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番号札を落としただけなのに

先日、お世話になったところへのお礼にと、シャトレーゼでケーキを買った時のこと。

ショーケースの前でケーキを注文すると、お花の形をしたプラスチック製のかわいい番号札を渡され、レジをするときに引き換えてもらうシステムだったのだが、レジに並んでいるとき、その番号札がするりと手から落ちてしまった。
前かがみになって拾おうとしたのだが、なぜか拾えない。掴めない。なんだこれ。
番号札は厚さ3mmほどなのだが、その周囲はなだらかになっている。
    
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ちょっと違うけどこんな感じ。
そのなだらかな側面の番号札は、つるつるの床とピッタリと馴染んで、乾燥した指先も相まってか簡単に掴めない。
ウラの面を下にして落ちていたら苦労はしなかったであろう。

前かがみの体勢に疲れ、しゃがみこんで番号札をつまみあげようとするのだが、しぶとい。

30秒くらい格闘すると、アリの巣でもいじってるかのような気分になる。じわじわとこの状況がツボに入ってしまいマスクの下で一人笑いが止まらず余計に拾えない。

King Gnuの「どろん」が頭の中に流れ出す。
番号札を落としただけなのに。

だめだ、不審者だ。
笑いを噛み殺し、衛生的にやりたくなかったのだが、切ったばかりの短い爪をなんとか床と番号札の間に力いっぱい入れる。
やっとの思いで拾いあげると同時にレジの順番がまわってきた。しゃがんでの長期戦に立ちくらみもしたが、何食わぬ顔でお会計を済ませる。

店員さん、今の見てましたか。
もしかして見慣れた風景とかじゃないですか。
番号札、変えませんか。
生まれて初めて本気のクレームを入れた。
もちろん心の中で。



シャトレーゼで番号札をオモテ面を上に落とし、深爪ゆえに拾えなかった方々はどれくらいいるのだろうか。
全国に散らばる人気店、乾燥するこの季節、一日数十人はいるかもしれぬ。
「シャトレーゼ番号札被害者の会」が立ち上がるのも時間の問題じゃないかと余計な心配までしちゃうじゃないか。

しかし自身の経験から、必死に拾う人の姿を傍から見てひっそり応援したい心が芽生えた。
被害者会員を増やし、勝手な仲間意識を感じたいので、どうぞかわいいお花の番号札のままでいてほしいです。


P.S.
シャトレーゼさんお世話になります、大好きです。

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