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04:YATAI UNIT PROJECT(制作編)

打合わせと試作の日々

前回の03:YATAI UNIT PROJECT(資金調達編)で、遂に制作資金の調達も無事完了し、いよいよ楽しみにしていた制作の打合わせです。
戸高さんの工房・展示場へ集まって、足立さんが事前に各国の屋台の情報をピックアップしてくれたものを参考にして、僕の屋台構想をヒアリングしてくれました。

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▲いろんな屋台の資料

既に商品として発表されている様々なモバイル屋台を調査した結果、車輪付きタイプ折りたたみタイプの2つがほとんどだと分かりました。そこで、YATAI UNITの発案者である僕が考えた仕様は以下の5点でした。

        YATAI UNITを制作するための5つの仕様
1.軽量
2.組立・分解が可能な機構
3.組立・分解に一切工具を使用しない
4.分解後、押入れに収納できるサイズ感
5.大分県産の木材を利用

もう既に小型の屋台を構成する仕組みとして、既存のモバイル屋台で出尽くした感があって設計の足立さんからはかなりの難色を示されました。

確かに、ありそうで無い僕の仕様を叶えられるのであれば、もう既に誰かがやってても良さそうな気がしていて、とても難しい設計…というかもうほぼ発明の域だなと感じ取り、ここまでトントン拍子だったこともあってとても不安になっていました。

ところが、打ち合わせから約1ヶ月後、

「降ってきた!」

と足立さんから、模型の写真付きで連絡が来たのでした。

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▲バラバラのパーツが

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▲こう組み上がって

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▲こうなる!

フレームだけの案だったのですが、僕は「うわ!もうこれです!!」と即決して、原寸大のプロトタイプ作りに取り掛かっていきました。
この時のなんとも言えない興奮は今でも鮮明に覚えています。

戸高さんが「もう作っちゃった方が早いから、とりあえず設計図ちょうだい」と言って、すぐさま原寸大のプロトタイプを作ってくれたので、3人で定期的に集まってフレーム同士の接合に関する技術的なことや、暖簾・天板・正面と側面のパネルについての選定を進めていきました。

この時に、この屋台はフレームを1ユニットずつ組んでいるってことを3人で話しながら、商品名はそのまま「YATAI UNIT」にしようということになりました。
僕たち3人もこの屋台を中心にユニットを組んでいるし、これからこの屋台を使って購入者もユニットを組んでもらえると良いなという3つの意味が込められていたりします。

ここから、約2ヶ月間で完成形まで3人でひたすらブラッシュアップを続けていきます。

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▲YATAI UNITのデザインで一番肝になっている固定仕組み

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▲暖簾部分をどうするか相談中

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▲ほぼ完成形が見えてきて製品化の相談中


ついにYATAI UNIT完成

こうして、無理難題と思っていた5つの仕様を全てクリアした、オリジナルのモバイル屋台「YATAI UNIT」は完成しました。

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▲YATAIUNITのサイズ・重量

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▲16種類・29個のパーツで構成

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▲組立て手順

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▲収納用のまとめ方

制作と並行して、仕様の1つに入れていた「5.大分県産の木材を利用」を叶えるために、戸高さんより製材所を紹介してもらい、大分県日田市で製材業を営む昭和28年創業のマルサク佐藤製材(佐藤製材株式会社)に材料を提供をしてもらえることになりました。

佐藤さんのおかげで、YATAI UNITは正面・側面・棚板の有孔ボード以外は全て大分県産の日田杉からできています。

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▲たくさんの原木からこれだ!という木を選びます

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▲トラックに積込んで製材所へ

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▲原木皮を剥く工程はこんなにもダイナミック

完成後は、実際に使用した時の不具合などを洗い出すために、美容室の軒先を借りて1ヵ月ほど週末3日間だけOPENするカレー屋さんを開いて、町内外の人たちと交流することが出来ました。

カレー

▲美容室の軒先を借りて夫婦でカレー販売

この後、仕事の都合で関東へ引っ越すことになってしましまったので、YATAI UNITを使用して空き家を借りようという作戦は決行出来ませんでした。
でも、このYATAI UNITを通じて同じように困っている人何かを始めようとしている人のお手伝いができればと思って、今はレンタルや販売を続けています。


オプションパーツの制作

YATAI UNITはもともと拡張するための余白を持たせて設計をしていたので、次のアクションとして拡張パーツを制作するためにクラウドファンディングに挑戦して、無事に資金調達にも成功しました。

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▲なんとか100%超えの支援を獲得

調達した資金から以下の6種類のオプションパーツを制作しました。

            制作したオプションパーツ
1.ジョイントパーツ
2.屋根パーツ
3.屋根天幕
4.車輪パーツ
5.脚ソケットパーツ
6.持ち運び用バッグ

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▲本体と屋根パーツを繋ぐジョイントパーツ

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▲屋根パーツと帆布の天幕

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▲車輪パーツ

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▲脚のソケットパーツ

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▲持ち運び用のバッグ

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▲薪バックとしても使える

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▲全てのオプションパーツを装備したYATAI UNIT

オプションパーツの制作は僕が足立さんと戸高さんとで、オンラインMTGを中心にして制作するパーツの仕様を決めていきました。
仕様が決まったあとは、それぞれのパーツの制作が可能な事業者さんにひとりずつ声をかけていき、試作から制作を担当してくれるパートナーを増やしていきました。

この時から、自然発生的に「他にも何か作りたいね」ということを、足立さんと戸高さんと話すことが増えてきました。
オプションパーツ制作で繋がった事業者さんと連携をすれば、木製品×設計の組合せから、木製品×設計×〇〇×に発展させることも可能だな。なんてことを考るようになりました。


そして次のチームを結成

ちなみに、18年からスタートしたYATAI UNITのレンタル・販売の売上は毎年前年の売り上げを50%以上更新する形で推移しています。(19年:△57% 20年:△80%%

それから、僕たちはYATAI UNIT PROJECTを結成した時からレベニューシェアで収益を分配しています。理由としては、そもそも僕に最初の運転資金がなかったことと、プロジェクトへの関わり方として、単純な受発注の関係になるのが面白く無いと感じたからでした。

また、それぞれがプロジェクトを自分ごと化することによって、プロダクトのクオリティを追求する体制を作りたいと思っていたので、レベニューシェアでの運営を2人に提案しました。

2人とも、すぐに僕の提案に乗ってくれて、それぞれの業務の比重によって以下のような分配率を決めることにしました。

レート.001.png.001

50%:制作・在庫管理・発送を担当してくれている戸高さん
10%:本体とオプションパーツの設計を担当してくれている足立さん
10%:レンタル・販売の注文受付、企画・広報などを担当している僕に
20%:卸先が決まった際の割引分(個人で販売した場合は、この20%は自由にしてもOK。例:20%OFFで販売)
10%:
YATAI UNIT PROJECTの運営資金

▲YATAI UNIT PROJECTの収益の比率

受注生産かつ、このやり方であればスタートも切りやすくて各事業者への負担も少なくできるので、色々な物を制作していくことが可能なのでは無いかと考えるようになります。

そして、この下地があったからこそ、01:KUSU NO KOTOの冒頭で話していた、「ものづくりチーム」の結成へと繋がっていきます。

ここで、僕のこれまでのチームづくりの回顧録は一旦終了です。
次回から新しいものづくりチームを結成するための05:アイデアの渦へ続きます。

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