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駐妻たちの花園

夫の海外駐在に帯同中は色々な奥様に出会ったのです。

今日はその中でもC夫人について。

ちなみにC夫人のCは「CRAZY」から取りました。笑


⑴サーモンは空輸禁止

C夫人は夫の上司の奥様でとても料理好き。

とにかく他人に手料理を振る舞うのが大好きでした。

すごく親切なんです。お世話好きな方だし。

そこだけ切り取ると普通に良い人なんです。

しかし、この時ばかりは食べたことを後悔しました。

ある日、C夫人にランチに誘われます。

そこでサーモンのカルパッチョを出してくださりました。

ゴリアテがいた州では生のお刺身なんてそうそう手に入りません。

しかし目の前にはおいしそうな、オレンジ色の生サーモン。

C夫人がこう言います。

「それ日本から持ってきたのよ!」

ん??

実はこの数日前、日本からやってきたC夫人。

持ってきた・・・??

ちなみに日本から(仮に東京発だとして)遅延なしだったとしても、アメリカの自宅に到着するにはトランジットを含めると大体15時間は軽くかかります。

コイツ(サーモン)大丈夫そうかな??

息してるかな??

しかも聞いていると、日本からアメリカのハブ空港に到着し(フライト時間だけで13時間)そこから車でゆっくり5時間ほどかけて帰宅したとのこと。

真夏です。最高気温35度です。

「あなた達も機内でCAに冷凍しておいてって頼んだらいいわよ!」

と、秘密の裏技みたいにゆうてるけど。

たぶんちょっと迷惑がられてるのよ。

他の奥様と共に「恐らくC夫人はビジネスクラスだから、そのくらいの融通はきかせてもらえるのだろう」という平和的見解で一致しました。

ちなみに平社員は全員エコノミーという決まりです。

まぁ、そんなことよりも鮮度というかなんというか色々心配です。

ただC夫人は「食べて!食べて!」と、圧がすごいので食べらざる終えません。

幸い、一緒にいた奥様は何でもおいしそうに食べてくれるので助かりました。

ゴリアテはパニック障害があるのもあって、人前でご飯をバクバク食べられる方じゃないんですよね。

緊張しちゃうんです。

あとASDなので偏食だったり本来は変な食べ方するんすよ。(とんかつの衣だけ先に食べるマイルールとか、食感が混ざらないように分けたりとか)

会社の人が集まる食事会では「普通の人みたく」頑張って食べてたけど(たぶんこういうのもストレスだった)、それが微妙に辛くてね。

しかもC夫人はちょっとデリカシーに欠ける部分があったんですね。

あんまり食指が動いていないとすかさず「ゴリアテさんは全然食べないもんね」とか「あーほら!もう全然食べてない!」みたいに皆の前でいちいち指摘するんです。

ますます食べづらいて。笑

推測するにC夫人は「みんなのお母さん感」を演出してるというか、そういう願望があるみたいなんだけど、わたしは遠い親戚くらいの位置で大丈夫です。

あと苦手なものも食べさせようとするんですよね。

ゴリアテはコーヒー飲まないんです。

「食後にコーヒーどう?美味しいのがあるから!」といつも通りおススメという名のゴリ押ししてくれたんですけど、マジで飲めないんで「実は」と素直に言ったんです。

苦手だっつってんのに!!

なのに「なんで?!美味しいから大丈夫!一口だけでも飲んでみて!」と。

他の奥様が「いや~カフェインを控えてる場合とかもあるから」と優しくフォローしてくれたんですけど「水出しだから大丈夫!」と問答無用で出てきたコーヒー。

水出しだとカフェイン弱いとか知識エグイけど、こんなゴリ押しバリスタいたら辛いて。

断れないんで一口飲みました。

偉い人なんで、ご主人が。

「美味しいでしょ?」

「いや、美味しくない。水道水くれ。」と思いながら「の!のみやすいかもです!」とヘラヘラ言った気がする。

一口で終了したけど。笑笑

C夫人のお家に行くと神経疲労が半端ないです。

あ!話戻りますけど、サーモンのカルパッチョを食べた日。

夜中に腹痛で目が覚めました。

そこから数時間トイレとお友達になり、2日~3日ずっと気持ち悪かったです。

みなさん、日本からお刺身持ってくるのはやめましょう。

税関で没収してくれよ。


⑵自己肯定感を他人で育んでくる

C夫人のビックリ仰天エピソードは色々これから書くんですけど、皆さんに知っておいて欲しいこともあるんです。

それはC夫人はかなり繊細だということ。
(だからって生サーモン食べさせたのは解せないけど)

