見出し画像

リスクは避けるもの、予防するものという意識がどうしても先に立つけれど

  「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」は特に「業務の有効性と効率性」を基軸にした「内部統制」の有効性を診断する評価基準です。この評価基準を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、具体的に仕組みに落とし込んでいく方法をとっています。
 その8つのカテゴリーの4つ目「4.経営管理の実践、改善」では、リスクの特定と予防について、確認しました。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)では、リスクを特定し評価したうえで、それがインテリジェントリスクであれば、それを回避するのでなく、積極的にそのリスクを「とる」ことを重要としています。

 リスクは避けるもの、予防するもの、という意識がどうしても先に立ちますが、インテリジェントリスクをとることを組織風土にまで落とし込むことが、組織としてイノベーションを生み出すことにつながるとしています。

 インテリジェントリスクについて改めて見ておきます。

インテリジェントリスク(INTELLIGENT RISKS)
その機会によって得られる可能性のある利益が、その機会を活かさなかったときに組織の未来の成功に対して及ぼす可能性のある害や損失を上回る機会のこと。
(2021-2022 Baldrige Excellence Framework, BPEP, 2021より。翻訳筆者)

 式で表すと次のようになります。

  うまくいった場合に        うまくいかなかった場合に
  得られる可能性のある   >   被る可能性のある
  利益               害や損失

 インテリジェントリスクを取るには、失敗を許容する風土、および、必ず達成できるとわかっていることにだけに取り組むのではイノベーションが生まれないという認識を持つことが必要です。
 そうした組織文化・風土を作ることが、イノベーションに向けた取り組みをサポートすることになります。

 イノベーションに取り組む組織は、当初は、その一部は失敗につながることを認識しながら、成功の可能性に投資しなければなりません。
 許容できる害や損失は、組織によって違いますので、インテリジェントリスクであるかどうかの判断も組織によって異なります。望ましいのは、うまくいかなかった場合の害や損失が限定的で、うまくいった場合の利益に上限がない機会です。

いり

★★

 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?