土中をめぐる水のチカラ。庭の実験でわかった有機物分解の秘密
有機物が分解されやすいのは、どんなところでしょうか。土中の水循環の影響がとても大きいことが、実験をしてみてわかりました。
庭先での実験
庭先に放置されていた木材を、ふと思い立って土に埋めて腐らせてみたことがあります。なぜそんなことをしたのかはナゾですが(笑)、木材が微生物によって分解され、良い肥料になると考えたのです。しかし、木材はすぐには腐らず、2年ほど経ってようやく分解されはじめました。
結果として、とても学びの多い実験となりました。
庭に木材を置いてみた
庭には庭石が据えられており、高低差があります。そのため、水の動きをイメージしやすいです。
庭石の並んだ下、以前は芝生が植えられていた平らな場所に木材を平行に置きました。地形を山に例えると、等高線に平行になるような方向です。
並べた木材は、杉の2〜3メートルの柱だったもの。家を壊した廃材です。
分解の速さの違い
二年ほど経つと、場所によって木材の状態に差が出ていました。モロモロに腐って完全に分解されているところと、形がそのまま残っている場所がありました。
水脈に近いところ
水脈付近は分解が進みやすいことがわかりました。
「水脈」とは、土中の水の通り道です。見つけるコツがわかれば、誰でも読み取ることができます。
水の通り道付近では土中の水のめぐりがよく、微生物が活発に働くということでしょうか。有機物の分解が速く進みました。
ただし、分解が進むのは微生物が多くいる場所です。傾斜が急な水脈の上は水の動きが速すぎて、細かな砂や泥が流されてしまいます。そうなると微生物がいなくなるので、分解もされません。水脈の中心から少し外れた場所のほうが、分解してくれる微生物がいる可能性が高いです。
土をかぶせる
木材の実験では、土をかぶせたかどうかでも違いがありました。土をかぶせた方が圧倒的に分解が速く進みました。
土をかぶせることで、上下から分解が進んだと考えられます。また、土をかぶせると湿った状態を保てるため、微生物がすごしやすくもなります。
土をかぶせたあとに軽く踏むと、さらに分解されやすいです。これは有機物と微生物が密着して、活動しやすくなるからだと考えられます。ただし、強く踏みすぎると微生物が活動できるすき間を潰してしまいますので、加減が必要です。
土をかぶせていないところは、土に接している下の部分だけが分解され、上面はそのまま残っていました。
日当たり
日当たりの良い場所では、木材の形が全くなくなるほどに分解されました。地温が上がって微生物の活動を促進され、有機物の分解が速くなります。特に冬の日当たりの違いは大きく、日陰の場所では分解がゆっくりでした。
まとめ
土中の有機物が分解されやすかったのは、土中で多くの水がゆっくり循環し、微生物が活動しやすく、日当たりの良い場所です。有機物の分解のしやすさは、土中の水の循環に大きく影響されるようです。
このことに気づいてからは、水の通り道付近に生ゴミを埋めるようにしています。夏なら二週間ほどであとかたもなく分解され、黒土になってしまいます。有機物がたっぷりと含まれた、植物を育てやすい土です。
落ち葉で堆肥を作るのも、同じことがいえそうです。緩やかな傾斜の水脈近く。畑なら、水脈の上流側に落ち葉置き場を作ると、栄養分が下へと流れるので、いい土づくりに活かせそうです。
縄文トイレを作る場所をどこにするか考えるのも、これをふまえるとよさそうです。微生物が活動しやすい場所なら、分解が速く、臭くなりにくいトイレになります。
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土中の流れが読めると、いろんなことが見えてきます。土中の水の動きは、いろんなところに応用できます。水はけ、土壌改善、庭づくり、山の道づくり。
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