自己肯定感低め。でもプライド高め。

お茶会でもけっこう「うわ~!いま小馬鹿にしたな~!」というご発言を多々するんですね。

でも自分への批判には耐えられない。

その中でご本人が自信があるのが「お料理」なんです。

良いことだと思います。

これは負けないぞ!みたいなのがあるのは。

ただね、実はずっと不思議だったんですけど、C夫人は絶対に自分が作った料理を食べないんです。

すごく華奢な方で「デブは罪」と太ってる人を罵倒しちゃうんですけど、それが自らの鎖になっているのか人前で何も口にしないんです。

なので味見もしないんです。

すごい色々ふるまってくれるんですけどね。

もし自分が作って他人に食べさせるってなったら、気になりません?味が。笑笑

C夫人とのやりとりでお決まりの流れがあります。

C夫人が料理を出してくれる

「食べなさい!食べて!どんどん食べろ!」と圧。

急かされてみんなで慌てる。

まだ口に入れる前から「美味しい?」と質問攻撃。

「今から食べます!」

「まだ食べてないの?」
「味見してないから味は知らないよ!(必ず宣言)」

「(みんなで渾身の)美味しいです!」

「そんなわけないでしょ!こんなのまずいよ!大したものじゃないから!」

みんなでキョトン。

みんなで慌てて「いやいや美味しいです!」

「こんな残飯みたいな料理、美味しいわけないでしょ!」

みんなの心の中「わしら残飯食ってるん?」

この辺で脱落するものもいるが(※ゴリアテとかいう駐妻)、他の奥様は最後まで「美味しい」や「素晴らしい」と伝え続けるのである。

気分を良くしたC夫人は「こんなの簡単でしょ?このくらい作りなさいよ!」と、段々と命令形になってくる。

∞ループ

まぁ、こんな感じで毎回この流れなのよ。

最初は「まずいよ!まずいよ!」と保険掛けてきて、褒められると喜ぶ通り越してちょっと態度デカなるの面白い。笑

まさにC夫人も木に登る。

ちなみに、味見をしないので毎回「無味」または「めちゃくちゃしょっぱい」ものが紛れ込んでるんです。

それでも他の奥様は「美味しいです!!」と食べていて、プロの駐妻魂に感服しました。

実際、C夫人はそういう優しい奥様が大好きになるので毎日お家に来るそうです。

こういうのも他の奥様と自分を比べちゃったんだよね。

自分は早々に脱落してしまうというか「なんでもっと優しくできないんだろう?」とか、付き合ってあげられないんだろうって。

旦那さんのためにもその方がいいのに…。

他の奥様は包み込んでいるのに、C夫人に付き合いきれない自分に凄い悩んで夫に相談したんです。

すると夫は「奥様付き合いで俺の評価が左右されるほど、テキトーな仕事してないから」と一刀両断されました。

さすが、自己肯定感ヒマラヤ山脈

でも当時は悩んだ。

周りはコミュ力の塊みたいな奥様ばっかりでさ。

自分なんてダメだって自己否定ばっかり。

今は「しょっぺ!!!!!」って口に出して言わなきゃ思ってもいいし、別に美味しいって思わなきゃ積極的に言わなくてもいいかなって。

作ってもらえることに感謝は大切だけど、繕ったり、ポジティブに思えない自分でもいいじゃんって。

本来の自分のマインドを取り戻してます(`・ω・´)

ところでさ!!

話戻るんだけど!!

C夫人の一連のやり取りを見てて、この人「若い(自分より立場が下の)奥様を集めて自己肯定感を吸い取ってるな」って感じてたの。

吸い取るって表現したのは、立場が下の人からは絶対にポジティブなことしか言われないじゃん?

試し行動しても自分を褒めてくれるわけ。
(「まずいでしょ?」とか「残飯」って言ったり)

無条件に何時間でも自分の話を聞いてくれるわけ。
(朝から夕食までいさせられたことも)

きもてぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!よね。

今だから意地悪なこと言うけど、自己肯定感を満たしてたのよ我々で。

逆にC夫人は若い奥様達を褒めてくれたり、励ましてくれるどころか…毎回会社のネガティブな話をしてモチベーション下げたり、個人の特性について小馬鹿にしたりしてた。(同じ話しかしないんだよね)

搾取だったと思う。。。

ずっと喜び組みたいなことをしている自分や周りの奥様に違和感があった。

世の中には何歳になっても極端に自分を満たせてない人がいて、それを他人に求めてしまう人がいるのだなと。

自分もアメリカ滞在中は、ずっと自分の存在価値とか自己肯定感を求めてた気がする。

他人に褒められたり、必要とされると一時的に気分がよくなる。

でもそれは結局は虚構なんだよね。

他人に求める肯定は麻薬と一緒だと思う。

切れると辛い。

また欲しくなる。

だから依存する。

C夫人のように誘いを断っても、早朝に相手の家にまで押しかけてきてしまうのは末期だったと思う。

この前、読んだ本に書いてあった。

人は生まれながらに「パーフェクト」だって。

ありのままで素敵なんだよね、C夫人も私たちも。

駐妻時代はこんな人もいましたとさ。




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