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顧客起点のDXの意味

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク、最新の2021-2022年版で特に着目した点に「デジタル化と第4次産業革命」がありますが、丁度、デジタルトランスフォーメーション(DX)について話す機会を頂きましたので、その準備のため、関連する情報を集めています。(セミナーは5月下旬にオンライン開催されることが決まりました。)
 経済産業ビジネススクール・時代セミナー”二水会“第8講座(2021年4月14日開催)で、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する話があった中で、「OMO(Online Merges with Offline)」という(私にとっては)新しい概念の紹介があったので、ほかも調べてみました。

 「アフターデジタル2」(藤井保文著、2020年、日経BP社刊)によれば、OMOとは、「オンラインとオフラインを分けるのではなく、一体のジャーニーとして捉え、これをオンラインの競争原理から考える」という概念。(ジャーニーとは人の行動・思考・感情などを見える化したものを指す。)

 オンラインとオフラインを分けているのは企業側の都合であり、ユーザーはオンライン、オフラインという区別を意識せず、そのとき一番便利な方法を選んでいるだけ。「顧客視点」から言えば、分けることに意味がない。
 そしてさらに、オンラインとオフラインを融合して捉えるとしたときに、オフライン(リアル)にオンラインをくっつけるという発想でなく、オフラインがオンラインに包含されると捉えることができる。このため、オンラインの競争原理で考えることが重要になってくる。

 これは具体的には、これまでは年齢や性別、職業などの「属性データ」をもとに顧客とその顧客に提供する価値(製品・サービス)を決めていたところが、オンライン(デジタル)ではユーザーがどのような状況にいるかを示す「行動データ」を獲得し、それを活用して顧客に経験を提供するものです。
 このとき、「行動データ」は、個別接点のデータを単に多く集めただけではだめで、「一人ひとりのユーザーの行動履歴」という形で時系列にデータが並んでいることが大事です。そうでないと、顧客の置かれた状況を抽出できず、顧客理解に利用できないため、活用価値が極めて低くなってしまいます。

 オフライン中心からオンライン中心にビジネスが変わったというより、商品やサービスの提供から、顧客体験の提供へと変わってきたということが背景にあります。

 DXも単に「ITを活用した変革」(IT×イノベーション)でなく、「UX(顧客体験)の変革を中心に置かないDXは中身のない変革になりがちである」としています。(第3章 誤解だらけのアフターデジタル)

 「顧客起点のDX」、その意味するところを、少し具体的に示してくれました。




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