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明野の春

先日、お客様でもあるパレスホテル東京の「天麩羅 巽」へおうかがいしました。パレスホテル東京は、両親が40年以上前に結婚式を挙げたホテルということもあり、思い入れも深いのですが、造り手としてとても嬉しい出来事がありましたので、今日はそのお話から綴らせてください。

天麩羅に合わせて『Grace Blanc de Blancs 2013』を最初にいただいたのですが、そのときにパレスホテル東京の西村ソムリエが用意してくださったワイングラスが、大振りのグラスでした。

大振りのグラスに注がれた『Grace Blanc de Blanc 2013』

まず一杯目は、縦に長いグラスで提供いただき、次に少し時間をおいて温度を上げた同じ『Grace Blanc de Blancs 2013』を深いシャルドネグラスを使って注いでくださいました。
「このワインは、小さなグラスではもったいないです。」とおっしゃってくださった西村ソムリエのワインへの心遣いが伝わり、ワインがとても喜んでいるように感じました。

最後の穴子に合わせて、『キュヴェ三澤ブラン 2017』も開けてくださり、一人でうかがったにもかかわらず、思い出のランチとなりました。
このような経験は、ワイン造りの多少の困難を吹き飛ばしてくれるもの。やっぱり飲食店は、私にとって特別な存在です。
最後に出されることが多い穴子は力強いので、通常お出汁の効いた天つゆに合わせてロゼをいただくこともあるのですが、「天麩羅 巽」の天ぷらは、とても上品で緻密な味わいで、シャルドネが良い塩梅でした。

穴子と『キュヴェ三澤ブラン』


さて、標高700mの明野にも春が訪れました🌸
スパークリングワインのデゴルジュマン(滓の除去)など精細な作業の合間に、春の柔らかで暖かな色合いはほっと一息をつかせてくれます。

ワインカーヴ前の桜

2021年産の甲州『甲州 菱山畑2021』『甲州 鳥居平畑プライベートリザーブ2021』もリリースいたしました。

勝沼で最も標高の高い位置に構える菱山地区は、白ワイン用ブドウの産地として名を馳せます。白ワインの骨格をなす酸がいきいきとして、スモーキーで硬質的なイメージを持ち、果実のボリュームは主張し過ぎず、スパイス香などのニュアンスがワインに奥行きを与えています。

一方、鳥居平地区は、言わずと知れた勝沼を代表する産地。
日当たりの良い斜面と水はけのよい礫質土壌から生まれるワインは、エネルギーに満ち溢れています。
太閤検地では、ブドウ畑の記録が残されるなどの歴史も背負った畑です。
勝沼で生まれ育った私にとって、鳥居平畑の特徴的なワインのあつみには、伝統の重みが貢献しているように感じています。

勝沼の丘陵地

ワインは、風景そのもの。是非、産地の違いを感じていただけましたら嬉しいです。
最後に、メディア掲載のご紹介をさせていただきます。

◆ダイヤモンドオンライン◆
グラフィックデザインの巨匠、原研哉さんと対談をさせていただいています。
グレイスワインのラベルも20年以上ご担当くださっています。
ものづくりは細部に命が宿る気がするので、単純に理解されないものにやはり魅力を感じています。

◆PIVOT◆
「グローバル&イノベーション」をコンセプトに、世界の多様な情報や知見、そしてイノベーションの最先端にいる挑戦者のストーリーを伝える記事連載や映像番組経済コンテンツを配信するアプリ「PIVOT」8話から10話に登場させていただきました。
専用アプリをダウンロードしてご覧ください。

◆The Nikkei Magazine Style Ai◆
本経済新聞社が、講談社と連携して働く女性に向けたフリーマガジン「Ai」にて、藤谷編集長と対談させていただきました。
日本経済新聞購読者向けのフリーのタブロイド紙です。ご購読されている方に限られてしまい恐縮ですが、ご覧いただけましたら幸いです。


ブドウ畑の側らには、ワラビやたらの芽などの山菜が出始めました。
甲州の余韻には、ピンクグレープフルーツの皮のようなアクセントを感じることがあり、山菜の上品な苦味とよく合います。
是非、甲州と合わせてお楽しみください。

ブドウ畑に出始めたたらの芽


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