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【J1 5節 横浜FM-名古屋】理不尽もサッカー

名古屋のビルドアップとは?

基本的に、横浜FM戦のレビューなのですが、その前に戯言を。

よく「名古屋はビルドアップが苦手」とか「長谷川監督はビルドアップを仕込めない」とか聞きますが、いつも違和感を感じています。

ビルドアップってなんですか?

ちょっとググると出てくるので、定義を細かく議論するつもりはないんですが、”グラウンダーのショートパス中心に前進する”みたいな感じですかね。

だけど、”ディフェンスラインで、横パスをしながら、タイミングを見て蹴っ飛ばして、裏抜けやポストプレーをする”のって、広義にはビルドアップなんじゃないかって思ってるんですよね。

やっぱり、ビルドアップって名前なんで、確率の高い選択肢の中からプレーを選んで組み立てないとビルドアップって呼べないのかもしれないですよね。でも、山岸やパトリックやユンカーがいれば、そこに蹴っ飛ばした方が確率高いって可能性もあるんで、確率の高いプレーを選ぶって意味でも、やっぱり”名古屋なりの”ビルドアップが今のプレーなんじゃないかという想いです。(ここら辺が戯言)

ボール保持が衰退?

レビューに入る前にもう一つ戯言を。(早く本題に入れと言う声が聞こえる)

神戸の優勝やらで、ボール保持の衰退みいたいな話もよく聞くんですが、あれも違和感を持ってます。

結局、”DFラインが戻ってくる前に攻撃を完結する”ことが重要だってことが認識されて、その手段として、神戸みたいな強度と大迫をメイン戦略にしたり、ボール保持だけど、アタッキングサードに向けてスピードを上げて縦に早く攻撃を完結する戦略の広島、新潟、横浜FMみたいなチームがいたりということだと思うんです。

だから、ボール保持の中でも、アタッキングサードにゆっくりビルドアップしてボールを保持し、べた引きの相手を崩すってスタイルのボール保持が衰退しているだけだと限定して話すべきだと思うんです。風間グランパスや、WGを失った川崎や、バルサ化神戸のような・・・。(ここら辺が戯言)

ということで、ここからやっとレビューに入ります。

基本情報

スタメンはダイジェストで確認を↓

スタッツはこちらで確認を↓

前半:2つの予想外

今シーズンから取り組む532の中盤逆三角形がしっくりせず、昨年慣れ親しんだ523に戻して勝利した柏戦に続く、横浜FM戦は…532に戻してきました(汗)。(予想外1)

そして、守備は、昨年のマリノス戦同様にオールコートプレスとミドルゾーンプレスの併用を想像していたんですが、ローブロックとミドルブロック!(予想外2)そして、ミドルブロックでは内田を上げた442にして、ローブロックでは541という可変を仕込んできました。

つまり、前半は押し込まれて非保持でもOKというゲームプラン。”2つの予想外”は、横浜FMと名古屋の現状を踏まえると、ローブロックで引きこもってもある程度耐えられるという自信と、押し込まれた状態から敵DFラインへのロングボールでの攻撃が機能する自信があったためだと思われます。

言い換えると、先ほど衰退したといったアタッキングサードでのボール保持を横浜FMに強いて、ロングボールでDFラインが揃う前に攻撃を完結させる名古屋なりのビルドアップを最大限発揮できる形で戦おうという判断だったと思いました。

今年モデルの探求

ここで1つドヤらせてもらうのだが、解説の林陵平大先生よりも先に、ミドルサードの非保持442に気づいていました。(16:19post参照↓、アイキャッチ画像のフォーメーション)。ちなみに名古屋戦のDAZN解説はすべて林大先生にお願いしたい。

このミドルサード442守備は、今年の532の改善点として仕込まれたといって間違いないです。つまり、もともと前に人を残したいから532にしていたんだけど、それだとIHが過負荷で強度を保てない、そしてダブルボランチに比べボール回収がおぼつかない、という2つの課題に対するバランスを取るためのアンサーでしょう。

