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読書記録 vol.7 『言葉ダイエット』

■本書の概要
 キナリ杯の"特別リスペクト賞"の記事を読んでいて、気になったので本書をピックアップ。電通のコピーライターである橋口幸生さんによる、文章の贅肉を落とす「言葉ダイエット」について書かれている。

 人は長い文章を書きがちである。それが相手にどう受け取られるかを考えずに。いや、考えすぎた結果、長い文章が生まれるのかもしれない。

 しかし、それでは伝わらない。書きすぎ、遠回し、小難しい、カタカナだらけ、こんな文章を書いているようでは、相手に失礼であることを考えたほうがよい。

 時間は有限である。人の長い文章にうんざりしたことがある。シンプルがベスト。言いたいことを端的に伝えたい。そのような思いがある人は、一読しておいて損はない。

■「文章が長くなる理由」と周辺の環境について
 今回は得られた気づきではなく、自社の環境に照らしてみる。

 著者は、言葉ダイエットをいくつかの方法に分けて解説する。その前提として、文章が長くなる理由を二つあげる。

① 読んでもらえる前提でいるから
② 本人が真面目で、能力が高いから。

 ②については、「勉強したことを文章に反映したい」「相手に失礼がないようにしたい」「情報を確実に相手に伝えたい」などの心理が影響しているようであるが、自社の環境と照らして考えたいのは①である。

 現在、全社リモートワークとなっている。自宅で仕事をするなかで、社内コミュニケーションにはSlackを、社外コミュニケーションにはメールを活用している。社内のコミュニケーションについて私なりに考えてみた。

 Slack(チャットツール)の利点は、短い言葉の応酬をスムーズにできることである。そこに長い文章は不適切であるし、求められていない。

 弊社は20~30人規模の大きくないスタートアップ企業である。それでも、情報は波のように押し寄せる。コミュニケーションも、Slack以外にスプレッドシート上で行ったり、メール共有なども頻繁に行う。最近はプロジェクト(タスク)管理にTrelloも導入した。

 このようななかにあって、考慮すべきは、相手が常に様々な情報を抱えているという点である。「これ読んでおいて(確認しておいて)ください」と渡された長い文章など、読んでいる暇はない。重要な点を列挙して示すことが、相手の時間を奪わないための礼儀である。説明が難しければ、長文ではなく、画像や動画で渡す手段もある。

 これ実は、新入社員の思考力・構造把握力の養成にも約立つと思っている。とりあえず言いたいことを片っ端から話し言葉で羅列するのは、思考の放棄である。

伝えたい要点はなにか…
相手の時間を極力奪わない伝達方法はなにか…
そのコミュニケーションはどうあるべきか…

 様々に工夫を凝らすなかで、情報伝達に関する思考は昇華され、それと同時に物事の構造把握ができるようになる。結果として、社内外問わず伝達の方法がうまくなる。

 相手は基本的に読む時間のない人で、要点伝えて「yes,no」答えてもらうだけ、に研磨された会話が最も望ましい。

 とは言え、自分自身もできているかは不安な点もあるので、もっと精進しなければいけない。

 今回は気づきではなく、自分の環境と照らして読書記録とした。本書には、この点以外にも「読みたくなる文章の書き方」など、興味深い章も用意されている。

 考えるべきはいま。思考を昇華し、物事を整理して伝達できる人になろう。相手に頼るのではなく、相手が安心して情報を受け取れる人になろう。

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橋口幸生『言葉ダイエット』宣伝会議、2020年1月
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