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ドサクサ日記 11/27-12/3 2023

27日。
京都へ。AMBIENT KYOTO 2023を鑑賞。メールボックスに保管してあったQRコードの表示アドレスが迷惑メールで流れてしまって焦った。スタッフの方の厚意で氏名と予約時間からチケットIDを検索してもらい無事に入場。まずは坂本さんと高谷さんの展示。『async』の曲をこの規模で聴くと、家やスタジオで感じるのとは違った音のレイヤーが見えてきて面白い。walkerでの足音は、巨大会場ならではの臨場感で、坂本さんがそこにいるかのように感じた。スクリーンの映像もとても良かった。ドローンのように持続してスライドしていく映像と、静止画、その間に挟まれる動画。時間や記憶といった概念、それは人間らしい、ぞれぞれの脳内でのイリュージョンなんだろうと思う。そんなことを考えながら、あるいは瞑想のよいうな状態になりながら、1時間以上浸った。京都信用金庫に移動してCorneliusとBuffalo Daughter、山本精一さんたちのインスタレーションを鑑賞。夢中夢の部屋は幻想的でとても良かった。ケミカルトリップと大自然の混合というか、不思議な感覚だった。TOO PUREの部屋では、小山田さんのギターの音の良さ、音の組み立て方の面白さに感嘆した。イーノのThe Shipの部屋に組まれたZakさんによる立体音響も良かった。年明けにアンビエント新作を作る予定なので、刺激になった。

28日。
ミックス作業使用だったCold Brain Studioを作曲と録音使用に戻す。とはいえ、やったことと言えば、ブースにギターアンプを出してマイクを立てるだけなのだけれど。作業とかやる気とか、そういうものにはギアのような段階があって、そういう些細な機材な移動などで少しずつ速度が上がっていく。よし!と思うまでに時間がかかるのだけれど、そうやって徐々に上げていくより他に方法がない。

29日。
少し落ち込む。自分の欲深さに時々再会して、変な声が出そうになる。自分の作りたいものができたり、やりたいことができることが創作上の達成だろう。それとは別に、例えば音楽産業のなかでの政治のようなものをくぐり抜けないと得られない成功を心のどこかで望んでいたりする。それは自尊心を満たすためでしかない。そういうものとはキッパリお別れしたい。しかし、そう簡単にいかないのが人間。

30日。
2芯に改造されたFenderのアンプの電源プラグのあたりが怪しい感じになってきたので思いきって交換することにした。コンセントの向きを間違えると感電するし、ノイズも増える。壁のコンセントは3芯なので、アースのあるケーブルに替えてしまえということ。しかし、ユニットがむちゃくちゃ重い。取り外すだけでひと苦労。バラすのは誰にでもできる。元に戻せるかどうかってのは技術だと思う。

古いアンプはトランスなどの部品が死ぬほど重いので外すだけで一苦労。もとに戻せるか不安。

1日。
電気の作り方ばかりが問題視されるけれど、そもそも我々がどのくらいのエネルギーを必要としているのか、その程度について考えなければ、ほとんど永遠に自然から収奪する以外にないのかもしれないと、イルミネーションでイルミってる街を眺めながら思う。イルミネーションに罪はないし、様々な技術革新が省エネや環境負荷の低減を達成してくれるのは素敵なことだけれど、我々が無尽蔵の欲望で何かを求め続ける限り、別の問題が地球を食い潰すだろう。世界中の自動車が電気自動車に置き換われば、環境破壊や温暖化は止まるだろうか。バッテリーの生産は環境や地域や労働者にとってヘルシーなのだろうか。とかなんとか脳内で言葉を捏ねつつも、電気がないと音楽を記録できない。生活できない。だからと言って黙り込むのも違っていて、使用しているがゆえに、後先を考える責任があると俺は思う。

2日。
誕生日。47歳になった。自分が子どものころに想像していたより、遥かに面倒臭い大人に仕上がったと思う。ただ、自分が嫌だなと思っていた大人には今のところ、なっていないような気がする。剣菱の熱燗を飲んだら、ああいう大人は嫌だなというイメージがぶわっと思い出されて困惑した。剣菱はまったく悪くない。中年男性の集いが温泉地で派遣労働者の女性に酌をさせてどんちゃん騒ぐような旅行に参加する大人にならなくてよかったなと思う。仲間内で富も機会も独占して、それを親族などの閉じたコミュニティで回し合うような大人にならなくてよかったなと思う。他にもなりたくない大人像はたくさんあるけれども、それらに自分が今後ならないという確証はない。あの世が本当にあるとして、自分が尊敬していた彼らと再会したときに軽蔑されないように生きたい。お疲れ様って笑顔でハグされたい。

3日。
LINKの25周年ライブで川崎のクラブチッタへ。俺らが二十歳そこらの頃とは違う建物になってしまったけれど、チッタには思い出がたくさんある。Foo Fightersの初来日公演に行ったなぁとか、全然終わる気配のないサニーデイサービスの曽我部さんの演奏とか、ヤブ君に誘われて出たリプレイスメンツだとか、ファウンテンズの前座だとか。LINKはただただ格好よかった。来週アルバム発売。おめでとう!

小森君も誕生日が近いということでみんなに祝ってもらいました。
Photo By Tetsuya Yamakawa