元シニアマネージャーに聞いた、未経験コンサル転職者が心がけるべきこと【前編】
はじめに
こんにちは!GradsGuideの大竹です。
今回は大手総合コンサルティングファームの元シニアマネージャーをお招きし、ご自身の転職経験とシニアマネージャー経験を踏まえて、転職者・上司双方の視点から「コンサル転職者に求められる資質」についてお話していただきました。特に未経験からコンサルティングファームに転職される方が心がけるべきことを中心にお聞きしています。
前編・後編の2本立てでお送りします!
プロフィール
二階堂尚彦さん(仮名)
新卒でIT系事業会社に入社し、主に営業を担当する。3年の勤務を経て大手総合コンサルティングファームに転職し、シニアマネージャーまで経験。(退社済)
ご自身のキャリアについて
ーーまず、ご自身のキャリアについて伺います。二階堂さんはコンサルティングファームに転職されていますが、なぜコンサルティング業界を選ばれたのでしょうか?
二階堂さん:最初に入った会社はスタートアップに近い事業会社でした。営業力は高かったのですが、特に型があるわけではなく、社員それぞれが自分のやり方を持って仕事を進めることで成果を出している企業でした。
再現性に疑問を抱き、全体感を掴みながら仕事をしたいと考えるようになりました。そんなとき、コンサルティングファーム出身の方が転職してきて色々とお話しすることがあり、彼らがビジネスの全体感を捉えながら論理的に仕事を進めているところを垣間見たのです。
それがきっかけで、私自身もコンサルティングファームに転職しようと考えるようになりました。
ーーそうなのですね。二階堂さんは、実際どのようなお仕事をされていたのですか?
二階堂さん:私はシニアマネージャーとして、プロジェクトを提案し、組織としての収益を上げるというミッションに取り組んでいました。組織を代表して外向きに発信することが増えました。特定のカテゴリにおいて組織を代表する立場にいましたね。
「最低限これだけは」シニアマネージャーが求めることとは?
ーーなるほど。では、実際にご自身がシニアマネージャーの立場になったときに感じた、プロジェクトメンバーに求めたい要素は何か、お聞きしたいです。
今回の読者の方は未経験でコンサル業界へ転職を希望されている方が多いと思いますので、未経験かつシニアコンサルタントクラスで転職してきた方を想定していただければと思います。
二階堂さん:それなりに人数が多く、能力においても一番ボラティリティが大きい層ですね。コンサルティング業界が未経験で、マネージャー直前のポジションで入ってきた方は大きく2つのグループに分けられます。前の企業での年収が高かったことから仕方なくシニアコンサルタントクラスで採用される人、面接を通して能力が適正だったことからシニアコンサルタントクラスで採用される人の2つです。
これはファームの採用側の問題なのですが、本来3から4年の経験を積まなければマネージャーに昇進できないような人もなぜか「1年以内にプロモーションを目指しなさい」と言われてしまうポジションで採用されることがある。これは結構難しい層ですね。
ーーそうなのですね。こういう方々が最低限もっているべき要素とは何なのでしょうか。
二階堂さん:これは経験者にも未経験者にも言えることなのですが、独り立ちできていないと困りますね。1つ説明すれば、その先を読んで指示を受けずとも自分で考えて行動できることが重要です。それは基本的なコンサルティングスキルからコミュニケーションスキルまで全てであって、どれか欠けていると大変だということです。
ーー特に未経験の方にとっては「独り立ち」は難しい印象です。どういった努力が必要なのでしょうか。
二階堂さん:その通り難しいのは事実です。
どこのコンサルティングファームでもクラス・ランク別の職種要件を満たしながらポジションを上げていくことが大前提です。つまり、特に未経験の場合は自分の現状と定義されている職種要件とのギャップを埋めることが必要です。そのためには求められていること・目指しているものとそれに対する自分の位置を知らなければなりません。
ーーなるほど。これができるかできないかで差が生まれてしまうということですか。
二階堂さん:はい。本来それをどうやって埋めるのかを考えて、埋めるために行動すれば良いわけですが、本来の職種要件を満たせずに上がってこられない人はどうやら自己認識能力が低いように思います。要は自分がどこにいるかわからず、自分は「近い」と思っているけれど、マネージャー・シニアマネージャーからは「遠いよ」と言われてしまうのです。
