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きょうだい映画『ふたり〜あなたという光〜』自分との対話*感想シェア②

いよいよ本題へ!「きょうだい」当事者から見たこの映画の内容について、感想シェアしたいと思います。※※※ネタバレ注意※※※

映画『ふたり〜あなたという光〜』は、障がいのある兄弟・姉妹を持つ「きょうだい」の物語にスポットを当てた映画です。映画製作にはクラウドファンディングが起用され、私はその支援者向けに行われた上映会に参加しました(2021/2/11)。

今回はこの「きょうだい映画」を見て感じたこと・揺さぶられた思い・呼び起こされた記憶を語ろう!というテーマで綴った、シリーズ第2弾です!

第1弾はこちら!

(もし良かったら、上映会当日の私の心境について、番外編ですこし触れていますので、こちらも合わせてどうぞ。。。)


第2弾ではいよいよ!映画の内容について触れていきます!

でも、どうしてもネタバレになってしまう・・・。ということで!映画を見て思い出した過去の出来事などを中心に、「過去の自分と対話」をしながら、お話したいと思います。
この映画を見ていて、「そういえばうちもそんなことがあったな・・・」というシーンが非常に沢山あったんですよね。今、これを書きながらも、映画のシーンを思い出してウルッと来てしまいますが、確実に、少しずつ、自分自身で受け入れることが出来ています。だからこそ、これを機に、「過去の自分との対話」をしたいと思うのです。


ではまず、いきなり何から話したら良いのやら・・・?という気持ちもあるので、予告編からはじめますね!!!

見ました?予告編。すでに号泣なんですよ。


私も、機嫌が良いと、ひとりでよく鼻歌を歌います。
(←開始1秒で既に自分を重ねている笑。)

そして、"夜"に一人で歩いている時は、いろいろ考えがちです。それは、自宅に着くまでの間に、また「お姉ちゃん」にリセットしなきゃ・・・と思うから。
(半年前まで実家暮らしをしていた頃は、毎日自分の中で「お姉ちゃんスイッチ」みたいなものを使って、自分自身の振る舞いを操縦しようとしていました。)

主人公・のぞみには、統合失調症の妹・希栄がいます。帰り道、なんだか嬉しそうに鼻歌を歌ってるのぞみも、もしかしたら、その後家に着いたら家族にどう話そうか、考えていたのかもしれないですね・・・
帰宅後、のぞみは婚約したことを母に打ち明けます。すると母からは、まず先に「希栄のことは話してあるの?」と聞かれてしまいます。


「家族の中心には、いつも『妹』がいた。」


これとそっくりそのまま同じ言葉を、私も母に言われたことがあります。「うちは弟が中心だからね・・・」と。私の弟は、幼いころから内部機能障害を抱え、入退院を繰り返していました。姉の私は、家族に迷惑をかけずに”良い子”であろうと、大人しく勉強に必死でした。
内心は気づいていたけれど、自分の心の中だけに留めておいたもの・・・。直接そう言葉にして言われた時は、本当に耐えがたい気持ちでした。


映画では、妹の希栄が警官に連れられて帰宅する場面があります。(予告編で、のぞみの母が「どうも、お世話になりました」と頭を下げているシーン。)「障がい」は時に、きょうだい・家族のどんな明るいニュースも、打ち消してしまいます。それは、ふつう、幼い子どもにとって、耐えられるものではありません。テストで満点を取った時には、誰かに褒めて欲しいと思うのが、当然です。
しかし、きょうだいたちは、ふつうでないことを自分なりに受け止め、「我慢」をしてしまいます。のぞみも、そうやって「我慢」に慣れてしまっていたから、大人になった今も・・・


「それは、仕方のないことだった。」


そう、仕方のないことだったのです。家族が病気で苦しんでいるときは、自分のことを考える暇さえありません。家族が今どんなサポートを必要としているのか、常に気にかけていなければならない。健康な自分は家族に迷惑をかけてはならない。大人しく、笑顔でいて、何事も無いように、、、。


***

映画をきっかけに一つ思い出したエピソードがあります。私も相当「我慢」をしていたんだなあ・・・という当時の状況が色濃く表れているものに、”卒業文集”があります。

小学校の卒業文集には、「なりたい生き物は『はたらきアリ』です」と書いていました。弟の病気が見つかったのは、私が当時小学5年生だった頃。「弟は病気で苦しんでいるけど、私は何もできない」と心のどこかで思っていました。『はたらきアリ』にはおそらく、「自分は役に立つ人間で無ければならない」という、刷り込みがあったのでしょう。

また、中学校の卒業文集では、「将来の夢は『お嫁さん』」と、書いていました。周りの子達は「アナウンサー」「キャビンアテンダント」「ダンサー」といった、いわゆる子どもの将来の夢ランキングにありそうな職業を書いているのですが、私だけなんとも夢物語な! ・・・ いいえ、そうではないのです。きっと、自分が夢のある何かにはなれないということを、悟っていたのでしょう。「とにかく誰かのお嫁さんになって、家族がもてたらそれで良い・・・」そんな風に思って、素直な気持ちで書いたのだと思います。クラス1の優等生が、将来の夢「お嫁さん」だなんて、担任の先生もびっくりしたのではないでしょうか(笑)。

