見出し画像

会社のコストを今すぐ「ドSに」カットする技術(980円)〜名ばかり管理職の最後の聖域(勤怠管理・目標管理・人事評価)を断捨離する〜

画像1

■■ はじめに

■ 様変わりする5年後の未来

 この本は、コロナ時代をなんとか生き延びるために、会社コストの最後の聖域である「管理業務」の断捨離について記したものです。

 2020年8月現在、新型コロナウイルスの猛威は止まりません。ワクチンの開発期間は年単位とのことですが、安定供給されるまでに5年はかかると予測しています。

 10年ひと昔と言いますが、このご時世、5年でも十分に「ひと昔」と言えるでしょう。5年後の社会は、様変わりしているはずです。

■ 会社の存続可否は半年が目安

 一般的な会社は、売上がなくても、ひと月くらいは持続できる貯金があります。銀行の融資があれば、さらに2〜3ヶ月は存続できるでしょう。

 しかし、さすがに半年も売上がないと、存続が危うくなります。

 コロナ禍によって、3月から売上のない企業は、8月で半年を迎えます。Go To トラベルキャンペーンを前倒ししたのも、夏休みを見込んで旅行業界を救うためのギリギリの措置だったのです。

参考:Go to キャンペーン大混乱について - Chikirinの日記
https://bit.ly/3f2lAyr

 事実、観光庁発表の旅行取扱状況速報(令和2年5月分)では、総取扱額(前年同月比)は、海外旅行が1.0%、外国人旅行0.2%、国内旅行が3.4%と、旅行業界は惨憺(さんたん)たる状況なのです。

参考:海外旅行は対前年比「1%」国内も「3%」に... Go To論争に突き付けられた、数字の残酷さ: J-CAST ニュース【全文表示】
https://www.j-cast.com/2020/07/18390436.html?p=all

■ 存続できても大苦戦

 残念ながら、売上回復が見込めない業態では、2020年の秋以降に経営破綻が相次ぐでしょう。これは、給付金や助成金の問題ではありません。需要が完全に消滅したということなのです。

 かろうじて存続できる企業も、売上が減る中では相当な体質改善が求められます。経費の大幅削減が必要だということです。

 コロナ時代は、常識を根底からくつがえすような改革が求められているのです。

■ 戦略的テレワークが始まった

 コロナ禍により、なかば強制的にスタートしたテレワークですが、戦略的に採用する企業も出てきました。

参考:「通勤という概念なくす」 富士通がオフィス半減、テレワーク全面導入へ その働き方の全容とは? - ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/spv/2007/06/news105.html

 オフィスを縮小したり、交通費(通勤定期券)を削減したりと、うまく経費削減に利用したのです。

 オフィスの縮小は、家賃の削減です。コピー機やデスクが減るため、レンタル代やリース代の削減にもつながります。もちろん、光熱費や通信費も削減できます。

 テレワークと経費削減は、相性が良い。これは、働き方改革と残業代削減の相性の良さと同じです。

■ 最後の聖域にメスを入れる

 しかし、それ以外にも手付かずの経費削減対象があります。最後の聖域と呼んでもいいでしょう。

 それは、管理業務です。特に、管理職が行なっている「社員を管理する業務」のことです。具体的には、勤怠管理や目標管理、人事評価にまつわる業務です。

 この本は、これらの管理業務を断捨離しようというものです。

■ 勤怠管理は商品やサービスには関係ない

 極論を言えば、勤怠管理や目標管理は、商品やサービスの売上、品質にはなんら関係ありません。

 掃除機を買う時に、その会社の社員の勤怠を気にする人はいないでしょう。ハンバーガーを買う時に、その会社の社員の目標達成度を気にする人もいないはずです。

 商品やサービスに関係ないことを断捨離するということです。

 完全自律型勤務という実験をした企業があります。コアタイムや所定労働時間、オフィス出社義務を停止して、一切の勤怠管理をやめたのです。

「給料は保証するから、いつでもどこでもどれだけでも好きに仕事してください」ということだそうです。

参考:社員の管理を止めたらどうなるか。 | OZ MEDIA | OZVISION - 株式会社オズビジョン
https://www.oz-vision.co.jp/ozmedia/118/

 確かに、よく考えると勤怠のチェックなどは管理職のやることとは思えません。学校の先生が、生徒の出席を取っているようなものです。

 みな良い大人なのですから、商品やサービスの品質を保持し、それを顧客に提供できるのなら勤怠管理など要りません。

■ ノルマ化した目標管理などいらない

 目標管理とは、経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した、組織のマネジメント手法です。

 メンバーに目標を設定させ、その達成のために自律的に仕事をさせて、組織を方向づけるというものです。

 しかし、いまや目標管理は完全に形骸化しています。事業部の売上予算を営業人数で割り、それを目標管理にしているからです。

 これでは、目標管理ではなく「単なるノルマ」です。メンバーが自律的に仕事をするには程遠い。

 そもそも、会社には「放置しても働く人」と「放置したら働かない人」がいます。目標管理を導入したところで、働かない人は働きません。放置しても働く人は、自分で目標を設定し、どんどん成長します。

