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02:YATAI UNIT PROJECT(結成編)

繋げ方を考える

前回の01:KUSU NO KOTOで実施してきたプロジェクトは、色々なものを「繋げる」ということを意識して企画を考えていました。

活動のフィールドとなっている玖珠町は、観光でいうと四方八方を観光資源が豊富な土地に囲まれていて、そんな群雄割拠の中でどんなポジションとして機能するのかということを考えた時に、「ハブ(繋ぎ目)」としての立ち位置にあるのではないかと考えていました。

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▲なんなら熊本県にも囲まれている玖珠町

というのも、町外で玖珠町のことを知っているか尋ねると、かなりの確率で

通ったことがある」「〜に行く途中の町」「気付いたら通り過ぎてる

と言われることが多かったので、玖珠町自体が目的地になることは難しくても、もしかしたら各地と連携してその繋ぎ目になることは可能なんじゃないのかと仮説を立てました。


物件探し

そこから、まずは町内と町外の人たちを繋ぐ点としての拠点を作れないかと考えて、全体の7割が閉まっている状態の駅前の商店街へと拠点探しに向かいました。

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▲駅前商店街

当初は不動産屋さんで物件を探していたのですが、大家さんが預けている物件がほとんどなくて、不動産屋さんにも「空き家を探して、大家さんに直接交渉したが早いですよ」という状況だったので、ただひたすら良い感じの空き物件を探して、近隣で聞き込みをして、大家さんを探して交渉するということを繰り返してました。

結果、貸してくれる人は全く見つからなかったのですが、そういったことを何軒か繰り返していると、貸したくない理由が大きく3つあることが分かってきました。

1.家の奥に仏壇がある
2.知らない人に物件を貸したくない
3.そもそも空き家の状態で何も困っていない

この3つの問題を解決するには、どうしたら良いんだろうと途方に暮れていた時に、ふとあることを閃きました。

あれ?これってもしかしたら、しっかり知り合いになったら普通に貸してくれるんじゃない?

知っている人だったら2.の問題は解決で、1.はそこまでの仲になっていたらなんとかなるだろうし、あとはただ空き家を使うってことじゃなくて「何がしたくて」「ここをこんな風に使います」っていうのが伝えられたら大家さんも困ってはないけど、それなら貸そうかなってことになるんじゃないかな?


屋台が欲しい

と、全てがクリアできるかもしれないこの条件をどうやったら満たせるかとまた悩んだけど、これはすぐに思いつきました。

そうだ、屋台だ!

物件までは借りれなくても、まずは物件の軒先を貸してもらって、そこに屋台を開いて僕ののやりたいことや、これまで作ったもの売ったり、やってきたことを紹介していれば、大家さんは何がしたくて、こういう内容をこの物件でやるんだなと想像が湧くだろうし、何より事前にお客さんや仲間集めが出来てしまいます。

そうと決まれば、まずは屋台を手に入れようと思って最初は購入を考えました。ちょうど世間でも色々な種類のモバイル屋台というものが出回っていた時だったので、ネットで購入しようとしていたのですが、僕が思っているぐらいコンパクトなものがありませんでした。


YATAI UNIT PROJECTの結成

またまた途方に暮れそうになっていたのですが、地域おこし協力隊の業務として、県内の各地に出向いた際にその土地のキーマンにこのことをひたすら相談し続けていたら、まずは設計を引き受けてくれる建築家の方が現れました。

建築家の方に色々と相談をしていたら、「どうせだったら制作もプロにやってもらいましょう」という話になって隣町の木工作家さんに相談してみたところ、二つ返事で屋台作りに加わってくれることになりました。

そんな感じで、トントン拍子で結成された製作チーム「YATAI UNIT PROJECT」はそれぞれが設計・企画・制作を分業で担当する3人組みのユニットになります。

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足立 心也|Shinya Adachi(写真左)
 大分県大分市の設計事務所「足立心也建築設計事務所」代表。
 設計・デザインを担当。

井上 龍貴|Ryuki Inoue(写真中央)
 プロジェクト発案・ディレクションを担当。

戸高 晋輔|Shinsuke Todaka(写真右)
 大分県玖珠郡九重町の木工制作スタジオ
 「TODAKA WOOD STUDIO」代表。
 試作・制作を担当。


KUSU NO KOTOの活動を経て、ほとんど1人で奮闘していた僕に仲間が増えた瞬間でした。
なんの実績も無い若造の僕に対して、1つの領域でプロフェッショナルとして活躍している2人がどうして?と自分でも未だに思うことがあります。

2人に共通していることは、僕と繋がることによって分かりやすくて明確なメリットがあるからということではなくて、僕のやりたいことに対して、単純に「共感」してくれて「一緒にやろう」と言ってくれていることです。
びっくりするぐらい単純にそれだけで一緒に動いてくれています。(しっかり、確認はしてはいないですが、多分そう)

何かを始めたり、それを継続的に進めて行くことには、お金ももちろん大事だと思うけど、そのお金が必ずしもやりたいことを始めるために必須なのだとは思いません。
寧ろ、それによって始めようとしていることにブレーキがかかって前に進めなくなってしまうこともあるんじゃないかと思います。

その点、僕はこうして仲間にも恵まれて、なんならほとんど資金なんて無かったけど、前に進むことができました。
それは、3人で同じ未来を描けていたからだろうし、3人ともその景色が見たかったからなんだと思います。
人が動く原動力なんてものは、すごく単純なんだなと改めて気付かされて、しっかりと実感が持てたのは2人のおかげです

この後、いよいよモバイル屋台の制作に取り掛かっていきます。
結成まではトントン拍子でしたが、制作は一瞬暗礁に乗り上げかけます…
そして、なんだかんだ言いながらもしっかりお金にも困ります。
そんな資金調達エピソードの詳細は次回の03:YATAI UNIT PROJECT(資金調達編)に続きます。

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