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覚醒なるか? 2018ドラ1 辰己涼介

こんばんは、ごしまです。
9-10月頃からの環境の変化により多忙な日々を送っておりましたが、ようやく少し落ち着いてきたのでぼちぼちnoteも再開したいと思います。

オープン戦も残すところ明日のみとなり、いよいよ来週からシーズンが始まります。
昨年の今頃は開幕延期ということもあり、憂鬱な日々を過ごすファンも多かったかと思いますが、まずは無事に?開幕できそうで何よりです。

さて、オープン戦ですが楽天の3年目の辰己涼介選手がオープン戦の首位打者争いの真っ只中であり、楽天の野手がオープン戦首位打者となれば2018年以来となる。

と太字で書いてみたものの、オープン戦首位打者にそこまで価値があるかと言われれば疑問符が付く。
皆さんの体感と上の記事の内容はある程度リンクすると思うがオープン戦首位打者=シーズンも大活躍!といくほど甘い世界ではない。
そこを踏まえつつ、辰己が活躍できるのではないかと思わせるポイント、期待したいところ、個人的に考える課題点などを挙げていく。

1.  2019-2020シーズン(1,2年目) 成績振り返り

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2019年のルーキーイヤーはOPS .664ながら、センターUZR 9.7は12球団No.2、パリーグではNo.1と高いパフォーマンスを見せ、チームの窮地を何度も救ってくれるプレーを披露した。
打撃面はマイナスながら守備面と走塁の貢献によりWAR 2.4を記録し、課題は多いが上々の1年目となった。
20名の専属サポートを付けた"独り自主トレ"でオフを過ごし自信をもって臨んだ2年目の昨季は、本塁打こそ倍増したものの打率・出塁率は前年を下回り満足のいく打撃は発揮できず終わった。
また前年素晴らしい動きを見せていた守備も精彩を欠き、明らかに打球への反応・カバーリング・球際・送球全てにおいて質の低下が見られた。
選手層の都合上センターで替えの利く選手がおらず、不調期に立て直す余裕がなかったことも辰己としては不運であったことは補足しておきたい。
コロナ禍での調整の難しさや選手層の問題等もあったが、自信を持って臨んだだけに相当悔しいシーズンになったに違いない。

2-1. 2020シーズン 打撃詳細(球種別成績)

次に、更に詳細に辰己の昨シーズンの打撃を振り返る

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球種別の成績を見ると、

ストレート  打率 .255 長打率 .481
ツーシーム  打率 .231 長打率 .462
カットボール 打率 .200 長打率 .600

と比較的速球系に対しての反応は(本人比で)そこそこと言ったところ。
特に145-150 km/hの球速帯では打率 .302・長打率 .600と高い対応力を見せた。
一方、変化球に対しては満遍なく打てていない傾向にあり、特に変化球の中心的役割を担うスライダーや、チェンジアップなど緩急をつけたボールへの対応にはかなり課題が残る結果となった。

2-2. 2020シーズン 打撃詳細(ゾーン別成績)


次にゾーン別の打撃成績を見ていきたい。
今回は下図のようにゾーン分けし、辰己のゾーン別の成績を確認する。

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辰己選手は”高めに強い”というのはファンの間では周知のところだが、こうして見ると、圧倒的に得意としていることが分かる。
高めのゾーンに対してはContact% 95.9%、空振り率 2.8%とほぼほぼ空振りせず、20安打中8本が長打であり高い確率で長打にする力があるのが分かる。
一方、ゾーンが下がるにつれ、コンタクト・長打力共に落ちていくのが顕著で、空振り・三振共に増えていく傾向にある。
またゾーン外においても同様に、高めは多少ボール気味でも打てるほど得意としており、低めのボール球で多くの三振・凡退を積み重ねており、低めへの対応が大きな課題なのは一目瞭然である。

3-1. 2021オープン戦 打撃成績

次に今年のオープン戦についてまずはざっくりと打撃成績を見ていきたい。
打撃成績上位者と比較してみよう。

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こちらが昨日までのオープン戦打撃成績。
ここまで10試合40打席に立ち、規定打席到達34人中、

打 率 .400(1位)
出塁率 .475(2位)
長打率 .629(4位)
OPS 1.104(1位)

と素晴らしい成績を叩き出している。

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とは言え、先ほどのBaseball Geeksの記事からの抜粋になるが、オープン戦の打率やOPSはシーズン成績との相関は低く本塁打率や三振率、次いで四球率がシーズンとの相関がある傾向にあるようである。

