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忘れられてるアフガニスタン戦争〜イラク戦争前後の反戦歌ブームを振り返る

時は2000年代前半、アメリカのワールドトレードセンターに飛行機が突っ込んだのを発端に、当時のブッシュ大統領が何故かアフガニスタンと戦争を起こそうとしてついでにイラクにも首を突っ込もうとした。それを受けて当時の日本の総理大臣小泉純一郎が戦地への自衛隊の派遣を表明。

で、その政策の是非は置いといて、その小泉政策の影響で日本で『反戦ブーム』が沸き起こった時代があったんだけど、ネットで検索しても完全に忘れられてるっぽいので私が書き残す。

と言っても、もう20年くらい前に起きたブームなので記憶が曖昧な点もあるけどとりあえず「こういう時代もあったんだよ」と聞いてください。
あとそれぞれ公式動画が見つかった曲は埋め込んでおきますが、公式が無い曲の歌詞は自分で検索してください。

なお、今反戦ムードが収まっている音楽界の状況と照らし合わせて、敢えて『ブーム』と表現しておきます。

まず、「GLAY」というバンドのメンバーTAKUROが新聞に『NO WAR』というメッセージを載せ、バンドとしても「CHILDREN IN THE WAR」という反戦歌を作りました。

GLAYと言えば、幕張のライブで20万人を動員して世界記録を樹立した当時売れっ子のバンドです。

ちょっと例が古いかな、じゃあ次、SMAP。
「Triangle」という歌が紅白歌合戦で歌われていました。当時はおおらかだったのです。

次に忌野清志郎に異常に似ている宇宙人がボーカルを務める『LOVE JETS』というバンドとさくらももこ。
「ちびまる子ちゃん」のEDテーマ、「宇宙大シャッフル」という歌はさくらももこが作詞しているのですが、まあ思いっきりそういう歌詞です。
今の若い子達には信じられないかもしれませんが、あんな歌がなんと本当にちびまる子ちゃんのEDで毎回流れていました。世間がおおらかでした。


次、ミスターチルドレン。「タガタメ」という歌もそれっぽい歌詞です。

が、これは反戦歌ではなく、当時多発していた児童犯罪の影響で作られたそうです。しかしなんとこれ日清カップヌードルの『NO BORDER』というコマーシャルで流れてました。
続いて「and I love you」という歌も日清とタイアップしていました。
ちなみにCMの内容は草木が生い茂った戦車の上でカップヌードルを食べるという内容です。

次、坂本龍一とMC Sniperの「Undercooled」。
歌詞は韓国語ですが、思いっきり和訳されてミュージックステーションで流れてました。

"「自爆テロ」をどうやって防ぐの?
ただテロリストを殺しただけで
どんな幸せが手に入るというの?"

という歌詞がゴールデンのお茶の間で流れてました。

次、桑田佳祐。「ROCK AND ROLL HERO」。
収録アルバム全体が社会風刺に満ちた歌だそうです。

「アムェリカぁは僕らのヒ〜ロ〜」という歌がコカコーラのCMに使われていました。
桑田佳祐はずっとそんな感じではありますが、それがCMに使われていたのがポイント。

次、「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」。
完全に忘れられてますが、ミッシェルも反戦歌作ってたのです。
「girl friend」という歌はまあそういう感じです。



とにかく、2000年代は「正義の反対は別の正義で〜」とか「攻撃される前に防衛力として〜」そういう言説というかミームがまだ無く(それどころか「武力は抑止力にならない」というセリフがテレビゲーム「メタルギアソリッド』に収録されていた程)、「とにかく戦争は絶対ダメ」という時代があったんです。それが良い悪いはともかく。

〜↑ここまでが2000年代前半の「日本の空気」の話〜

〜↓ここから自分の話〜

なお、そういう空気が日本中に蔓延していた時代に物心付いた私は、ナンバーガールの『鉄風、鋭くなって』を反戦歌と思って居ました。(ちょっと時代ズレるけど)

発狂した飼い猫=日本兵
念仏唱えてさようなら=責任を取らない支配者達

みたいな感じで、伝言ゲームで戦争への嫌さを伝えてるんじゃないかと。
信じられないでしょうけどミュージシャンは全員反戦歌歌って当然、歌わない奴は居ないという時代があったのです。

で、関係ないけどなんで2023年現在のインターネットで2000年代の反戦ブームが忘れられてるか考えたんですが、その頃GLAYやSMAPを聴いていた層はネットをやらず、ナンバーガールや椎名林檎などの不真面目、無意味、露悪(これこそが人間の本性みたいな)の歌を聴いていた、サブカってた層が多数派を占めているからかなと思ってるけど自信ない。

ちなみに、90年代初期だけど、ブランキージェットシティの「悪いひとたち」という歌も面白いよ。

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