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名香には名香たる理由があるのだろうか

西洋美術史の講義を受けたことがある。講師はダヴィンチの名画・モナリザを取り上げて言った。

「名画には名画たる理由があり、それは好みとは異なるのです。」

私はモナリザがあまり好みではないが、この言葉を聞いた時に、芸術には客観的な評価基準があり、それを知りたいと思った。だが、講義の性格上その答えを聞くことは残念ながらできなかった。

香水においてはどうだろう。
ラジオの収録で「良い香水とは何か」という話をしてから、浅い知識しか持っていない私なりにずっと考えている。
名誉・名声・名手・名人・名物・名著・名文・名画・名シーン…優れているという意味の「名」という形容詞をつけて「名香」と呼ばれるもの。
思い浮かぶのは例えばChanelのN°5やGuerlainのMitsukoあたりだろうか。

では名香には名香たる理由があるのだろうか。

評価本や名香のレシピについて書かれた本は存在しており、いずれ読まなければと思っているが、どうもここには私の問いにドンピシャな答えはないような気がしている。

ざっと検索した限り、香水に関しての論文には歴史文化的アプローチ、心理学的アプローチ、化学的アプローチ、経済学的アプローチ、芸術的アプローチなどがあるが、全体的に学術的基盤が弱く、その中で「名香」をきちんと定義したものが存在するかどうか現時点で定かではない。
芸術的アプローチに関しては香水瓶に焦点があてられることが多く、肝心のその中身について芸術的な観点から触れられたものはあることはあったが、それは「香水を芸術的に捉えよう」というもので名香を定義したものではなかった。

表題の「名香には名香たる理由があるのだろうか」との問いには、それ以前に何をもって「名香」と呼ぶのか、まずはその定義から始めなければならないかもしれない。

この問題に手を出すかどうか今はわからない。
あまりに広すぎるその大海を目にして立ち尽くしている。








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