竹林整備12・・春風に誘われて、庭の草取り。

まだ、具合が悪かったのだが、このまま引きこもっていてもしかたがない。

天気図を確認し、冬型だが高気圧がやってくると、希望的観測をえがいて出かける覚悟を固める。

起床時間が5時半だったので、朝ごはんを抜いて、7時ぐらいに家をでる。

また、少しでも、日に当たれば、具合もよくなるだろうと。

電車は、7時半ぐらい。混んでいた。かろうじて、席に座って、「丸元淑生のシステム料理学」という古い本を読んでいた。

夫の遺品の本だ。1982年に第1刷とは。結婚する前に、こんな恐ろしい本を読んで、料理の勉強してからだと言われたら、ヤツとは結婚しなかったかもしれない。あまりに理想的すぎて。

大体、冷蔵庫の買い方一つあげても、スェーデン製の下に冷凍庫がバッチリついたものとか。(今は、ごく普通にあるが)嫁入り道具の家電製品は、カタログを見て、これとこれ!と、私が最低限必要なものを選び持ち込んだ。

ヤツは、冷蔵庫一つとっても、気に入らなかっただろう。

そして、玄米食を通した。装備としては、ちりめんじゃこに、牛乳、鮭。シイタケ昆布佃煮に安物のツボ漬け。ワサビチューブ入り。

と、新婚当初のことを思い出しては、苦笑い・・。冷や汗。

そうしていると、実家の最寄りの駅につく。

最近は、駅の駐輪場を通り抜けるようにしている。

氷はとけて、水たまりに。どことなく、春の匂いが・・。

快晴!!

オババの家に着いた。お勝手場から、もそっと、入っていったら、イスにすわり、化粧水を顔にはたいていた。だったか、新聞のテレビ欄を虫眼鏡でみて、「今日の運勢」か。

「ビックリした、あんたか~」

また、新聞のテレビ欄を見ながら、どうも広告に目がいくらしい。

それも、ロコモ防止策の薬とか、腰の悪い人用のイスグッズとか。

「こういうのどうやろねえ~・・・」とか言って。

私は、約束の品をおもむろに出す。

姉ちゃんには、手巻きずし用のハンギリセット。オババには、お一人様用浅漬け用具。

オババは、どうもかつて、陶器製の浅漬け器具をもっていたらしく、その器を割ってしまったらしい。その名残りとして、大きな重しだけ残っていて、タッパーで、浅漬けを作っているようだ。あり難く頂戴致しますと言って、受け取ってもらった。

「頭にきたら、わたしのことで、腹がたつことあったら、いつでも割ってもいいでね!」と。

そうそう、早朝コンビニの見切り商品は、なかなかお買い得品があり、じゃがいものニョッキを見つけて、姉ちゃんのハンギリの中にいれておいた。

まってたのは、姉ちゃんのお手製、なんかパンらしきものがべちゃ~となったもの。味は、今まで食べたなかでは、一番パンらしかった。見た目も。

焼き立てじゃないから、単にべちゃ~となっているものと、食べていた。
(話を訊いてみると、残った卵白を泡立てて、それに片栗粉を混ぜて焼いたものらしい。)

それから、丁度テレビ体操の時間になって、仕事はじめのウォーミングアップには、よかった。最近、女性2人の中に一人男性が入って、クロのタイツに短パンで、よかことやなあと。

草取りを開始。霜も溶けて、日もあたり、よかよか・・。

チューリップが、次々と芽がでてきよる。草も小さいのがちらほらと、草かき鍬で、おおざっぱにかいておいて、後から、ミノを出して、手で草をつまんでは、ほい、ほいといれていた。

姉ちゃん、車で登場。今日は、バレンタインデー。

早速、「これ、M2の作、これ私の作・・あげるわ・・」とちゃんとプレゼント用菓子袋にいれたものをもらう。

そう言えば、バレンタインを意識し始めた、高校時代は、「おとこ」という名詞がでてきたら、オヤジから抹殺されていたからなあ・・。かわいいもので、女の子同士で、市販のチョコを買って交換していただけ。

おまけに社会人になっても、片思いの人ができても、市販品ですまそうとして、とても手作りなんて想像すらしなかった。

チョコレートは、買うものと言う観念の持ち主の我。

ハンギリの中の特売品ニョッキをみて、「韓国の食品かと思ったわ・・」

「それ、もしかして、トッポギ?ちゃうで、イタリアのパスタの一種やわ、ほやけどなあ、ハヤシでもええし、カレースープでもええ、好きなように使えるわ・・」と。(味噌スープでも行けると思う。)

ところで、「鰹節削り器があるけど・・・えらい立派なやつ・・」

すると、「昔、あの削りたては、本当においしかった・・」

「昔使ってたやつがあるけど、刃がないでなあ・・」

「ほんじゃあ、次来るとき持ってくるわ。カンナの微調整で、カーンカーンと音がしても近所迷惑みたいだし、床において、ギコギコ音も迷惑・・」

「人間の住めるところやないなあ・・昔は、朝、夕、ギコギコしとったで・・」

「コロナになって、音が耳障りになったみたいだわ。鰹節削り器は、一軒屋こそのものじゃないの?」(次回の依頼品、鰹節削り器(鰹節))

姉ちゃんが帰って、また草取りを。草取りも、ほどほどにしておいて、木が腐りかけのツツジの剪定を開始。

次は、松をみて、松の芽摘みをした。

ついでに、池のそばのドウダンツツジの剪定など。

竹林は、壊れかけの竹垣の補修といっても、自分一人では、限度があるから、竹を少し積み直して、それだけでおしまい。

オババが、家の中に引っ込んで、日のあたる廊下のイスにすわって、編み物?いや、絣で腕抜きを手縫いで仕上げていたので、自由気ままに、庭仕事ができた。

帰宅するときは、何をやって、何を伐って、状況報告だけは、している。

なんだか、今日は、バレンタインのチョコの思い出がよみがえってきて、帰り道の足取りが軽かった。

自分の鬱の原因が、音に神経質になりすぎているところから来ているんではなかろうかと、ボチボチ気が付きはじめた。

それだけでも、収穫あり。






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