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女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと

わたしは西原理恵子さんに何度も救われてきた。

夫が依存症だと気付いたのも
西原さんの本を読んだことがきっかけだった。

依存症は誰にも気付かれないように進行する。
周りも、家族も、本人でさえ気付かない。
誰も気付かないうちに地獄は始まっている。

見た目は普通なの。
でもいつも感じている。
何かがおかしい。苦しくてたまらない。
息ができない。でもなぜか考えられない。
恐怖で身体も心も動かなくて逃げることもできない。がんじがらめ。

そして毎日毎日「お前が悪いんだ」と責められて
立ち向かう気力も体力も奪われて、ただ相手を怒らせないように日々をやり過ごすことだけを考えるようになる。

無力感というプールの底に沈められたみたいに。

この本を読むと
あの頃どれだけ悔しかったか、屈辱だったか、絶望していたかをありありと思い出す。

そんな中で何とか子供たちを守ろうと、子供たちのお父さん像を守ろうと、温かい家庭のふりをしようと必死だったことを思い出して涙が出た。

狂った夫から逃れたい、でも小さな頃から憧れてきた愛溢れる家族の夢を諦めきれない。それがわたしの執着だったんだろう。

この狂気が病気のせいだと分かっていても、病気と本人とを分けて考えることなどできない。

依存症は悪魔だから。相手が一番弱っていて逃げられなくて人の目のないところだけで出てくる悪魔だから。誰にも証明できない。誰にも助けてもらえない。

そんな地獄にいてさえ、子供にはどんな嘘をついてでもお父さんを好きでいてほしかった。お父さんに愛されていると思って育ってほしかった。

そんなの最初から全部無理なのにね。
無理なことを頑張ってきたのだよね。

暴力からは逃げないといけない。何があっても。でもそれがどれほど難しいことかも、わたしには分かる。

結局わたしは離婚することもできず、入院させることもできず、夫は死んでしまったのだから。

あの頃苦しかったわたしに今言えるのは、とにかく「大丈夫」だと言うこと。

今でも思い出したら吐きそうなくらい黒い気持ちが湧き上がってくる。それくらい壮絶な体験だった。

それでも大丈夫。すべて大丈夫だからね。

うれしくて涙がでるよ