いま変革に必要なこと
コロナで世の中が大きく変わりました。そしてその変化は進行中です。個人も組織も、その思考や行動にはこれまでとは異なったものが求められています。変わらなければ生き残っていけないのです。
でもどのように変わればよいのか。何をどのように変えたらよいのか。それはまた、何を変えてはいけないのか、の問いでもあります。
例えば、競争が激しい市場環境にある組織や、事業承継など内部的に大きな変更が求められている組織には、これまでも、そうした問いかけはありました。しかし、このコロナの時代には、それがすべての組織に問いかけられるようになりました。
ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、組織の経営を7つの側面から見て、評価し、強みと改善すべきことを明確にして、強みを活かして改善を進め、それを繰り返すことで、業績の向上と将来の成功に導く仕組みです。
7つ側面は、リーダーシップ、戦略、顧客、測定・分析・ナレッジマネジメント、働き手、オペレーション、及び、結果です。これは逆に言えば、経営全体を対象とするものと言えます。
製品やサービスをそのものをどのように変えるか、ではなく、製品やサービスを提供する、あるいは、新しく生みだす仕組みに焦点を当てています。仕組みを変えることで、それが生みだす結果も変わってくるというアプローチです。
ボルドリッジは、その歴史のなかで経営の模範的な実践を積み重ねて得られた、業績の向上と将来の成功の基盤となる経営の指導原理「核となる価値観と概念」を、組織の仕組みのなかに埋め込みます。
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版であるボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーには、101の質問があり、その質問に答えて、その回答を評価することで、組織の強みと改善すべき点を導き出します。
ここに導き出された「強み」は、変化が求められる時代にあっても、変えてはいけないものです。それを明らかにします。変化が必要と言われて、時流や他のうまくっている組織を真似て、変えてはいけないものを変えてしまわないようにしなければなりません。
また、ボルドリッジでいう「改善」は、悪いところを直す、ということ(だけ)ではなく、「向上」すなわち、今よりもより良くするという意味です。これには強みをさらに強くする、ということも含まれます。これによって組織内に「改善のサイクル」を生み出します。すなわち向上しつづける仕組みを組織内に埋め込むのです。そしてそれを持続することで、組織としてイノベーションを生み出すことにもつながります。
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ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダーは日本語で読めます。
「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。
下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。
注記:2つの図は Baldrige Excellence Framework 2019-2020, BPEP, 2019 から引用。翻訳筆者