタイルをまといながらも、
変わらぬ凶暴な情熱がここでも地団駄を
踏み続けているのを目撃した。

緻密に絡まる高い技術と気高い魂に裏打ちされた
コヨーテバンドのサウンドが、この世界の奇妙な
空気を高速で回転させて真空状態へといざなう。

この今のとてつもなく複雑にこんがらがった世界に
漂う不穏で不吉な風を感じながらも生き続ける意思を持続すること……。

Shake, Rattle and Roll!!

この世界を果てしない時間と天体が視界を横切る。

太陽だけが見えている。

もう二度と会うことのない 2018年が暮れて行く。

夜明け前、目を覚まして洗面所の鏡の中の
経年劣化した男の網膜をのぞき込む。

それが誰なのか問いただしてみてみたい。


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