見出し画像

宇宙からの贈り物

今日は4回目のキャンプに旅立つ日だ。
事前に充電した撮影装置を点検し日頃から使用しているスーツケースに梱包する。


30ヶ月の息子が玄関の前に座って自分も行くようなジェスチャーをし喃語で方言をする。
不思議なことに、私はその方言を解釈してゴンを優しく説得する。
「ゴン!パパも一日も早く君とキャンプして、海で楽しい遊びがしたいさ、まだあまりにも幼く危険だからママの言葉をよく聞いて、よく食べ、よく遊び、よく寝て、すくすく育ったその時にキャンプに行こう!よろしいですか? "
息子の宇宙語が再び溢れて自分もついて行くと不平を揮う。
私は聞き取れないふりをして妻と娘に挨拶して道を出る。

雨があふれそうに暗雲が迫ってくる。雨中キャンプの魅力は経験のない人には共感受けることは難しいかもしれない。ジョージさんの住む島は神々の避難所の如く古くからそう呼ばれている。
彼の家の前の海は社会的ノイズが遮断されて完全な自然を抱ける素晴らしい場所だ。
そこで降り注ぐ雨音と波、荒く迫る風の音は世界の悩みの悲鳴をなくし、ただ自然を謙虚に見つめ、感じさせてくれる。


初めてこの素晴らしい場所を探すことになったきっかけは、2ヶ月前頃。知人からうるま市に有名な先人が住んでいるという話を聞いて説明するのが難しいが心惹かれ、すぐ知人と意気投合して、この場所を調べた。

思ったより簡単に見つかりジョージさんと会って会話をして説得し今では映像コンテンツ制作を進めている。
雨粒が少しずつ落ち始めるときドンキホーテに到着した。
最低2日はサバイバルできる韓国ちゃんぽんラーメンとビーフジャーキー、そしてジョージさんが好きなグレープジュース2瓶とチョコレートキャンディ、チーズなど簡単な酒の肴をカートに入れて不足がちに見える何かを探し回る。そうするうちに精肉コーナーではスタッフが持って出てきた肉汁があふれ見える新鮮な和牛パックを発見した。前回のキャンプをした時、ジョージさんがとろけるような牛肉を食べてからしばらく経ったと言う言葉が浮かび上がり迷うことなくカートに入れた。そしてレジに向かって最後の重要なショッピング品目であるタバコとジョージさんへのプレゼントであるたばこも取りまとめ、楽しい気持ちで宮城島に移動する。

降り続く雨音が少し心配になったが今回のキャンプはほぼすべてのキャンプ道具を事前に準備し地上の穴蔵の前浜にまとめたのでゆったりと楽な気持ちで向かう。
神の島に向かうドライブコースは天候に関係なく、常に爽やかさと快適さが一緒に迫る。特にずっとまっすぐに伸びた道路は両側に広がるエメラルドの光で染まった海を越えて信号に邪魔されることなく平安座島を通過する。左に見える島の村の風景を通って右側の島の前の海を見て走る爽快感は、アブダビの砂漠を通過して飲むビールの味に匹敵する。

平安座島を過ぎると左側には大地に白く彩色されたような巨大な円筒原油保管庫が3基、まるでオリオン星座のように位置ており海岸道路右側円台風に備えた9〜10Mの高さの防波堤に長く直線的に展開されて白コンクリート壁は周辺の島々の子どもたちが描いた沖縄の自然と伝統文化、海の生き物たち、そして宇宙の想像力を込めて海岸道路に沿って最後まで描かれている。また、Sカーブの道に従ってコバルト光の運河を挟んで小さな橋を通過して、ジョージさんのホームタウン宮城島につづく。


ジョージさんの穴蔵に最も近い道路の横に駐車をして降り立つとジョージさんが育てる2匹犬が先に気づき歓迎の挨拶なのか警戒の声なのか区別するのが難しい鳴き声を放つ。
両手にプレゼントと食べ物の袋を持って薮をかき分けて行く。その中にさらに豊かな草木が50センチ足らずに見える細い道を覆っていた。しかしすでに熟練した私には大きな障害にならない。自信を持って歩いていったが、最終的に滑ってお尻が泥まみれになりワンちゃんの声はさらに大きく響く。
「子供たちよ!申し訳ありません。私も君たちを驚かせたくないんだ。 "
誰も見た人はいなかったが、なぜか分からない羞恥心を後にした。さりげなく再び降りて行くが足取りはさらに慎重になった。バナナジャングルを通過し下がる。


ワンちゃんの声がさらに大きくなった。小屋が見え始めた。まだ見えないジョージさんに向かって挨拶をする。
“元気でしたか?サムです! "

ジョージさんの力のない声が犬の響きの間に聞こえる。
"ああ~サム!いらっしゃい! "
小さな小屋の前に到着して嬉しそうに手招きをした。小屋の中に入るや否やプレゼント袋を持って、腰を45度に折って入って座った。
12日ぶりに見るジョージさんの姿はなんだか空気が抜けた風船のように、さらにか細く見え疲れている様子だった。
「どこか不自由がありますか? "
「いや大丈夫!たまに声もよく出ないし元気がないけど大丈夫! "
明らかに歓迎している表情だが声はジョージさんの背後の小屋の外から聞こえ力なく響く。
私は準備した贈り物の袋を開きジョージさんが好きなウェルチグレープジュースを取り出そうとすると私を引き止め彼は話を始めた。
「もっと近くに来て!話がある! "

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?