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San Francisco Fog Fair 2024で写真を見てきた

はじめに


以前にnoteに投稿した記事で、ちょうど一年前の2023年1月にSan FranciscoのFog Fairのことを紹介しました。(記事のリンクはこちらのリンク)Fog Fairは正式名称はFog Art+Designで、基本的にアートやデザインのギャラリーが全米から集まって展示をするイベントです。しかしSan Franciscoにある写真専門商業ギャラリーのFraenkel Galleryが出展しているため、彼らが取り扱っている写真を見ることができる貴重な機会でもあります。

今年のFog Fairは1月18日から21日まで昨年同様Fort Maisonのイベントホールで開催されました。今回はその様子について書きたいと思います。


Fog Art+Design 2024の会場内の様子

Fraenkel Galleryのブース

昨年同様50くらいの商業ギャラリーが全米中から会場に集まり、各ブースで作品を展示しているので、それを見にきたり商談にきたりするアートやデザイン系の関係者が多い感じです。私はアートやデザインには疎いので、目的は写真です。(たぶんこういう人は相当マイナーだと思います)ということで、お目当ての写真専門商業ギャラリーであるFraenkel Galleryにまっすぐ向かいました。昨年は一番奥に陣取っていましたが今年は入り口に近い場所です。


Fraenkel Galleryのブース

最初に目に入ったのは、ブースの外側に展示されていたRichard Misrachの「On the Beach」シリーズの一枚。ハワイの広い海の中にポツンとサーファーが写っているもの。写真のプリントだけで150cmx200cmくらいと大きいくて圧巻です。

昨年Fraenkel GalleryでRichard Misrachの展示を見た時から、彼と彼の作品に興味を持ち始めて調べていますが、彼の大きなプリントの作品には憧れます。こうして実際の写真を見ることができて幸せです。

Richard Misrachの大きなプリント

ブース内に入ると彼の大きな写真がもう一点展示されていました。私が事前にFraenkel Galleryのインスタで確認していた情報だと、ここには杉本博司のジオラマシリーズから一枚展示されているはずで、それを見るのを期待してました。不思議に思ってギャリーの人に聞いてみたところ、前日にRichard Misrachに入れ替えたとのこと。こういうこともあるんですね。

杉本博司の作品は「海景」シリーズの一枚が展示してあると言われて、見てみると少し小型のものが展示されてました。やっぱり実物の写真を見れるのは嬉しいですね。

杉本博司「海景」シリーズのTasman Sea

これ以外にもFraenkel Galleryに所属しているRobert AdamsDiane ArbusLee Friedlanderなどなどアメリカの大御所写真家の人の作品がずらりと展示されていてこれまた圧巻でした。このFog fairは入場料として$38も払わないといけないのですが、これだけ見れただけでも元が取れた気がします。しかし、これだけ偉大な写真家たちと契約しているFraenkel Galleryって、ほんとすごいと思います。


アメリカの大御所写真家の作品たち

Diane Arbusの写真については、奥の方に「Teenage Couple」という写真が展示されていました。タイトルの部分にあるQRコードを読み込むと作品の解説、サイズ、そして値段が確認できるのですが、この作品だけ飛び抜けて高い値段が設定されていてびっくり。本人がプリントした写真と書かれていたのでプレミアが付いているのかもしれません。こういうのを見ると写真の価値って何で決まるんだろう??と考えてしまいます。

すごいお値段だったDiane ArbusのTeenage Couple


他のギャラリーの様子

Fraenkel Galleryを見た後、会場内の他のギャラリーで写真作品を扱っているとこを探してみました。

一つ目はSan FranciscoのHaines Gallery。Fog Fairの会場となったFort Maison Centerのすぐ横の建物にギャラリーがあるそうです。アート系の作品をメインに扱っているようですが、ブース内にはChris McCawJohn Chiaraという二人の写真を展示していました。どちらもサンフランシスコ・ベイエリアの写真家だそうです。


Haines Galleryの様子

二つ目はNew Yorkの商業ギャラリーのPace Gallery。ここは大手のギャラリーとして有名なところで、アート系に加えて著名な写真家の作品も扱っています。(余談ですが今年春には麻布台ヒルズにもオープンする予定です。)

Pace GalleryのブースではRobert LongoRichard Lyaroyd等の作品が展示されていました。ちなみにRichard LyaroydはFraenkel Galleryとも契約していて、Fraenkel Galleryのブースではグランドキャニオンの大きな写真を展示していました。


Pace Galleryのブース

これ以外にも写真作品を扱っているところが1、2ブースあったと思います。パリフォトのように写真専門のイベントではないため、Fog Fairで写真作品を取り扱うギャラリーはほんのわずかではありますが、少しずつ増えてくれると個人的に嬉しいです。展示されている写真作品をギャラリーから買い取ることは金額が高すぎて自分には無理ですが、実際の写真のプリントを自分の目で見ることができるのは機会が増えるのはありがたいです。

Park Lifeの会場内の店舗

今年もイベント会場ではSan FranciscoにあるPark Lifeが店舗を出して書籍やグッズの販売を行っていました。今年はイベント限定のトートバックは販売されていませんでしたが、書籍コーナーを見るとびっくり。写真家・森山大道氏の写真時代が一番目立つように展示されていました。森山大道人気がグローバルになっているのをここで改めて感じます。


Park Lifeの販売コーナー

東京と異なりSan Franciscoで写真と出会う場所や機会はとても限られていますが、このFog Fairは自分にとっては良い刺激を受けるイベントです。去年、今年と行ってみることで、アメリカの写真文化はこうしたプリントされた写真作品が商業ギャラリーが売買されるところに特徴があるのかもしれないと思うようになりました。来年も引き続き行きたいと思います。


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