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【書籍紹介】ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則 good companyからGreat companyへの飛躍の秘密


著者 ジェームス・C・コリンズ

アメリカ、スタンフォード大学卒、コンサルタント。ビジョナリーカンパニーシリーズの著者として有名。

本書が選ばれ続ける理由

 ビジネス書〇〇選、ビジネスの大御所たちが進める〇〇冊、というリストがあれば、おおよそ選ばれているベストセラー、名著ですよね。
 なぜそこまで賛同を得るのでしょうか。

 私は、一言でいうと「納得」できるからだと感じています。

本書の出発点

 まず本書の前作に、ベストセラーとなった「ビジョナリーカンパニー」という第1作があります。コリンズ先生が6年の歳月をかけて「良い企業(good company)」と「偉大な企業(great campany)の違いを調べ上げ、そこから得られた知見を偉大な企業の法則としてまとめたものです。
 しかし、あるコンサルタントから「ビジョナリーカンパニーは素晴らしい本だが役に立たたない」と指摘されます。「グレートカンパニーは、いずれも偉大な創業者によって創り上げられた、もともとグレートな会社なのだから、グレートに飛躍できない企業の手本にならない。」
 このような指摘を、謙虚なコリンズ先生は真正面から受け止め「どうすれば、グッドカンパニーはグレートカンパニーになれるのか」という問いを立てたのです。
 グレートカンパニーは最初からグレートじゃん、と言われたら、身も蓋もないようなことを、、と思ってしまいますが、そこに向き合うんですね。コリンズ先生、グレートです。


グッドからグレートになった企業を調べる

 コリンズ先生は、まず対象とする企業を特定します。株式運用成績が15年にわたって市場平均かそれ以下で、その後一転して15年以上市場の3倍以上の成長をつづけた会社を特定し、さらに偉大な企業に相応しいいくつかの基準を設定してグレートになった企業を特定していきます。また比較対象となる企業も慎重に選定し、どのような違いがあるかをできるだけ同じ条件で比較できるようにしました。
 そして、対象の企業に対する過去35年分の膨大なデータを集めます。
 しかも、ただ長期間、大量にを調べたのではありません。文書でわかる定量的、定性的なデータや記事だけでなく、調査の対象となる会社の転換期に責任ある立場にいた人、ほぼ全てにインタビュー実施しています。その上で、戦略、企業文化、経営陣の報酬、レイオフからリーダーシップのスタイル、経営陣の交代など、あらゆる側面を調査しているのです。これは「ブラックボックスの内部を調査する」と表現されています。この分析の緻密さと深み、ブラックボックスに手を入れたことによって生み出された圧倒的なリアリティにが、理論の正しさ、理論と実践の繋がり、納得感を生み出しているるんじゃないかな、と思います。

第5水準のリーダーシップ

 第5水準のリーダーとは、物静かで控えめで、謙虚であるが、目標に対して決して妥協せずやり抜く、強い意志と粘り強さがある。と説明しています。

 そして、その野心は個人の成功ではなく、企業の成功、企業を通じた社会への貢献に向けられていました。
 調査したグレートな企業の転換期には例外なく、第5水準のリーダーが存在していたといいます。
 偉大なリーダーというと、ジャック・ウェルチのような強烈な個性をもって指導者を想像しがちで、コリンズ先生もそう思っていたそうです。しかし実際に調べてみると、意外にも共通して、例外なく、このようなリーダー像が特定されたのです。

最初に人を選び、そのあとに目標を決める

 第5水準のリーダーは、まず「適切な人材」を慎重に選びました。その後に目標、戦略、そして、組織構造や技術すらそのあとに決めます。そのあとに何をすべきか決めるのです。これは簡単に理解できるが、実行するのは極めて難しいことだと述べられています。これを実行した、ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)のマックスウェルは、ビジョンも戦略も戦術も組織構造も技術もすべて棚上げし「だれを選ぶか」決めた後に考えます。典型的な第5水準のリーダーであるマックスウェルはこう考えてます。「会社をどこに導くかはわからない、しかし、適切な人材を集め、的を射た質問をして徹底的に議論していけば、偉大な企業になる道を必ず見つけ出せる。」

 比較対象となった企業では一人の天才を一千人で支える方式が多く採用されていました。この方式は一人が崩れ去ると脆くも崩れ去ります。レイオフやリストラもはるかに多い傾向にありました。

厳しい現実を直視する

 偉大になった企業はすべて、直面する現実のなかで、最も厳しい現実を直視しています。厳しい現実を直視するために、風通しのよい企業文化を築き、部下から上司へ正しい現実が報告される努力が払われているのです。
 答えではなく質問によって指導する。対話と論争を行い、強制はしない。解剖を行い、非難しない。など、心理的安全性が保障された状況を作り出していました。
 その一方で、最後には必ず勝つという確信をもっています。厳しい現実を直視しながら、必ず勝つという意志は揺らぎません。

ストックデールの逆説

 彼らはキンバリー・クラーク社の製紙事業など、豊富な事例によってこの法則を導きだしていますが、さらに補強する物語として、ベトナム戦争で捕虜となりながらも、生還を果たした、ジム・ストックデール将軍のストーリーを引用しています。

 ストックデール将軍は8年にもわたる捕虜生活の中で20回以上の拷問にも耐え抜き、生還を果たしました。その後のインタビューで、どんな人が先に耐えられなくなったのか、という質問に対し「楽観主義者だ」と答えています。クリスマスには出られるだろう、年があけたら、春になれば、、しかし、その根拠のない希望は叶わず、失望を重ねて亡くなっていきます。ストックデール将軍は必ず出られるという確信を持ちながら、厳しい現実を直視し、生還を目指して緻密な計算と実行を重ねていました。

針鼠の概念

「狐はたくさんのことを知っているが、針鼠はたったひとつ、肝心要のことを知っている」という古代ギリシャの寓話を引き合いに、偉大な企業を針鼠になぞらえて説明しています。

  針鼠の概念とは「情熱をもって取り組めるもの」「自社が世界一になれる部分」「経済的原動力になるもの」という3つが重なり合った部分を理解し、単純明快な概念を確立することが重要とする考え方です。


 偉大になった企業は例外なく、この原理に基づく中核事業を確立していますが、針鼠の概念を見つけ出すまでに平均4年かかっています。単純に見えますが、1泊2日のオフサイトミーティングで導きだせるような簡単なものではないのです。

規律の文化

 規律のない人たちがバスの中にいると、その規律のない人たちを管理するために官僚的規則を持ち込まざるを得なくなる。最初から、適切な人材を採用していれば、この問題はほぼ解決されます。

 規律ある文化を守る一方で、規律の中で、自由と責任を与えます。人ではなく、システムを管理するのです。

まとめ

 偉大な企業は、新技術の採用に関しても、すぐに飛びつくのではなく、自社の針鼠の概念に適合しているかどうかで採用を判断します。慎重に選んだ分野では、先駆者となっています。
 また、針鼠の概念を見つけたとしても、最初の進捗はゆっくりです。これを愚直に続けることで、重い弾み車の回転が増していくように成長が始まるのです。

 コリンズ先生らは、膨大な資料と、見えない部分の調査を徹底しておこないました。そして、その結果、凡庸な想定を覆す法則を導き出しています。しかしそれは、既視感を覚えるほどのリアリティを持っています。

 これが、他の書籍では味わえない、納得感をもたらしれくれていると感じます。


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