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ドサクサ日記 4/24-30 2023

24日。
今半の焼肉弁当と食べたときのこれじゃない感。私は甘辛い和風の味付けの肉が食べたかった。丸亀製麺でトマ玉カレー饂飩を食べたときのこれじゃない感。味は大変に美味しいのだけれども、なんというか、俺が求めていたカレー感よりはエビチリとかに近い中華な感じがする。こういうのははっきりと受け手である俺の選択ミスであって、作っている側に落ち度はない。俺はある面では保守派なのだろう。

25日。
頼まれたことができてしまう。そうすると、ああ、あいつはこういうタイミングでも頼んだらやってくれるんだなと思われてしまって、次からはもう少し強めの無茶振りが来る。まあ良いんだけれども、やっぱり良くないような、この不思議な気持ちに名前を付けて、卵でとじて炊きたての白飯のうえにかけ、どこかの知らない大学のラグビー部の合宿で振る舞いたい。そんな一日だったように思う。多分。

26日。
APPLE VINEGAR賞の大賞が発表になった。聴ききることのできない作品のなかから数作を選び、本来は比べようもないそれぞれの達成から大賞を選らぶという、大変な役割を担ってくれている選考委員の皆には感謝しかない。賞金を拠出してくださった皆さんにも頭が上がらない。大賞の松丸さんのアルバムは、松丸さんの音楽的な技術のみならず、幅広く彼が表現に対して考えていることが集約された、あるいは集約することのできない広がりを捕まえようとした、素晴らしい作品だと思う。多くの人がこの作品を聴いて、それぞれの角度からいろいろなことを感じることを願う。賞に対するネガティブな言葉を見かけて、ズシンと落ち込んだりもするが、批評する側には批評される責任がある。それは受け止めるべき言葉だ。一方で、応援してくれる人たちの言葉のありがたさ。それに応え続けたいと思う。

27日。
コロナ禍を期に、随分と喉が衰えてしまったと感じる時期があった。活動が制限されるなかで声の筋肉が落ちて悩んでいる歌い手が多いという話を、専門医にも聞いた。そんななか新しいボイストレーナーに出会って、随分と歌うのが楽になった。喉がどうこうではなく、歌うことの8割くらいは呼吸である。呼吸についての鍛錬は10年、別のジャンルで続けていた。そんなこんなで最近は歌うのが楽しい。

28日。
『サーフブンガクカマクラ』のミックスダウンをCBSで行った。いやはや、素晴らしい作品だと思う。『ファンクラブ』の内省を経て、『ワールド〜』では歌詞は外を向いたが音楽的な内省をバチバチに行って息が詰まり、プリミティブな喜びに回帰したのが『サーフ〜」だった。その作品群に現在の視点からの楽曲を足し、当時とは違ったディレションで記録した。早く多くの人に聴いてほしい。

29日。
大阪城ホールでFM802のイベント、リクエステージに出演した。ジャンルも方向性も違うアーティストが集う現場は面白い。現在は日本中に大小様々なフェスがあって、それぞれに特色あるブッキングや雰囲気が楽しめる。そういうなかで、様々なジャンルを自然なかたちで横断できるのはラジオの強みではないかと思う。こういう場所では四の五のせずに、自分たちらしく演奏するしかない。良い夜だった。

30日。
ARABAKI ROCK FEST.に出演。歓声や歌声がやっと戻ってきたと感じられる、とても楽しいステージだった。この日は民生さんのステージにもゲストで出演。フジファブリックと伊藤大地さんをバックに歌った「君という花」は最高に気持ちがよかった。ファーストアルバムの1曲目の「674」を一緒に弾き語りで歌えたことには、なんとも言えない感慨がある。大学受験に失敗して、本当に少しの荷物で東京に出て来たころ、ずっと聴いていたのがこのアルバムだった。大学に受かるつもりで申し込んでいた新聞奨学生の俺は、ぽっかりと胸の底にあいた空洞を抱きかかえて、なんとも虚しい気持ちだった。何のために何を頑張ればいいのかもよくわからず、とりあえず何もかも猶予してほしかった。そんな俺のやりきれない毎日をそっと撫でて、なんとか現在に繋いでくれたのが民生さんの「674」だった。