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【ネットフリックス】「もう終わりにしよう」 観る人を選ぶ"高尚な"作品は良作か?感想・分析

こんにちは。グルメピエロ@ホームです。
NY在住、映像の仕事をしています。おうち時間で見た映画について感想を書く第5弾!! 今回も感想や分析を書いていこうと思います。

※以下ネタバレ含むのでご注意ください(観た人を大前提に、振り返りの内容は端折り気味で書いています)

 今回はネットフリックスの映画「もう終わりにしよう」。批評サイトの評価が高かったので気になっていた映画です。胸躍る中始めた僕ですが、その難しさに途中から首を傾げるようになっていきました。率直な感想としては、この映画は観る人を選ぶな・・・と。引用で成り立つ世界観は作り手の自己満足の塊の気もしました(そう感じさせることも作り手の意図だと思いますが・・・)。

あらすじ(公式より)

イアン・リードの人気小説を、アカデミー賞受賞のチャーリー・カウフマン (『エターナル・サンシャイン』) が映像化。
付き合い始めたばかりの彼ジェイク (ジェシー・プレモンス) と内心ではもう別れを考えているものの、相手の両親に会うため、長距離ドライブで彼の実家の農場までやってきた主人公の女性 (ジェシー・バックレイ)。吹雪のせいで帰るに帰れなくなった彼女は、彼の母親 (トニ・コレット)、父親 (デヴィッド・シューリス) と時間を過ごす内、彼のこと、自分自身のこと、果てはこの世界のすべてに対する確信が揺らいでいく...。

予告編

ざっくり内容解説(ネタバレ)

 この話をざっくりとまとめると、この物語は全て学校の掃除員のおじいちゃんの妄想。「あーだったらな」、「これがこうだったらな」と長い夜勤の時間の中で考えた妄想が話になっている。だから時間の行き来も自由で、急に踊り出すのも勝手。彼女は思い描くような高尚な知識についてこれる人間として描かれる。ただ、老人もこんなことに意味はないと気づいている。だから彼女は同じ言葉を仕切りに繰り返す。「もう終わりにしよう」と。これはカップルの終焉を意味する言葉ではなく、老人が妄想を「もう終わりにしよう」という意味だった。

観る人を選ぶ映画ってどうなの?

観客は3タイプに

この映画を観た観客は大きく分けて3つのタイプに分かれると思う。
① 全く意味わからない
② あーそういうことか!でも、なあ・・・
③ 最高だぜ!

タイプ①
 映画を一緒に観ていた妻は冒頭の長いドライブシーンから挫折した。少し奇妙で、それでいて高尚な引用が繰り広げられる会話劇は人によっては退屈に感じると思う。集中力を削がれた状況でその後にどんな変な物語が展開しようと頭に入ってこないのだと思う。

タイプ② 
 僕がこのタイプ。映画はそれなりに楽しめたが、なんだか中途半端な気分だ。引用ありきの高尚な展開についていけなかったこと、妄想という物語の着地点が普通だったこと、謎映画という感じなら最後まで謎のままでいて欲しかったこと、などなど。謎映画だからこそ理解したくて何度も何度も観てしまう映画というものがある。僕の中でのそのジャンルの代表作はカラックス監督の「ホーリーモーターズ」。訳わからないけど気になって中身を知りたくて学生時代に4度劇場を訪れた(結局完全な理解はできなかったけど・・・)。ただ今作は、妄想という分かりきったゴールがあるので、中毒性のある謎はない。だから多分2回目は観ない。そもそも老人の妄想だ。後悔が中心となった話なのだろう。だから「彼女がいたらな」という人生最大の後悔が話の中心になっている。だけどどうせ妄想なら、終盤で展開された唐突なダンスのシーンみたいのをもっと観たかった。

タイプ③
 もっとも少数の分類だと思う。多分、映画や文学など芸術大好き狂人しかこの領域には入れない。楽しむための前提条件になるのが、ミュージカル「オクラホマ!」のストーリーや、多用される哲学の知識があること。これって一体誰に向けて作った映画なの?と何度も突っ込んだ。そして、色々と分かって気持ち良くなれる人ってなんなんだろう?全部分かったからこそ映画が面白くなって、それが分かったから高評価する評論家も正直意味がわからない。そのシーンのオリジナルを知らなくても楽しめて、知っていたなら尚更面白いというオマージュと違ってこれはレベルが高すぎた・・・

感想

 冒頭に書いた、観る人を選ぶ映画ってのはどうなのかと・・・。もちろんホラー映画だったり、ポルノ映画だったり観たい人の欲求が詰まった映画というのはあるけど、この映画の場合新たなジャンルになるほど強烈な印象はなかった。自己満足の範囲を出ない印象でした。

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