コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/11/5)
ソフトバンクG、出資先に一段と厳しい企業統治基準適用へ
【記事の注目ポイント】ソフトバンクグループ(SBG)は、ビジョンファンドの出資先企業に関して、従来よりも一段厳しい企業統治基準と複数議決権を持つ種類株の制限を打ち出す見通しとのこと。WeWorkを巡る同社の企業統治不全等を踏まえた方針とみられ、今後投資す企業だけでなく、既に出資している企業についても同様の企業統治基準の適用を行う方針とのこと。
【コメント】報道されているようにWeWorkの不調がビジョンファンド、ひいてはソフトバンクグループ全体に影響を及ぼしかねない事態を生じさせているため、この動きは当然と言えば当然といえる。一方で、ヤフー、アスクル、ZOZO・・・といった同社内の上場子会社群をどのようにするかまでは踏み込まないつもりだろう。ただし、一部の専門家からは、上場子会社に対sして一定の規制を強化するべきという意見も根強くあり、今後の方針次第では、上記のような上場子会社の整理が進む可能性もある。
米マクドナルド、CEOを解任 「従業員と関係」
【記事の注目ポイント】米マクドナルドは3日、スティーブ・イースターブルック最高経営責任者(CEO)を解任したと発表。同氏が従業員との間で「合意に基づく関係」を持ったためだとしている。後任のCEOには米国部門社長のクリス・ケンプチンスキー氏(51)が就任。
【コメント】今年の米国企業のCEO退任は過去最高件数ペースで推移しており、先日もナイキやアンダーマーでCEOが退任した。昨年・一昨年以降、MeTooの流れでセクハラやパワハラで退任するCEOは増えており、今回の件もそうした流れの一環とみることはできる(恐らく不倫をしていたのだろうと思われる)。
取引先からの歳暮を自粛 中部電、役員ら 関電問題受け
【記事の注目ポイント】中部電力は31日の会見で、取引先に対して中部電に対する歳暮を贈ることを控えてもらうよう、役員が取引先企業に対して呼びかけを始めたと明らかにしたとのこと。関西電力の金品受領問題を受け、中部電は贈答品などに関する社内ルールを策定しており、先行して歳暮の受け取りを自粛するとのこと。
【コメント】逆に今までは全くこうしたガイドラインがなかったということなのだろうか。恐らく、程度の差はあれど、関電と似たり寄ったりという電力会社がほとんどと思われる。
ガバナンスの実効性上げる会社法改正に
【記事の注目ポイント】政府が会社法の改正案を閣議決定した。上場企業の企業統治(コーポレートガバナンス)の強化を促す内容だが、企業価値の向上に寄与するような取り組みとなることが必要だ。企業の資本効率の改善に足踏みがみられる中で、コーポレートガバナンス改革の実効性を高め、企業成長にどのようにつなげるかが注目される。
【コメント】今国会の会社法改正については、既にコーポレートガバナンスコードに盛り込まれ、各社の取組みも進んでいる内容が多い。一方で、例えば社外取締役の選任や役員報酬の決定方針をの開示を「単に行うだけ」でなく、その取り組みを、「どのように自社の企業価値向上に繋げる」かが問われている。その意味で、現在のコーポレートガバナンス改革は、決してコンプライアンスの強化ではなく、あくまで企業価値向上に向けた経営改革として取り組む必要がある。
乾汽船の臨時総会、社長解任の株主提案を否決
【記事の注目ポイント】乾汽船は4日、筆頭株主であるアクティビスト(物言う株主)のアルファレオホールディングスの要請に基づき、臨時株主総会を開催した。アルファレオ側が提案する4議案全てが否決された。アルファレオは乾社長について「企業価値向上に資していない」などとし、同社長の取締役解任などを求めていた。
【コメント】アルファレオがどこまで本気で臨時株主総会を開催したかは不明だが、臨時株主総会を開催し賛否を問うことだけでも、アルファレオとしてはプラスだっただろう。一つは、この動きによってアルファレオ自身の名前が広まり、今後の出資者の獲得に役立つということ、もう一つは乾汽船側が否決したとはいえ、こうした議案を求めて臨時株主総会を開催せざるを得なかったということは会社側には重く受け止められ、今後アルファレオが同社と交渉する際に有利に働く可能性が高まったということである。最終的にどのように決着するかはまだ不透明であるが、アルファレオとしては自身の知名度と影響力を高めたという意味では、一定の成果を得た格好だろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?