K%  25.0 % (OP戦全選手平均 19.0 %) ※K% = 三振 / 打席
BB%     12.5 % (OP戦全選手平均   8.8 % )※BB% = 四球 / 打席
BB/K      0.50 (OP戦全選手平均   0.46)

ここまで10三振・25.0%の三振率の辰己だが、昨日と本日だけで6三振し、かなり数字を下げてしまったが、そこまでは三振を減らしつつ四球もよく選べており、ただ打撃好調なだけでなくある程度良いアプローチができている印象を受ける。
ここまでスタメン争いをしながら1か月フルにアピールしており、少し疲れが出てきていることも考慮に入れたいところである。(寝違えたとの噂もあり…)
相関がある程度強いホームランに関してはオープン戦では出ていないが、参考までに練習試合では2本の本塁打を放っており、
打 率 .423
出塁率 .545
長打率 .885
OPS 1.430
K%          9.1%
BB%       21.2%
と練習試合でも同様に文句なしの打撃成績に、練習試合では低い三振率高い四球率を記録しており、1か月通してある程度良い傾向が見て取れる。
オープン戦とはいえここまで

3-2. オープン戦の詳細な打撃成績

まずは球種別の成績について見てみると、昨年同様速球系で数字を稼いでいるのが見て取れる。

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ストレートに対して打率.381、長打率.571とストレートへの対応は問題なくできているようである。
その他、カットボール・ツーシームでもヒットを放ち、昨年苦手としていたチェンジアップでも2-2と調子のよさが伺える。
ただ全体的に母数が少ないので、参考程度と言ったところだろうか。
オープン戦と言うこともありストレートの比率がかなり高く、ヒットの半数以上(14安打中8本)がストレートであるため、これも考慮に入れるべきだろう。

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次に先ほど同様、ゾーン別の打撃成績を見ていきたい。
今年も高めへの対応は非常によく、6安打中5本が2塁打と昨年より更に長打にする力をつけているようである。
低めのゾーンに関してもコンタクトが改善傾向が見られ、かつ3安打放っていることからも状態の良さが伺える。
低めのSwing%が40.7%とかなり低いことからも、むやみに振りにいかず得意の高めを仕留めにいくことを徹底していることも考えられる。

参考までに寝違え疑惑前の3/18までのゾーン別の成績を見ると、低めのボールゾーンに多く投げ込まれてはいるが、空振りもなく見極められていた。
投手が開幕に合わせて状態を上げてきたり、配球の変化もあるだろうが、ここまで徹底できていただけに、特に本日の試合で低めのフォークを空振りしまくっていたのは身体の異変によるものと思いたい。

4. ゴロ量産マシーンは卒業?辰己の凡打の”変化”

昨年からの変化の1つに凡打の内容を挙げたい。
辰己の昨年のGB%は250打席以上の89選手中、2番目に高い61.9%でパリーグ平均の45.8%を大幅に上回る数字であった。
ゴロアウトとフライアウトの比率を表すGO/AOは2.17で、なんとフライの2倍以上のゴロを量産していた。
しかし今年はここまでGO/AO 0.47とフライアウトとゴロアウトの比率が完全に逆転しており、それだけ打球に良い角度をつけて打つことができているのだろう。


オフの自主トレでは動作解析や打撃理論を学んだことが何度か取り上げられており、これまで身体能力頼りで感覚だけで"テキトーに"やっていたところに、しっかりとした理論が備わり良い成績に繋がっているのかもしれない。
元々の身体能力は素晴らしいものがあるので、シーズンでの活躍が楽しみである。

5. 最後に

昨年と今年のオープン戦のデータを比較しながら
・まずは基本のストレートへの対応ができつつある
・得意な高めだけでなく低めへのアプローチが改善しつつある
・動作解析と理論を学びフォーム改造に着手→ゴロ性の打球が減り、フライ/ライナー性の打球が増えつつある
ことを中心に紹介しました。
オープン戦とシーズンは別物ではあるが、ここまでで昨年とは比べものにならない期待感を持たせてくれている。
石井監督からも基本的に1番での起用を明言されており、大いに期待されていることでしょう。
まだまだ不安な点はありますが、早く寝違えを治してシーズン序盤から大暴れしてくれることに期待しています!!!

久しぶりのnoteでぐだぐだ長くなりましたが、読んで頂きありがとうございました。

データ参考 :
Sportsnavi : https://sports.yahoo.co.jp/
日本野球機構(NPB): https://npb.jp/
1.02 Essence of Baseball : https://1point02.jp/op/index.aspx






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