社寺を活用したサステイナブルツアー造成 福井県に行ってきました
来日して約20年。ずっと訪れたいと思っていた福井県へ行ってきました。
曹洞宗の大本山である永平寺を訪れ、文化観光をより効果的に活用し、寺院のさらなる支援のための収入を増やす方法を検討する依頼があったからです。
寺社仏閣は、日本を訪れる多くの人が必ずと言っていいほど目にする場所ですが、多くの場合、その建物をざっと見て回る程度で終わってしまいます。最近は写経や坐禅の体験も増えてきましたが、それらは表面的なものであるがゆえに、深い理解に届いていないという現状があります。その意味を全く理解しないまま、お経を書き、座禅を組むことから何が得られるのか?皮肉なことに、座禅は言葉を必要としないものですが、禅の深みや価値を膨らませるには、言葉での説明が必要であり、その説明をまずは理解する必要があるのです。(まさに教外別伝ということです)
また、日本の仏教は今、若い世代を惹きつけるのに大変苦労しています。つい3年ほど前には300人以上の雲水(修行中の僧侶)がいたそうですが、今は100人を切っているという現状、そして永平寺のような寺院を支えていた国内のマスツーリズムも衰退しているという現実。インフラ全体が昭和のバスツアーをベースにしていて、現代の旅行産業とのバランスを取るのに苦労されているように見受けられました。
永平寺は、柏壽關という新しい宿泊施設の運営をスタートされていたり、寺周辺をアップデートする努力もされており、今後について深く考え抜かれたものであることは間違いありません。しかし、顧客ベースは依然として日本の古い市場向けであることは否めません。参加させて頂いた朝4時からの朝の講話は、それを証明するもので、正直なところ中学の歴史の授業を受けている気分でした。
朝の礼拝は素晴らしく、感動的な体験でした。残念ながら、意図せず英語の説明を聞かなければなりませんでしたが、これは仕事柄仕方ないでしょう。
永平寺は素晴らしい場所でした。ある意味、20年待って体験できてよかったとも思えます。それはこれまで私自身が坐禅をしてきたこと、鹿児島の曹洞宗のお寺にお世話になったこと、(亡きの実弟の葬儀を執り行っていただきました)、自分なりに学んできたこと、そのことによってより深く理解することができたからです。きっと今というタイミングがベストだったのですね。
永平寺の文化観光は大きな可能性を秘めています。しかし、今後適切なマーケットからの観光客を呼び込むには、どういったところを変えていくべきなのかという繊細さと忍耐が必要であろうと感じました。
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