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Money, Must be funny

Money, money, money
Must be funny
In the rich man's world

ABBA『Money Money Money』Benny Andersson/Stig Anderson/Björn Ulvaeus

この記事を読んでくださっている皆さんも、昨今の物価上昇には辟易しておられると思う。


私は外出頻度が少ないので、買い物に出た際、特に食品を買う時にあまり金額を気にせず、欲しいものをカゴに入れてしまうのだが、レシートの長さと合計額のバランスがなんかだおかしいことになっているような気がしている。
この間までは、1点1点さほど高いわけではないのに…と思っていたのが、1点1点がもう既に高い。

私のように、自宅で介護を受けながら、隙間時間を使って仕事をしている身にとって、収入を上げようとして副業を増やすとか、転職を考えるなどということは難しい。
まして、年金や生活保護で暮らす方にとっては、さぞ苦しい生活だろうなと想像する。(年金・保護費に対する世間の不満は重々承知の上で言っている。それについての私の考えはここでは触れないことにする)

我々現代人にとって、貨幣というものは、命と同価であり、無くては生きていけないものである。
そして、そのような感覚を持つのは、我々が現代に生きているからだ。

『知と愛』に登場する流浪の芸術家ゴルトムントは、父親に修道院に預けられ、数学やラテン語や神学を学ぶ少年であった。
ある日、彼は修道院を飛び出すのだが、着のみ着のまま、何も持たない。当然お金もお金に代わるものも持っていない。
木の実を食べ、たどり着いた集落でスープなどの質素な食事と宿を提供され、時にはパンを盗む。
仲睦まじくしていた女性から別れ際に金貨をもらうも、金貨を狙う男を殺してしまう以外に、彼からお金に対する執着などは感じられない。(自分の命も危なかった)


集落の人達も、質素に暮らしている。
もっとも貴族の類はわからないが、少なくとも株価の上がり下がりであたふたしているような時代ではない。
それに、あくまでも小説の中の話である。

しかし、ゴルトムントのように何も持たずに暮らすということが、現代の我々にできようか。
貨幣なしで住処を出られる身軽さに、私はたいそう驚かされた。

自給自足だとか、モノを持たない暮らしだとかに憧れは持たないし、逆にたんまりと財産を得てFIREしたいとも思わないが、誰かのマネーゲームに一喜一憂させられる暮らしは、"Must be funny"だ。

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