 形骸化した目標管理は、そのような自然な成長を阻害します。働く人にも働かない人にも効果がなければ、目標管理など廃止したほうがよいのです。

■ 公平な評価などありえない

 目標管理を人事評価制度と結びつけている企業は多いです。半期ごとに目標の達成度を評価し、賞与の査定とリンクさせます。評価が高ければ、賞与も上がるということです。

 目標をメンバーに立てさせ、管理職が承認する。半期ごとに自己評価を行い、管理職が精査して評価する。その評価が、経理部に渡って賞与が計算されます。多大な労力がかかっています。

 しかし、人事評価には「ほとんどの人が自身の評価に納得していない」という大きな問題があります。

 あいつがなぜ自分より高評価なのか、なぜ自分は評価してもらえないのか、という理不尽さをぬぐいきれない。お金が絡むと、いっそう理不尽に思います。

 多くの人は「確かに目標は達成できなかった」と、理不尽さを受け入れています。しかし、その目標とは「単なるノルマ」であり、自発的なものではない。それならば、全員一律B評価(ABC評価の真ん中。平均点)のほうが、よっぽどすっきりします。

■ 本当に不公平感をなくせるのか?

 勤怠管理や目標管理は「不公平をなくせそうだ」と考えられていますが、実際はほとんど効果がありません。

 働く人は、働かない人に対して不公平感を覚えるでしょう。そこにお金が絡めばなおさらです。働く人の本音は「どうして働かない奴と給料が一緒なんだ?」だと思います。

 しかし、勤怠管理や目標管理があっても、働かない人は働きません。うまくすり抜ける術を持っているのです。働かない人のチェックを強化しても、焼け石に水なのです。

 不公平感は、ないに越したことはありません。しかし、勤怠管理や目標管理などの小手先ではうまくいかないのです。

 誰もが「不公平をなくせそうだ」と考えていますが、現実にはあまり効果がないのです。

■「名ばかり管理職」の深刻な問題点とは?

 管理職とは、目標実現のために組織を運営し、部下を指揮する人のことです。会社のビジョンや中長期計画を噛み砕き、それを組織のミッションとして牽引する人のことです。

参考:管理職とは? 目的、役員やマネージャーとの違い、特徴や役割、抱える問題などについて - カオナビ人事用語集
https://www.kaonavi.jp/dictionary/kanrisyoku/

 しかし、日々の業務を勤怠管理や目標管理、人事評価に追われ、本来の仕事ができていない「名ばかり管理職」はとても多い。

 裏を返せば、その組織は「部下を指揮し牽引する人」がいなくても、業務を回せていることになります。

■ 「名ばかり管理職」の仕事は消滅する

 勤怠管理や目標管理を断捨離したら、このような「名ばかり管理職」の仕事は消滅します。

 管理業務が最後の聖域なのは、管理職が会社の方向を決めているからです。「名ばかり管理職」が、自分の首を絞めるはずがありません。仕事がなくなったら、会社に居場所がないからです。

 しかし、コロナ禍は未曾有の危機であり、この「名ばかり管理職」を見過ごすわけにはいきません。

 仕事がなくなった「名ばかり管理職」には、実務を担当してもらいます。これは、本文で説明します。

■ 管理職が本来の仕事ができるように

 勤怠管理や目標管理は、管理職の「雑務」です。そのため、本来の管理職の職務が全うできていない人には、この断捨離は朗報です。おそらく、かなり仕事がラクになるはずです。

 本文では、最後の聖域である管理業務をどのように断捨離していくか、詳細に説明します。お役に立てれば幸いです!

© 2020 GOROLIB DESIGN

─────

■■ 第1章:勤怠管理をやめる

■ 勤怠管理のやめ方

 勤怠管理をやめるなら、大胆にやめることをお勧めします。段階的ではなく、いっぺんに一斉にやめるのです。流れは、以下のとおりです。

・管理者は勤怠管理をやめる。
・所定労働時間を撤廃。
・出退勤時刻は自由(自己申告)。
・テレワークか出社は自由。
・会議は原則リモート。
・業務予定と業務報告は必須。
・顧客予定や会議予定は厳守。

ここから先は

5,273字
この記事のみ ¥ 980

もし、この情報がお役に立ちましたら、サポートをお願いします。いただいたお金は大切に使います!