まとめると、上に上がれない人は「自己認識能力が低い」か、「自己認識能力は備わっていてもギャップを正確に把握できていない」か、「ギャップは理解しているが解決策の設計がうまくいっていない・やりきれない」か、のどれかだと思います。
ーー二階堂さんご自身も未経験でファームに入社されていますが、どのようにギャップを埋めたのですか。
二階堂さん:私はコンサルタントクラスで入社をしているのですが、前職ではまともにパワーポイントを作ったことがなかったために少なくともドキュメンテーション能力には明らかにギャップがありました。自分でもそれはわかりましたし、プロジェクトの上司にも聞きました。
「このタイミングまでにシニアコンサルタントになる」としたときにこれができないとダメだということは上位者はわかっています。自分は当然最初の半年は関連書籍は読みまくったし、残業とかは特に関係なく土日に「こういう分析をしてみよう」とか、「こんな風にパワーポイントに落としてみよう」と考えてやってみて、当時の上司に見せてフィードバックをもらいました。
プロジェクトにおける担当領域を超えた範囲として勝手にやって、自分から経験を積もうとしましたね。当時は不安しかなくて、「自分はできないのではないか」と常に思っていたことがそれを補おうと行動したきっかけだったのかもしれません。
ここで差がつく。優秀だと思う人の共通点とは?
ーーでは、ここまでは必要最低限求められる要件についてお伺いしましたが、今度は差がつく要件について伺いたいです。プロジェクトの中で「優秀だと思う人」はどんな人でしょうか。
二階堂さん:そうですね。これもどのクラスであるかにはよって程度は異なるのですが、共通して差がつくポイントになるのは「想像力」です。1つのことが起こったときに、では次に何が起こるのか、その場で何パターンも分岐させながら考えて、「それならばここまでしなければまずいのでは」と気付くことが重要です。
これはクラスによってその広さや深さが変わってくるのですが、想像力がどこまであるかはどのような役職でも必要なのだと思います。想像力がしっかりとある人がプロジェクトにいると良いと思います。言葉遣い一つとっても、「こういう言い方をしたら何が起こるのだろうか」、会議の場でも「これが終わったら明日何が起こるのだろうか」と考えて、たとえ指示がなくても考えて行動できる人が良いよねという話です。
ーー未経験の方に限るとどうでしょうか。
二階堂さん:若くて未経験なら「貪欲さ」が必要ですね。「なぜこの業界に入ったのか」を自分で考えることができていて、コンサルタントになること自体を目的化していない人の方が伸びます。
今は若い人の間でもコンサルタントという職業の人気が上がってきて、コンサルタントになることを目的としてしまっている人が増えている印象です。そういう人の存在がコンサルティング業界全体の質の低下に関わってきているような気がします。
ーー不安を抱えている転職者の方も多いと思うのですが、どのように解消していけばよいのでしょうか。
二階堂さん:どうありたいかが曖昧でわからないから不安につながることが多いと思います。まずは会社が自分に求めていることを把握すること必要なのだと思います。
まずは何を求められているのかを明らかにするのが必要なので、上司に聞くべきです。
マネージャークラスになるのだったら、それくらい自分で定義できないといけません。お客さんにいろいろなことを提示して実行してもらって変えていくのがコンサルタントなのだから、「自分がどうしたらよいかわかりません」というコンサルタントが発注をもらえるわけがありません。そういう意味でも自分に足りないものを聞けるのは若手のうちですね。
あとは、未経験でシニコンで入るにあたって不安だという人に関しては、身も蓋もありませんが、そのような人に優しいファームに入るのが良いのではないかと思っています。
根本解決にはなっていないけれども「不安にならなくていいよ」というスタンスで受け入れてくれるファームもあります。一方、あるファームでは若手も皆優秀なのですが、「今年2人も潰しちゃった」なんて話すことが当たり前のような風土もあったりします。全く文化が異なりますよね。入る前に文化を理解しておく必要があると思います。
ーーありがとうございます。後半では入社後に成長するために必要なことをあわせてお聞きします!
まとめ
まずはご自身のシニアマネージャーに至るまでの経験について伺った後、シニアマネージャー視点からメンバーに求めたいことまでお話いただきました。
では、どのように求められることに応えていくべきなのでしょうか?後半に続きます!
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