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【書籍紹介】学習する組織 ピーター・センゲ

著者 ピーター・センゲ

  1947年生まれ、アメリカ。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院の上級講師、ニューイングランド複雑系研究所の共同教員であり、Society for Organizational Learningの創設者です。代表的な著書が本書です。
 

本書について

 本書は1990年に出版されています。原題は『The Fifth Discipline: The Art and Practice of the Learning Organization』。1997年、ハーバード・ビジネス・レビュー誌は、『The Fifth Discipline』を過去75年間の経営に関する重要な書籍の1冊に選出しました。

 この時代まで企業は経営に対して、偉大な一人の英雄を重視してきました。例えばGEにおけるジャック・ウェルチのように、優れた経営者が優れた経営をすることによって企業は繁栄し、過ちは正されると看做されていました。しかし、実際の企業は多くの人やシステムが複雑に関与しあっていています。
 帯に記載されている、楠木建(一橋大学大学院教授)の言葉を一部引用しますと「~多くの企業が意識的、無意識のうちにつくりあげている経営の「システム」が、システムとしての組織を破壊しているからである。(中略)、システム思考の概念と実践を説く本書は、誰もが大切だと思いながら、そのつかみどころのなさゆえに直視せずに避けて通ってきた経営の本質部分に正面から手を突っ込み、えぐり出し、手に取るように見せてくれる。」
 と説明されています。

学習する組織 5つのディシプリン

 何故うまくいかないのか、原因は何なのか、ということについて非常に詳細な分析、実例を加えながら学習する組織の5つのディシプリンが説明されています。第1部、第1章、第2章で企業が学習障害を抱えていることを説明しています。「悪いのはあなたのせい」「ゆでがえる症候群」などです。第3章では「ビール・ゲーム」の教訓を説明して、悪い人は誰一人いないのに、うまくいかない原因を丁寧に分かりやすく説明してします。

 そして、第2部以降、いよいよ5つのディシプリンに入ります。それぞれが非常に詳細なのですが、以下に簡単にまとめます。

個人的修練(Personal Mastery):

個々のメンバーが自分の目標や使命に対して積極的に学び、成長すること。
それぞれのメンバーが自分の能力を最大限に発揮し、組織全体の目標に貢献することが重要。

共有のビジョン(Shared Vision):

組織全体で共有された未来のビジョンを構築し、そのビジョンに向かって共同作業すること。
全体の方向性に共感し、組織の目標や価値観に共感することが重要。

組織的な思考(Systems Thinking):

組織をシステムとして捉え、相互に影響し合うさまざまな要素や関係性を理解すること。
問題の根本原因を見極め、組織全体の健全な機能を促進するために、システム全体を最適化することが求められる。

メンタルモデル(Mental Models):

個人が持つ概念や信念、仮定などのメンタルモデルを明示化し、それに対する柔軟性を高めること。
個人が抱える固定観念や予測を見直し、組織内でのコミュニケーションや意思決定を向上させる。

チーム学習(Team Learning):

チーム全体が協力して学び、問題に対処する能力を向上させること。
チームが集合的な知識を共有し、相互の信頼と協力を築くことが重要。
これらの概念を組み合わせて、組織は変化に適応し、持続可能な成功を収めることができるとセンゲは認識しています。学習する組織は、個々のメンバーが学びを重視し、協力して未来に向けて進化することができるような環境を築くことが肝要です。

本書の影響

 これ以降、チームビルディングの基本的な考え方となり、本書に基づくセミナーやコンサルタント会社が数多く運営されています。今ある組織論の中で、本書の影響を受けていないものはないんじゃないかと思うくらいです。
「システム思考」「対話」「共有ビジョン」など、今、共通認識として使われている言葉が詳しく定義されています。
多くの企業、NPOでこの理論が実践されています。
 


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✓組織を率いるマネージャー
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✓チームリーダー候補のプレイヤー
○目標を達成したい方はどなたでも ^^



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