ここで疑問が1つ浮かび上がります。一列上げるなら内田じゃなくトージロー君だろうと。

これは、名古屋右サイドはマンマーク気味につけて強度を上げて、森島をSBに充てることで森島の高さを維持しよう!作戦だったと思います。エウベル_トージローサイドは打ち合いになることをある程度想定して、逆サイドの水沼はある程度捨てようって作戦です。(怖い怖い)もちろん、ダブルボランチ風にするためにも内田を上げる必要がありました。(2列目は内田米本稲垣森島となる)

ちなみに、水沼を捨ててたことは後半きっちり気づかれて、後半開始早々は水沼サイドからの攻撃が多くなりました。後半開始から名古屋は別の守り方にしていたので、事なきを得ましたが…(怖い怖い)

前半の名古屋は、ローブロック中心に耐えきり、カウンターを突き付けながら0-0で終えました。

後半:それぞれの理不尽が輝く

後半に入り、さすがにもう少し高めでプレスしようということで、ミドルサードの守備時は、3412にして、アンカーをパトリックが見張り、永井と森島で相手CBをみて、久保も前SBを捕まえにいく形で圧力を高め、攻勢を強めていきました。

そんな中、永戸のシュートで先制を許します。コースはそれほどきわどくなかったですが、やはりシュートスピードは正義だと思いました。(理不尽)

そして、交代してから何本か効果的な配給を見せていた、吉田温紀の裏へのロビングを森島司がループシュートで決めて同点に追いつき、(理不尽)

さらに、ATに山中亮輔の直接FK(スピードシュート)が決まり逆転勝利をした。(理不尽)

結局、ゴールになるのは理不尽ばかりでしたが、この勝利は監督や分析班の理詰めの勝利であったとも思うので、それは後程。

交代選手の特性が生かせるように

コンスタントに倍井が途中交代でチームに勢いを与えています。

マスイロールというほどじゃないけど、守備時はインサイドで追い回し、攻撃時にはアウトサイドに移動し、カットインを中心にドリブルを仕掛ける。相手陣形を崩すとともに、味方の攻め上がりを待つ溜めにもなって、攻撃に厚みを持たせています。シュート意識もかなり高い。相手チームとしては、タッチライン際に立った倍井に寄せるため、SBの守備の移動距離が長くなることもあり、交代投入が特に効いています。

倍井の後ろで右WBに入る選手は、山中であれ和泉であれ小野であれ攻撃時にインサイドに絞るような動きがみられ、ビルドアップを助けています。相手チームとしては、終盤に守備配置がズレるのもやりにくいでしょうね。

けんマスイ個人の能力も素晴らしいんですが、組織として交代を使いながら、どうギヤを上げていくのか?という意思統一があるから、終盤の攻勢につながったという点も見逃せないですね。

さいごに

押し込んだ状態で最も正確性が高いプレーをするヤンマテウスがいなかったことは、前半をローブロック守り切る決断の大きな要素であったと思います。また、先制された直後に、エウベルを下げてくれたことでマリノスの攻撃の設計のゴールであるWGの質的優位が低下したという意味で、名古屋としては助かりました。

もちろん、名古屋もフルメンバーではない中、負傷、脳震盪(多分、ハの26分のヘディングでのシュートブロック?その後35分までプレー)などでさらに戦力を失いながら、総力戦のマリノス戦でした。そんな中、交代選手がすべて効果的に機能し、それぞれの個性の発揮による”理不尽”により、終盤に圧力を強められたことは、今後のゲームプランに大きな幅をもたらしますよね。(久しぶりの交代選手の得点!!)

ゲームプランと言えば、準備の段階から今年の532の課題であったIHの過負荷とボール回収能力不足を修正し、マリノスの状況を冷静に判断して前半は構える守備を選択し、後半にギヤを上げる90分を通したゲームプランが見事に嵌りました。

長谷川監督および分析チームのもたらした勝利でもあり、理不尽というより理詰めの勝利であったのではないでしょうか。

自分たちの得意な非保持での良い守備からゲームに入り、前半失点0で抑えられることに主眼を置いたゲームプランを続ければ、おのずと勝ち点もついてくるのではないかと思います。

「ボールを押し付けるチームが出てきたら、名古屋の調子が上がってきた証拠だ。」

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