***


のぞみにもついに、婚約するパートナーが現れて~というところで映画のストーリーは始まります。母親に「希栄のことは話したのか?」と言われてしまったので、勇気を出して”妹”の事を打ち明けるのですが・・・ 
パートナーと、その家族から向けられる「戸惑いの視線」。のぞみは、誰かに自分の状況を理解してもらう”壁”に直面します。せっかく勇気を出して打ち明けたのに・・・ 理解してもらおうと踏み出した途端、その壁は一段と大きくなるのでした。

映画では、自宅にのぞみのパートナー*崇*を招いて、家族そろって一緒に食事をするシーンがあります。予告編では、希栄が衝動を抑えられなくなってしまい、初めて会う崇に食べ物を投げつける様子が映されています。のぞみはこの出来事をきっかけに、自らパートナーに別れを切り出し、再び殻に閉じこもろうとしてしまいます。


「振り回されているこっちの身にもなってよ!!!!!!」


・・・せっかく私にも理解者ができようとしたのに、なぜ奪うの!!!!!


のぞみの悲痛の叫びでした。しかし、希栄からは何の返事もありません。のぞみが置かれた状況も、何も変わりません・・・。不穏な空気が流れます・・・。


***


私も実は一度だけ、反抗といいますか、家族に思いっきり感情をぶつけたことがあります。それは、2年ほど前、私のパートナーに持病があることを話した際に、母から言われた一言がきっかけでした。


「病気の子をもつと大変だよ…」


私はその言葉を言われた瞬間、糸がプツンと切れてしまったかのように、涙が溢れ出て止まらなくなりました。母の目の前で、子供のように声をあげて泣いていました。いつもは冷静で落ち着きのあるお姉ちゃんなのに、急にどうして、、、と母も動揺していました。私は本当に涙が出て止まらなくて、過呼吸寸前のところまで、感情を爆発させてしまいました。


おそらく母は、自分の子供が病気を持って生まれてきて、本当に本当に苦労をしたから、お姉ちゃんには同じ気持ちを味あわせたくない、という素直な気持ちがあったのだと思います。でも私にとっては、その言葉が、内に潜めていた自分自身への疑念を表出化する、きっかけになってしまったのです。

「私は将来、健康な子どもが生めるのか?」

「障がいをもって生まれた子どもを愛せるのか?」

「私が彼を好きな理由は、病気を持つ当事者だからなのか?(私と家族のことを理解してくれると思っているからなのでは?)」

・・・

気持ちがようやく落ち着いたころ、自分の口から出てきたのが、この言葉でした。

「私にも相談できる人が欲しいの…」

病気のこととか、将来のこととか、そんなこともうどうだっていい。私自身がどうしたいかが問題なんだ。未来のことなんて誰にもわからない。今は彼が好きだから、私の話を聞いてくれる彼が大好きだから、一緒にいる。もうそれだけで良いじゃない。もし彼が私の家族を愛してくれなかったら、その時自分がそれをどう思うかで、判断すればいい。


母は、弟の病気のことを、周りには必至に隠していました。私にはそれが、とても窮屈だった…。感情を思いっきり出し尽くして、ようやく自分の本心に気づくことができました。


***


きょうだいは、一人で問題を抱えこみがちです。自分は"普通"なのに、家族は"普通"ではない。周りから見えている自分と、自分自身が見ている自分が、かけ離れすぎていて、どう立ちふるまえば良いのかわからない。その結果、人に合わせて態度を変えたり、自分の気持ちを抑えてコントロールしたりする力が身についてしまいます。


だからこそ、結局「自分自身がどうしたいのか?」を考えなければならない時が、必ず来るようです。映画でも、この後、のぞみに大きな転換が訪れます。


のぞみ!!!がんばれ!!!というところで、続きは第3弾で!!!


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今回は、きょうだい映画「ふたり~あなたという光~」をきっかけに、「過去の自分と対話」したことによる気づきをお話しさせて頂きました。

ごりみは、上映会参加者向けの感想シェア会にも、引き続き参加予定です。

また現在は、感想シェア会からさらに発展して、シネマ(映画)×ダイアローグ(対話)=「シネマローグ」という形でお届けしております。

読者の皆さんと、どこかでお会いできるのを楽しみにしています。

きょうだい映画にご興味頂いた方は、自主上映会の案内を是非チェックしてみて下さい♪



(もし、上映会やシネマローグに参加したいけど、一人じゃ不安、誰か知っている人がいると心強い、、、という方がいらっしゃいましたら、メッセージ下さい!twitterもやっています!)

過去の自分と向き合う機会を与えてくれたこの「映画」に感謝です*:。+゚


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