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Bar Altana 物干し台の酒場

物干し台は昭和の風景とばかり思っていたが、イタリア・ヴェネツィアにも物干し台があった。洗濯物を干すだけでなく、美女が裸で日光浴を楽しみワインを飲むという。

ヴェネツィアのアルターナは、木で作られた屋上テラスで、日本の昭和の物干し台と同じようなものだ。
ところが、最上階の所有者のみに建築申請の権利があり、近年は条例も厳しく、アルターナを持つのはそれなりのステイタスだそうです。

御所坊の物干し台の活用

昭和30年代、自宅にも物干し台があったが、御所坊は旅館だったので浴衣を干す為の本格的な物干し台がありました。

大きなこいのぼりを買ってもらった。

ある時は自転車やローラースケートの練習場所であり、浴衣を利用したかくれんぼの場所でもありました。
その後、浴衣の洗濯はリネンサプライに委託するようになったので、長い間空きスペースでした。

バブル期、従業員の就労時間が問題になった。夏場はなかなか日が暮れないので、夕食の時間がどうしても遅くなる。そうなると必然的に労働時間が伸びてしまう。
そこで屋上を夜店市の様にして、夏休み期間中は家族連れのお客様が多くて、年配の芸妓さんが売れないので、彼女たちに1時間三味線で歌を歌ってもらう企画しました。
この事で、一定の時間になれば「デザートを屋上でお出ししますので」といって客室の片付けがスムーズにいくようになったのです。

写真は阪神淡路大震災の前の年、1994年

結構人気があり、何年も長い間続けていました。
しかし、1995年阪神淡路大震災が起こり、復興イベントで、有馬川の親水公園で芸妓さんのビアーガーデンへと変わっていきました。

コロナ下からの復興策

コロナ下に助成金を活用して、高架水槽を撤去して、その場所に温泉タンクを設けました。この事により、配管さえすれば館内のどこにでも温泉を供給できるようになったのです。
そこで物干し場を活用して、風呂をつくろうと考えました。

風呂と言っても、露天風呂はまずつくれません。なぜなら周囲から見られるので保健所が許可をくれないのです。
しかし水着着用なら可能。
つまり温浴のプールという事。プールでは飲食も可能になる。
つまり下記のようなことができるのです。

ジャグジーバスを備えたルーフトップバーという事です。


神戸ポートピアホテルのルーフトップバー


京都高台寺のルーフトップバー

しかしうち所には、ポートピアさんや京都のような絶景の夜景はありません。

その時浮かんだのが、物干し台でした。

「物干し台を!」と言っても設計士が若くてピンと来なかったので、図面の上に厚紙でイメージをつくりました。

そして昭和の風景を検索して、いくつか画像を送付。

そしてイメージ模型が出来てきました。
物干し台の中にバスタブを埋め込んでいます。

平らだった屋上に、あえて瓦屋根をつくって、物干し台をつくる・・・
馬鹿げた発想ですが、周囲の風景と一体感が生まれてきたと思います。
ポートピアホテルさんや京都とはまた違った、風景です。

物干し台に照明をつけて・・・・

水を入れると光るというようなグラスで、酒を提供すれば・・・・

この写真より楽しいシーンになるんじゃないかな?

運用に向けて

このようなアルターナがあった。BARだ!

ヴェネツィア地方ではプロセッコが飲まれているという。
プロセッコはシャンパンの生産量を越えるスパークリングワイン。
これとイワシの南蛮漬けを合わせて楽しむそうです。

物干し台の隣りの屋上。高架水槽を撤去して温泉タンクを据えた場所にも物干し台を設置しました。

神戸名木100選に選ばれている善福寺の桜の一等席になると思う。
だからここは「花見台」と名付けようと思います。

毎年桜を楽しみに来られる常連さんがいるので、ここにテーブルをセットして・・・

こんな感じで、プロセッコと春らしい肴を用意したいと考えています。

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