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日本語の作文技術 #29



センスではない、技術による作文技術


修飾語の語順

最初の3つは物理的な、最後の1つは心理的な原則である。

  • 節を先に、句を後に

    • 節:主語と動詞の構造がある語のまとまり

      • 横線の引かれた

    • 句:主語と動詞の構造がない複数の語のまとまり

      • 白い/厚手の

  • 長い修飾語ほど先に、短いほど後に

  • 大状況・重要内容ほど先に:文章の中で最も伝えたい内容を含んでいる修飾語を先に書く

  • 親和度(馴染み)の強弱による配置転換

    • 空の青が/冷たい海に→映し出される

    • という文があった時、「青が/冷たい」には親和性があるので、並べると誤解を生む

    • 冷たい海に空の青が映し出されるとした方が良い

テン(読点)のうち方

2大原則は次のとおり。その他、例外的と前提的なテンのうち方。

  1. 長い修飾語が2つ以上あるとき、その境界にテンをうつ

  2. 原則的語順が逆順の場合にテンをうつ

    1. 修飾語の語順で逆順というべき、読みにくい語順のときに誤解を解消するため用いる。

    2. 倒置法など、上記以外の逆順だが一般的な文法でも用いられる。

  • 筆者の考えをテンに託す場合として、思想の最小単位を示す自由なテン

  • 重要でないテンはうたない

  • テンをうつべきでないが意味不明な時は漢字を用いる

漢字とカナの使い方

  • 漢字とカナを併用するとわかりやすいのは、視覚的に言葉がまとまるため。

    • 「いま」とすべきか、「今」ちすべきかは、その置かれた状況によって異なる。

    • 前後に漢字が続けば「いま」とすべきだし、ひらがなが続けば「今」とすべきである。

  • 重要なのはテンをうちすぎないことであるため、漢字とカナの使い分けが「わかち書き」の役割を果たす

助詞の使い方

  1. ゾウは鼻が長いー題目を表す係助詞「は」

    1. 格助詞「が・の・に・を」を兼務する

  2. カエルは腹にはヘソがないー対照(限定)の係助詞「は」

    1. 「カエルの腹にはヘソがない」という文章だと、われわれは「ヘソは腹にあるもの」という前提知識から「カエルにはヘソがない」と言い換えることができる

    2. つまり他の生物は腹にあるけれど、「カエルは腹以外にヘソがある」ことを強調するために「は」を使う

    3. 他にも「カエルは、他の生物のようにヘソはない」という文章の場合、「カエルは、他の生物のように『は』ヘソはない」ということで否定を強調している

  3. 少し脱線するが・・・ー接続助詞の「が」

    1. 逆接で用いる「が」は思考の流れを一瞬乱すため頻繁に使いたくない

    2. 次は逆接かな、と思ったりもするが、それは後まで読まないとわからないため

段落・行がえの方法

  • 段落は「まとまった思想表現の単位」を意味する

  • 長くなったからといって安易に改行してはならない

無神経な文章とはどのような文章か?

  1. 紋切型=定型句

    1. 顔を背けた、複雑な表情、ガックリと肩を落とす、etc

    2. 自分が感じた通りの表現を使おう

  2. 繰り返し

    1. 例えば、逆接の場合「しかし」ばかり使わないで、「けれども」「ところが」「にもかかわらず」などを混用する

  3. 自分が笑っている文章

    1. 文章が面白い・おかしいかどうかは読み手が決める。自分からおかしくしようと表現したり、「笑ってはいけない」

    2. 私が大好きな芸人の松本人志・板尾創路も笑いどころでは絶対に笑わない(ちなみに、最近の松本人志は自分で笑う)

  4. 体言止め

  5. ルポタージュの過去形

    1. 「机の上で書いてます」と告白しているようなもの

紋切型を使った文章は、マンネリズムの見本みたいになる。
自分の実感によらず、レディーメードの表現を借りるのだから、できた文章が新鮮な魅力を持つわけがなかろう。

入江徳郎『マスコミ文章入門』


おまけ

  • ・・・:リーダー

  • ・:中点、ナカテン

  • ”:ヒゲカッコ

  • ー:中線

  • 、、:傍点


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