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御所坊の焼魚

皮はパリパリ、身はジューシー
一味違う焼魚
種も仕掛けもアリマス!

美味しいと評判です!

何も変わらない焼き魚。
かつては懐石料理のメインディシュでしたが、お頭付きの鯛ならともかく、切り身の焼き魚だと影が薄く、最近は完全にお肉に押され気味です。

普通にお客様にお出しすると「あ・・・焼き魚か・・・」というような顔をされる事が多いのですが、その後「美味しい!」とかアンケートに焼き魚の高い評価が寄せられています。

内心「やったー!\(^o^)/」と喜んでいますが、この焼き魚を提供するには結構手間暇がかかっています。
その種や仕掛けをお話しする事で御所坊の料理に対する考え方や姿勢をわかって頂けるかなと思っています。

包丁一本サラシに巻いて・・・

刺身が命! なぜならば切り身がたっている・・・
「技術は教えてもらうんじゃなく、見て覚える 盗むものだ!」

というような、いわゆる昔気質の板場さんから
「料理は化学であり、ものづくりだ!」というように考え方を変えるようにしてきました。
まだまだ時間はかかっていますが、徐々に出来つつあります。
その中で最初に脚光を浴びだしたのが焼き魚です。

明石浦漁港から瀬戸内の良い魚を仕入れています。
それは変わりません。
しかし、しっとりと焼き魚を焼くにも職人の技が必要ですし、時間に追われている時や、焼く人によって常に安定して美味しい状態で提供できるかというと今の時代難しくなってきたと思います。

昔の様に職人になりたいという若い子たちは少なくなってきていますし、昔のような修行のスタイルでは続きません。
我社も働き方改革を推進する上で、職人の持つ素晴らしい技術やノウハウと最新機械設備を組み合わせることで、お客様に喜んでいただける料理が提供できるのではないかと考えたのです。

実は手間暇かかる焼き魚

例えば“鰆”。
大型の魚で小骨も少なく、切り身の形もそろうので色々な所で提供されおなじみの魚です。
多くの方が日常食べておられるので、逆に差がわかると考えました。

(1)SDGっ捨てる骨やアラを活用する取り組み
まず明石浦漁港から鰆を仕入れてきます。もちろん切り身にするのですが、魚のアラや骨を使って鰆の味が凝縮したスープをつくります。

(2)鰆を宇宙空間へ
減圧調理機にスープと切り身を入れます。すると鰆に身は宇宙空間に漂うのです。身の細胞が膨らむのです。そして地表に戻しますと細胞は元の状態に戻るときに凝縮したスープを細胞の中に取り込みます。
それを何度か繰り返すことで味の濃い、切り身が出来上がるのです。

(3)焼いて冷凍に
魚はだいたい50℃ぐらいでたんぱく質が凝固します。しっとりとなる最適な温度で加熱します。
その魚を急速冷凍します。

今までの職人の考え方では新鮮な魚を使って冷凍するなどという事は考えられません。しかし最近の技術は違います。

いったんカチカチに凍った切り身が出来上がります。

(4)高温の鉄板で再加熱
切り身の皮の部分を高温の鉄板で焼き、皮がパリパリの下地を作るのです。つまり冷凍にしておくと皮の部分だけが焼け、身はまだ凍っている状態なので熱が入らないのです。
焼いたら、また急速冷凍します。

(5)体操と同じ最後のフィニッシュが大事
提供するときは、先ほどの50℃ぐらいの温度に戻します。
そして最後は炭火で皮をパリッと焼くと、炭の香りもして・・・

皮がパリパリ、身はジューシーな焼き魚が出来上がるのです。

このようにひとつづつ、成功体験を積み重ねて御所坊の料理を作り上げているのです。

もし焼き魚が美味しいと思われたら一言、「美味しかった」と言っていただければ職人たちの励みになると思います。





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