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イベントレポート:女性がすこやかに働き続けるために今知ってほしいこと〜職場をアクティブにする女性のヘルスケア〜

グロービス・ワーキングペアレンツ・クラブ幹事の川田香奈(2023期オンライン校)です。
今回はグロービス卒業生でもある大塚製薬株式会社 鶴田正人さん(21期オンライン校)をお招きして、女性のライフステージとヘルスケアについて、お話を伺いました。

■女性の40-50代は体の負担が大きい「ゆらぎ期」

代表的な女性ホルモンであるエストロゲン。卵巣で作られるこのホルモンは女性のライフステージによって分泌量が大きく変化します。
10代に急激に増加し20-30代にピークを迎えた後、40-50代ではジェットコースターのように乱高下しながら低下していきます。女性は閉経を迎えると卵巣でエストロゲンを作るのをやめる一方で、脳からは「女性ホルモンが足りないから出してくれ」と卵巣への指示が継続しています。このバランスの悪い状態が自律神経の乱れなどにつながります。
この「ゆらぎ期」は体の負担が大きいだけでなく、子供の進学や親の介護とも重なりやすい時期でもあるため心身ともに不調が出やすい時期です。

■女性の健康課題による社会経済的損失は数千億円規模

「ゆらぎ期」の更年期症状だけでなく、月経前症候群(PMS)などの不調は仕事に影響し、病欠(アブセンティーイズム)だけでなく、出勤していても生産性が低下した状態(プレゼンティーイズム)も招きます。こうした生産性低下などによる労働損失は年間4,911億円と試算されています。さらにPMSや更年期症状は日々の生産性低下に留まらず、昇進辞退や退職に至る要因にもなっているという調査結果もあります。
外部環境としても、経済産業省の「健康経営優良法人」の認定要件にも「女性の健康保持・増進に向けた取り組み」が評価項目に盛り込まれるようになり、企業はこれまで以上に女性の健康推進を重要視することが求められています。
今や社員の健康管理は投資。企業が女性の健康課題へ対応することがプレゼンティーイズムの改善、長期的な人材活用、エンゲージメントの向上をもたらし、企業業績向上へつながることが期待されています。

■新・セルフケアで付き合う

女性ホルモンの影響とうまく付き合っていくには、自身の知識・行動を中心とした従来型セルフケアから、婦人科健診やかかりつけ医活用も含めた「新・セルフケア」へのシフトを提案いただきました。
ゆらぎ世代の女性ホルモン低下に伴うヘルスケアの基本は、心身機能の調和。
規則正しい生活や適度な運動、バランスのとれた食事に機能性食品などで栄養素を補いながら、必要に応じて産婦人科医による治療も受けることが有効ということでした。更年期症状はホルモン補充療法や漢方薬など、症状に応じた治療法があるようです。

また食事面では、女性ホルモンに似た働きがある大豆もおすすめ。大豆イソフラボンから代謝される「エクオール」は、ホットフラッシュの抑制や肩こりの改善等更年期症状に効果があると報告されています。
エクオールは大豆食品を食べると腸内細菌の力を借りて作られます。しかし、残念ながら、エクオールは皆が作れるわけではなく、中高年女性で半数、若年女性で20%程度しか作ることができなくなっているようです。もしエクオールを体内で作れない方でも安心してください。エクオール含有食品を利用することで、手軽に摂取できるとご紹介いただきました。

■質疑応答

Q)更年期症状は更年期後も継続するのでしょうか?
A)終わった後も長く付き合うケースがあり、波があるようです。40代は乱高下のゆらぎが大変な時期です。専門医の先生からは、PMSは閉経前に辛くなるケースもあると伺ったことがあります。

Q)男性の立場から、女性の部下に対してどのように声をかければ良いのでしょうか?
A)まずは女性の健康について知り、理解することが良いと思います。

■情報収集

女性の健康に関する正しい情報として、下記サイトをご紹介いただきました。

ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)
https://w-health.jp/
登録不要・完全無料で「女性の健康のため」の動画が視聴できます。

HUMAN+ 女と男のディクショナリー(日本産婦人科学会監修の健康手帳)
https://www.jsog.or.jp/modules/humanplus/index.php?content_id=1
日本産婦人科学会が監修した健康手帳「HUMAN+」は、女性だけでなく男性にも知ってほしいことが掲載されています。

日本女性医学学会
https://www.jmwh.jp/
更年期についての解説動画視聴や専門医を検索することができます。

更年期ラボ(大塚製薬)
https://ko-nenkilab.jp/
女性の健康について相談できる施設を検索することができます。

意外と知らないことも多かった女性ホルモンとライフステージの関係、そしてPMSや更年期症状に対する新セルフケアの概念。この機会にヘルスリテラシーを上げて、自分と周りの女性たちがすこやかに働き続けるようにしたいと思いました。

鶴田さん、お忙しいところ、ありがとうございました!

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