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玉ねぎが飴色になるまで

カレーを作ってるとき、ふと母を思い出した。

それは玉ねぎを切っている時だった。
実家の台所や、抱きついたときの母のエプロンから、よく玉ねぎや油などが混ざった食卓の匂いがしていたからだろうか。

私は母のカレーが大好きで、昔からカレーの時だけは隣で人参の皮をむくなどこお手伝いをしていた。
隣で玉ねぎを炒める母が、
玉ねぎは飴色になるまで焦らず炒めるんやで、と教えてくれたことがずっと教訓になっている。

一人暮らしをはじめてから、最初に作ったのもカレーだった。会社にはお弁当を持参していたので、カレーを作ると3日はもつので便利だからだ。
その時、母の言葉がお守りみたいだった。
じっくりじっくり…と呟きながら作った。

○○○

2021年で新しく始めたことの一つに、スパイスカレー作りがある。
たまたま図書館で、初心者向けのスパイスカレーのレシピ本があり何となしに借りてみた。
大阪はスパイスカレーの激戦区で、ありとあらゆるスパイスカレーが大阪人の胃を満たしている。
だけど私は食べたことがなかった。何とな~くオシャレな料理って印象があり、ちょっと気後れしていた。まぁ家で、一人で食べてみるならいいだろうと思って神戸スパイス堂でこれまた初心者用のスパイスセットを買い、作ってみた。

食べてみると今まで食べてこなかったことが悔やまれるほど美味しかった。
しかもキーマカレーなので材料も少なくてすむし、保存もよくきく。
一気に好きになり、食卓に出る頻度が増えた。

スパイスカレーを作り始めて3ヶ月。
物足りない気持ちになった。なぜだか分からず色々スパイスの分量を変えてみたり、玉ねぎの炒め具合を変えてみたりしたけどなんだか物足りない。
試行錯誤をしてみて、母のカレーの隠し味の、醤油とウスターソースを入れてみるとすごく口に馴染む。

やはり母のカレーが1番美味しいと思った出来事だった。


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