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組織として学習する

コロナ禍で社会や経済の様相は一変しましたが、それ以前からも、組織の置かれたグローバルな競争環境は絶え間なく変化し、ITを中心とした革新的な技術や製品の投入、経済的な激変や圧力、大規模な気象事象、あるいは、社会的な要求が引き金となって、破壊的な事象がより頻繁に発生しています。

こうした環境において、組織として高い水準のパフォーマンスを挙げるには、組織としての学習と俊敏性が求められます。

ボルドリッジにおいても、組織の学習と俊敏性は、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの基盤となっている核となる価値観と概念のひとつとなっています。

組織の学習と俊敏性(Organizational Learning and Agility)
 組織の学習には、既存のアプローチの継続的な改善と、新しい目標、アプローチ、製品、市場につながる大きな変化またはイノベーションの両方が含まれます。組織的な学習は、俊敏性、迅速な変更、運用の柔軟性を可能にする必要があります。
Baldrige Core Values and Concepts (NIST)より。翻訳筆者)

アプローチは、組織がその業務プロセスを進めるために用いている手段です。例えば製造業においてアプローチの改善は、ムリ・ムダ・ムラを省いて作業を標準化したり人のスキルを高めたりして改善を進めることもあれば(既存のアプローチの継続的な改善)、最新鋭の機械を導入してやり方を一気に変えることもあります(大きな変化やイノベーション)。

こうした学習を、組織の事業運営の中に組み込みます。
すなわち、組織の学習の要点は次のようになります。
(1)日常の仕事そのものの一部である
(2)個人、職場及び組織的なレベルで実践される
(3)問題の根本原因を解決する
(4)組織全体での知識の構築や共有に重点を置く
(5)重要な意味のある変化がもたらされる機会をとらえて推進される

組織の学習を通して得られる結果としては、
(1)新規及び改善された商品やサービスによる顧客価値の向上
(2)新しいビジネス機会の創造
(3)新しく改善されたプロセスやビジネスモデルの開発
(4)ミス、不良、ムダの低減と関連コストの削減
(5)応答性やサイクルタイムの改善
(6)全ての資源利用における生産性と実効性の向上
(7)社会的責任を遂行する際の組織的パフォーマンスの向上
などがあげられます。

従業員やリーダー個々人の学習とともに、組織としての学習を進めます。

知識創造のモデルとして代表的なものにSECIモデルがあります。「共同化(S)」「表出化(E)」「連結化(C)」「内面化(I)」という4つのステップで、暗黙知を形式知に変換し、形式知を暗黙知に変換することを繰り返して、組織知を高めていくプロセスですが、これはまた、個人の学習を組織の学習につなげ高めていく組織学習のモデルとも言えます。


ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーは日本語で読めます。
「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。
下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。



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