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自分の薬を作る

坂口恭平さんの「自分の薬を作る」、「苦しくなったら電話して」を立て続けに読んだ。


コロナ禍が起こる前と比較して、日々の過ごし方が大きく変わり、今までと同じ生活が出来なくなった。その為、新しい生活サイクルを作る事が必要になる。

さらに2度目の緊急事態宣言が発令され、改めて日常生活を見つめ直したい、と強く思うようになった。そんな時、手に取ったのがこの2冊。

著者である坂口さんは躁鬱病と付き合いながら、作家活動を行い、さらに死にたい人のホットラインである「いのっちの電話」を立ち上げ、相談に乗っている。

坂口さん自身は、病気のせいで死にたい衝動に襲われることがある。その一方、相談を受ける中で、「死にたくなることは誰にでもある」と実感した事が綴られている。

死にたい気持ちは、身体からの「休みましょう」というメッセージでもある、ともいっている。

死にたいと考えているときは、自分で反省することが多い。行き過ぎた反省は自殺に繋がりかねない。そんなときは、自分で考える事をやめ、他人の声に耳を傾けてみるといいそうだ。

坂口さんが調子が悪くても何とかやっていけているのは「自分の薬」、もっと言うと日課を作った事が大きいという。自分の調子が良かった頃を思い出しながら、自分に沿った習慣を作り、その通りに日々を送ると、安定するようになる。自分の身体の状態を注意深くみて、気持ちいい事を続ける。これがよく効くらしい。

悩んでいる人の多くは自分には何もないという事をよく言っているが坂口さんは「好奇心が無いのは、外の情報をインプットしたくないから。関心がない、興味がない時は自分で作る時、つまりアウトプットするべき時だ。」繰り返しいっている。アウトプットといっても、別に高尚な事をする必要はない。注意深く自分の中で巻き起こる事を観察して、正確に描写する。料理したりするのも、外に出て散歩するのも立派なアウトプット。

「必要なのは、死ぬ事ではなく、休んで、消化して、ウンチをする事なのです。」

死にたい気持ちも、悩みも口に出す事で楽になる。いのっちの電話や「自分の薬を作る」のワークショップの様子を読んでみるとその事がよくわかる。みんなおんなじ事を考えているとわかる。

悩む事は悪い事じゃない。でもうまく立ち回れるように、自分の日課を作り、絶えず自分の中から沸き立つものを外に出す。そんな事を習慣化したい。この2冊を読んで強くそう感じた。



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